医療の質と満足度で日本一の病院を目指す
―地域で果たされている役割について。
当院は整形外科の専門病院で、特に脊椎脊髄関係の治療を得意としています。
すでに大分県内の高齢化も進んでいますが、2025年には日本全域で超高齢化社会が到来します。高齢になると脊柱管狭窄症で下肢がしびれたり、背骨が曲がって日常生活に支障が出る患者さんが多くなりますので、今後、われわれ整形外科の役割はますます大きくなるでしょう。
保存療法などは開業医の先生の方が得意かもしれませんが、当院はそれでも治らない患者さんに対して手術療法を提供する病院と位置づけられると思います。
大分県内に限らず、宮崎、鹿児島、福岡など遠隔地から当院にいらっしゃる患者さんも多いですね。いわゆる医療圏としての守備範囲は広いのではないでしょうか。
―年間の症例数もかなり多いですね。
年々、手術件数は増えております。昨年は脊椎だけで575例、全体でも1千例近くの手術件数でした。今年は昨年を大幅に超える見込みです。団塊の世代が脊椎疾患の好発年齢にさしかかりますので、手術件数は今後もますます増えてゆくでしょう。
体力勝負ですので、体調維持には気を付けており、「日本一の整形外科病院」を目指すという目標、心意気は常に持っていたいと思います。もちろん症例数が多いというだけではなく、医療の質の向上、もっといえば患者さんの満足度で日本一を目指したい。そのためには整形外科の領域をすべて網羅して、最小侵襲から高難度の治療まで、すべて対応できなければならないでしょう。ほかではできないような手術にも挑戦していきたいですね。複数の病院を経てここにいらっしゃる患者さんもいますので、ていねいな手術や治療を心がけ、「整形外科の最後の砦」自負を持とうと思います。
―地方の病院が生き残るために、なにが必要でしょうか。
地方だからといって立場に甘んじるのではなく、世界の最先端の動きを敏感にキャッチしなければなりません。地方だから時代遅れの治療しか提供できないというのではなく、学会に積極的に参加して新しいものを取り入れることで、中央の大病院とも渡り合える病院であり続けたいと思います。逆に、大分から中央に技術を発信できるようにしたいですね。
―今後は、どのような点に注力されますか。
患者さんは高齢化していますので、出血の少ない安全な低侵襲手術を心がけていますが、ますます磨きをかけていこうと思います。
また、高齢者の場合、退院したからといってすぐに自宅に帰ることができないことがあります。そういった場合、在宅生活や社会復帰に向けた根気強いリハビリが必要になります。幸い、この地域周辺には回復期リハを行ってくださる病院がたくさんあります。そういう面では、今後も病院間の協力体制を大事にしたいですね。