医療法人偕行会グループ 川原 弘久 会長

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変化をおそれず前進を続けていく

かわはら・ひろひさ■1966 名古屋大学医学部卒業 1967 昭和伊南病院総合病院内科勤務1972 医療法人衆済会増子記念病院内科部長・透析室長 1979 名古屋共立病院院長 1982 医療法人偕行会名古屋共立病院理事長兼院長 1996 医療法人偕行会理事長 2007 医療法人偕行会グループ会長 2012 医療法人偕行会理事長(グループ会長兼務) 現在に至る。 ■所属学会:日本腎臓学会、日本透析医学会、日本内科学会 他 ■役職:公益財団法人 日本アジア医療看護育成会代表理事、愛知県病院会 参与

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■最先端の医療を提供

 1979年(昭和54年)に名古屋共立病院開設。3年後に医療法人化して現在に至るまで、透析患者さんの合併症対策を中心とした医療を展開してきました。合併症対策は腎臓内科だけではできません。そこで外科、整形外科などの診療科も整備しましたし、その過程で、がん対策、循環器疾患対策も必要なことがわかり、先端医療も投入することになりました。

 透析患者さんには強い侵襲をかけられません。そこでPET、ノバリス、ガンマナイフなどの先端機器も導入し、今では最先端医療を提供する病院だと評価されています。

 現在では透析患者さんだけでなく、一般のがんの患者さんも増えました。がんが進行してしまった患者さんのために今年6月にハイパーサーミアを導入し、放射線治療、化学療法と併用して治療効果を上げています。

■海外への進出

 今の日本の医療は高齢者医療がメインですが、団塊の世代が減ってくれば医療マーケットが縮小します。今後われわれがやるべきことは、新たな医療マーケットの開拓です。

 当法人では海外の患者さんの誘致と並行して海外での医療展開を図ることが必要だと考え、インドネシアに進出しました。

 インドネシアの首都ジャカルタに「KAIKOUKAI CLINICSENAYAN」を開設しました。日本の最先端医療機器を導入し、画像管理システムによる日本との連携などを行い、ハード・ソフトともに良質な医療を提供しています。

 次の展開としてはインドネシア大学、インドネシア腎臓学会などと協力して透析センターを整備していく予定ですが、1つ問題があります。インドネシアの透析医療は日本と異なり、診療報酬が4段階に分かれていて、大学病院、総合病院、一般病院、クリニックとでは金額が異なり、クリニックで透析を行うと採算が取れないんです。

 診療報酬を一本化するためにインドネシア大学と協力して政府との交渉をしていくつもりです。さしあたっては、インドネシア大学付属病院のサテライト病院を造れば採算がとれるようになると考えています。

■インドネシアの透析事情

 インドネシアでは透析患者さんの3割しか助けられていないのが現状です。たくさんの患者さんを救うためにはどんな規模の病院で透析を行っても経営が成り立つようにしなければなりません。インドネシアも日本同様に国民皆保険制度を導入しています。にもかかわらず助かる患者さんと助からない患者さんが出てしまう矛盾が生じています。この矛盾をどう解消するかが今後われわれとインドネシア大学、インドネシア腎臓学会が解決しなければならない課題です。

 EPA(経済連携協定)で日本に研修に来たインドネシアのナースの多くが国家試験に受からずに帰国しています。これにインドネシア政府は立腹していて日本の大使館にもクレームをつけているようです。

 私がインドネシア大使館を訪れたときにインドネシアで医療展開の要請を受けました。インドネシアのナースは日本の医療に対してあこがれを持っているので、国家試験に落ちて帰国した人を当法人で雇用してほしいということでした。

 また国家試験に落ちた人に再度挑戦する機会を与えたいとの思いで、公益財団法人日本アジア医療看護育成会を設立し、毎年数人のナースを日本に渡航させています。

■中国での展開を視野に

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KAIKOUKAI CLINIC SENAYAN(上写真)と同クリニックのスタッフのみなさん(下写真)

 これからは病院もグローバルな視点を持たなければなりません。

 現在、中国は病院が不足していて日本に医療を求める富裕層が増加しているんです。中国では患者さんが多すぎて医師が疲弊しきっています。時間に追われた医師は、どうしても治療がおろそかになっているようです。

 われわれは中国国内に事務所を開設することを検討しており、具体的には中国の東北部をターゲットにしよう思っています。東北部の富裕層は、北京や上海の病院に行っても診てもらえないそうなので、その需要を取り込めたらと考えています。

 今までにない事業を展開しているので、いろいろと苦労はありますが、あせらずにコツコツやっていくことこそが重要です。

■発想の転換を

 政府は介護難民をなくすことを旗印に掲げていますが、介護福祉士が不足している現状で、どう解決するというのでしょうか。低賃金の現状ではなかなか人が集まりません。日本の介護福祉士の待遇を改善するか、海外に人材を求めるか、解決策はどちらかだと思うのですが、具体案が出てきません。

 私は介護福祉士の資格の有無に固執しすぎるので人材が足りないのだと考えています。在宅でのちょっとしたお手伝いであれば、外国人の家政婦さんでもできるのではないでしょうか。地方の一軒家で空き部屋があるようなら部屋を用意し、住み込みで働いてもらう、そんな方法もあると思うのです。

 発想の転換で解決策はいくらでも見つかるはずです。もしリハビリが必要であれば家政婦さんに通所リハに連れてきてもらうこともできるでしょう。もっとも必要なのは24時間の生活ケアなんですよ。

 独居や老老介護が問題となっていますが、規制緩和して柔軟な発想をすれば問題は解決するだろうと私は考えています。いろいろな政治家にも同様の話をしているのですが、状況はなかなか好転しませんね。

■炭酸泉治療の可能性

 炭酸泉という言葉をご存知ですか。炭酸泉とは、炭酸ガスが溶け込んだ温泉のことです。医療分野では、1000ppm以上の高濃度の炭酸泉が医学的に効果があるとされています。

 1997年に三菱レイヨングループが人工炭酸泉生成装置を開発し、現在では多くの医療機関で導入されています。

 当院は日本で初めて人工炭酸泉治療を導入して、良好な治療実績を残しています。

 人工炭酸泉で足浴をすると血流が3倍に上がります。足浴後、血流は次第にもとに戻りますが、酸素濃度は、そのあとも高い濃度を維持し続けます。末梢の酸素供給を行うので壊疽(えそ)の治療などに高い効果を示しています。

 従来の人工炭酸泉の機械は大きく価格も高いのがネックでしたが、まもなく発売される機械は、小型で価格も約10万円なので、個人でも購入が可能です。透析の患者さんにもいいでしょうね。

 透析患者さんは冠動脈硬化、狭心症や心筋梗塞を抱えています。太い冠動脈はバイパスやPCIで広げることができますが、末梢の動脈硬化には不可能です。そういう部分に人工炭酸泉で治療をすると末梢への血流や酸素供給が良くなるので、心機能の改善が見込めます。

 心筋の不全はすべての透析患者さんが抱えていると考えて差し支えありません。心臓機能が守れるようになると、透析患者さんの生命予後の改善につながります。もう少し症例を蓄積して、しかるべき場で発表しようと思っています。

 人工炭酸泉の機械を使うと脳の血流も改善され、脳梗塞後の再発予防にも効果があるし、認知症の治療にも効果があると考えられています。炭酸泉と薬を併用して治療すれば、進行を遅らせることができるだろうと考えています。

 認知症治療は、リハビリテーションだけでは限界があると思っています。もう少し医学的な側面からのアプローチが必要ではないでしょうか。

 先日、テレビを見ていて認知症が改善したという内容の番組がありました。興味深く見ていたのですが、結論はというと「社会にでて活動すること」でした。確かにそういうことも大事かもしれませんが、それができない人がほとんどだと思います。やはり医療の介入が必要ではないかと感じていますね。

■変化する能力が重要

 進化論を唱えたダーウィンは「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である」との言葉を残しています。この言葉が私のモットーです。当院は、強い病院でも賢い病院でもないかもしれませんが、変化する能力は備えていると自負しています。

 保守的になると自分が楽することばかりを考え変化をしようとしません。そうすると沈滞が始まります。

 職員にはデイリーイノベーションという発想で医療に携わりなさいと言っています。この思想が職員の間にようやく浸透してきたかなと感じています。

■日本の医療の行く末

 TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)による日本の医療危機が叫ばれています。外国企業が医療に参入して国内の病院が淘汰(とうた)され、現行の一律3割負担の崩壊が危惧されています。混合診療を認めることで、所得の低い人に十分な医療が回らなくなるのではないかとも言われています。

 しかし、日本の医療は完全に厚労省が管理しています。社会保障の枠組みのなかでは企業は利益を出せません。企業は株主に利益を配当しなければいけないので、日本に参入するリスクは犯さないと思います。それよりもライセンスの共通化などで、人材交流が活発化することに期待したいですね。


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