一般社団法人 愛知県腎臓病協議会 小野田 桂三 代表理事(会長)

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会員数全国1位 | 慢性腎臓病の啓発と腎臓移植に貢献していきたい

2005年11月人工透析導入 2007年1月大雄会第一病院雄和会副会長 2009年1月同会長 2012年2月愛知県腎臓病協議会代議員・支部長 同年9月同副本部長 2014年2月同理事・本部長 2015年2月同代表理事

●2月に代表理事に就任。今後の抱負を

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 愛知県腎臓病協議会(以下、愛腎協)は、今年で結成して45年がたちます。近年は、なれ合いや妥協、意識の低下などが目に付いたので、結成時の原点に回帰して「すべては患者のため」を第一義として新たに歩みはじめました。

 現在、愛知県下の患者数が1万8千人で、愛腎協の会員は8千人弱。組織率は50%弱です。これを会員の意識を高める活動を通じて、なんとか60%に上げていくことが当面の目標です。

●愛腎協の歴史と今後の取り組み

 1970年(昭和45年)中京病院(名古屋市)の患者を中心に約100人で結成しました。当時は今より透析技術が低かったため、ヘマトグリットの値が低く、貧血状態でフラフラの体にむち打っての結成でした。

 当時は15~20万円の自己負担がありました。そのころの日本人の平均年収は45万円ほどで、資産のない人は透析が受けられない状況だったんです。そのような状況を改善するために増子病院(名古屋市)や中京病院の透析患者が中心となり愛腎協を結成、国会請願などを通じ、透析医療の無料化に尽力した歴史があります。

 しかし、最近は先輩が苦労して結成した経緯を知らず、われわれがどんな活動をしているかも理解していない人が多く、高齢化による組織の弱体化も危惧されます。今後は組織強化委員会を設立し、組織の強化と会員の意識改革に努めていくつもりです。

 「一人は万人のため。万人は一人のため」。この言葉が愛腎協の要諦です。一人ひとりの集まりが大きな力になるのです。行政に一人で請願に行っても相手にされませんが、大勢で意見を述べれば、その声はきっと届くはずなんです。全国腎臓病協議会の組織のなかで、われわれ愛腎協は、全国で最多の会員数で最後の砦(とりで)だという意識を持ち活動していかなければなりません。

●力を入れていること

 現在、人工透析の医療費は無料ですが、行政を中心に有料化をすすめる声が出てきています。愛腎協は今後も安心・安全な透析が受けられ、患者の命と暮らしを守るために行政・議会に無料化継続への陳情、請願を続けています。

 透析患者は、さまざまな合併症を引き起こします。健常者にとってはカリウムとリンは必要な栄養素ですが、透析患者が過剰に摂取すると命にかかわりかねません。カリウムは不整脈を起こして心不全になるリスクを高めます。リンが体に蓄積すると骨粗しょう症などを引き起こしかねません。われわれは患者のみなさんが元気で長生きできるように各地、各病院で勉強会を開催し、病気への啓発活動をひんぱんに行っています。

 慢性腎臓病の啓発活動にも力を入れています。糖尿病から慢性腎疾患、腎不全に移行する人が40%を超えています。これらは、生活習慣が起因となることがほとんどなので、本人の自覚と自己管理が重要です。

 そこで大学病院の医師の講演や患者が体験談を発信しています。病気の予防について知ってもらうことで年々、膨張し続ける医療費の抑制にも一役買うことが出来るのではないかと思っています。

 組織内においては、定款、細則、規程を遵守して、倫理観に基づいた公正、公平で透明性のある運営、活動を心がけています。

●各医療機関との連携や協力体制について

 透析施設を訪問して、意見や問題点などを話し合い、相互理解に努めたり、各病院の医師にお願いして透析医療に関する勉強会やCKD講演会の講師の依頼などをしています。

 また災害対策のマニュアル化と避難訓練の実施などもしています。広域災害が発生した場合、県外でも人工透析を受けられるよう、国、地方自治体、透析医会が連携した災害対策が急務です。先日、愛知県が広域災害訓練を行い、県のバス協会の協力のもと、バスをチャーターして北陸に透析患者を移送する訓練を行いました。徐々に強固な連携が構築されつつあると感じていますね。

●愛知県の透析患者(透析医療)の現状と課題

 2014年現在、透析患者の平均年齢は67・5歳と高齢化しており、通院困難な患者が増えています。そうした患者を病院が車やマイクロバスで送迎していますが、診療報酬の削減で透析施設の経営が年々圧迫されており、送迎が困難になると予想されます。今後は通院困難患者を保障する制度が必要となってくるのではないでしょうか。

 透析患者の高齢化と共に問題になるのが、独居患者の増加です。透析難民を出さないための対策として、要介護3以上の透析患者が入所できる、透析施設を備えた特別養護老人ホームを増設し、透析患者の入居率を高める必要があります。

●紙面を通じて訴えたいこと

 わが国は生体腎移植こそ増えていますが、献体腎移植は年々減少しています。愛腎協では県内各地でキャンペーンを行い、献体腎移植への理解を深める活動をしています。

 小泉政権の行政改革以来、透析医療の診療報酬が削減され、今では愛腎協発足当初の4分の1くらいになっています。医療機関はもとより、患者にも負担がかかってきています。透析の質が落ちると合併症をおこし、QOL(生活の質)の低下を招きかねません。われわれは、なんとか今の診療報酬の水準を維持し、透析難民が発生するようなことがないようにしなければならないと考えています。


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