医師側に新制度に対する不安がある中、今年は新たな専門医制度の正念場を迎える。
特に内科領域では、大きな改変が行われることもあり、他領域よりも膨大な領域従事者に対する周知に時間がかかっている。しかし、今回の改革は医師にあまり歓迎されるものではないとしても、国民目線で行われるものであるという点は広く理解されてきた。2017年からの開始に向け、今春には専門医機構によりプログラムの募集・認定・開示、引き続いて秋には専攻医の募集が行われる。もちろん、これらがうまくいかなければ、新制度は頓挫することになるため、本制度にかかわる方々の膨大な努力により、粛々と準備が進められているところである。
新制度では専門医の質を第三者が認定することが主眼であるが、本制度により新臨床研修制度により崩壊した地方の医療が再生されることも期待されている。果たして全国的・地域的な専攻医の分布はどう変わっていくだろうか。苦心して避けようとしているさらなる分布の悪化は避けられるであろうか。
ある意味、新制度では人材派遣機能を基幹施設に持たせようとしている。基幹施設に地域の医療供給体制に責任を持たせようということだが、設立母体のバイアスは避けられない気もする。特に地方においては、やはり大学の役割は重要ではないだろうか。
しかし、初期研修とは異なるとはいえ、多くの専攻医を引き付ける魅力が大学病院にも求められている。より良い研修環境を提供するため、各大学病院でも院内内科のローテーションあるいは当該地域の関連施設での研修に工夫をしつつ、大学院との両立や、多くの専攻医が進むであろうサブ領域との関連を考慮し、プログラムを作成しつつある。問題はそうした努力が研修医に届き、どの程度の専攻医が大学病院を基幹として学ぶのかである。地方大学病院も正念場である。