福岡市医療法人社団福光会 福田眼科病院 福田 量 理事長

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離島で眼科診療50 年 感謝を胸に「継続できる体制づくりを」

【略歴】1958 年長崎大学医学部卒業、済生会福岡総合病院インターン。1959 年九州大学医学部眼科学教室入局。同病棟医長、外来医長、講師を経て1965 年福田眼科医院院長、1986 年医療法人社団福光会福田眼科病院院長・理事長、1996 年から現職。社会福祉法人野の花学園理事長、学校法人福岡大学顧問、福岡市医師会看護専門学校名誉学校長兼務。【表彰】瑞宝双光章(学校保健功労)、日本眼科医会会長表彰、日本医師会最高優功賞など。

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―離島で眼科診療をされていると聞きました。

 五島列島の最北端にある宇久島(長崎県佐世保市)での眼科無料診療を始めたのは1963(昭和38)年。もう50年を超えました。宇久島の内科医から、眼科診療に困っていると聞いたことがきっかけです。当初は、勤務病院の夏季休暇を利用して、長崎、鹿児島など各地の離島に行っていました。

 福岡市に開業した後も続け、85年に宇久島に一本化。96年からは長崎県北松浦郡小値賀町の依頼を受けて、小値賀島にも行くようになりました。年に1度の眼科無料診療のほかに、隔月でそれぞれの島に行く眼科保険診療も実施しています。

 海に潜ってアワビなどを採る人には耳が悪い人が多くいます。耳鼻科医師の同行は20年前から始まり、今は松田耳鼻咽喉科(福岡県大野城市)の松田孝一名誉院長が、私たちの無料診療に一緒に出向いてくださっています。牟田病院(福岡市)など開業医も加わり、近年は30人〜40人の大キャラバンに。久留米大学医学部の心臓・血管内科も2002年から離島診療を続けています。

―続ける理由は。

 島に行くと、若い医師も、看護師も、医療機器メーカーの社員も、目を輝かせて、生き生きと仕事をします。「ありがとう」という島の人の言葉に、職業のやりがい、使命感を感じ、非常に元気をもらうようです。

 離島での診療は、若い人にとってすばらしい研修の場になります。続けることには経済的な負担もありますが、お金に代えがたい経験です。私自身、以前は「無料診療をしてやっている」という気持ちが少しはあったように思いますが、今は逆に大いに感謝しています。

―離島に行って50年。変化を感じることは。

 病気の質がだいぶ変わりました。始めたばかりのころは、翼上片、白内障や緑内障によって失明しそうな患者さんもいて、診察の後に簡単な手術をしていたほどです。

 でも、長年診療をしてきたことで、今は、眼科疾患に対する衛生知識が格段に向上しました。支援いただいている役場職員が、病状を聞いて受診を勧めてくれるようになったのも大きいですね。病気が減る、軽くなる。これは、われわれにとって大きな勲章です。

―課題は何でしょうか。

 個人病院が続けていくのには、限界があります。島の人たちからの「続けて欲しい」という思いを感じますから、離島診療を続けられるような体制作りを行政や大学としていくのが今後の課題だと思っています。

 さらには、離島診療をつなぐ人が出てくること、そのためにも多くの人が医師、看護師を目指してほしいと願っています。

―病院運営で意識していることは。

 患者さんとともに生きていかないといけません。治療で病気がスパッと治ればいいが、そうはいかない場合も多い。ですから、ともに歩むという姿勢が大切です。人はみな、右も左も前も後ろも人間。「人」の中でしか生きられませんから。

 そして、職員も大切にしているつもりです。病院歌を2曲作り、会合の後には毎回、その病院歌と「若者たち」を、肩を組んで歌います。ぬくもりを感じる距離で、体を寄せ合って進んだほうがいいじゃないですか。

 病院にはバレーボール部もあり、市医師会バレーボール大会は今年で20連覇。チームワークなど、組織への良い影響も多分にあります。

 若い人には、優しさの追求をしてほしい。病院でも、看護学校でも「優しくしましょう」と言うけれど、優しさとは何か、その優しさを表現するにはどんな方法がいいのか、それを突き詰めてほしいと思います。

 それが、医療者として、そして人として生きる知恵ともなる。そう言いつつ、分からないまま死ぬのが、人生かもしれませんがね。


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