病院存続の危機を乗り越え、次のステップへ

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名鉄病院 細井 延行 病院長

千葉県立船橋高等学校卒業 1974 大阪医科大学卒業 名古屋市立大学産婦人科学教室入局 1976 名鉄病院赴任 2005 名鉄病院副院長 2009 名鉄病院病院長 ■主な所属学会・資格等 日本産婦人科学会認定医、母体保護指定医、日本女性医学学会(認定医、評議員)等

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■青天の霹靂

 2009年の7月に病院長に就任しましたが、それまでは病院長になるなどとは夢にも思っていませんでした。

 まだ病院長になる前の事です。病院を辞めて開業でもしようかと考えていたある日のことです。名古屋鉄道本社から突然の呼び出しを受けました。何ごとかと思って本社に赴くと、以前から問題となっていた老朽化した1号館の建て替えプロジェクトと、名鉄病院の経営ビジョンの策定を、プロジェクトリーダーとして考えて欲しいとのことでした。

 当時の1号館は築50年と老朽化が著しく、耐震基準を満たしていませんでした。また当時は、病院の経営が非常に苦しい時期でもありました。1号館の建て替えと経営建て直しの使命を帯びて計画に着手し、その後、病院長を引き受けることになったのです。

 病院長に就任して1年。いよいよ建て替えに着手しようとしていた矢先のことです。リーマンショックの余波で建て替えが白紙になってしまいました。その後、しばらくは病院の存続も危まれるほどの困難な時期が続きました。

 それから3年が経過し、リーマンショックの嵐も過ぎ去りました。病院経営も一時に比べてだいぶ改善し、これが本社にも認められ、1号館建て替えにつなげることができました。

■病院の存続をかけた取り組み

 この地域には第一日赤病院や西部医療センター、名古屋医療センターなど高度急性期を担う病院から、名城病院など当院と同様の規模の一般急性期病院まで多くの病院が密集しています。

 競争が激しいこの地で、当院がいかに生き残っていくかを考えると、よその病院とは違う当院ならではの特徴を出すしかないだろうと考えました。

 まず力を入れたのが救急です。断らない救急をやろうと救急外来を作り、積極的に救急車を受け入れました。

 また当院は名古屋市から指定を受けた認知症疾患医療センターやこの地域で既に広く認知されている予防接種センターもあり、更に整形外科分野の関節鏡センターや女性専門泌尿器科の「ウロギネセンター」、内視鏡センター、糖尿病センターなど他の医療機関に先駆けて専門外来を設けてきました。専門性の高い分野に取り組むことで、今では外部から一定の評価を得るまでになりました。

 昔から評価されてきた分野を維持しつつも新しい取り組みをすることで他院との差別化を図ったことが経営安定化の一因になっているのではないでしょうか。

■良質な医療のために

 経営も改善して1号館が完成しました。私は、これからが本当の勝負だと思っています。「仏つくって魂入れず」ではいけません。

 私のモットーは「良質な医療」。患者さんから「この病院で診てもらって良かった」と言ってもらえることが大切です。職員には患者さんのニーズに耳を傾け、患者さんが満足する医療を提供しなさいと口を酸っぱくして言っています。

 一人ひとりの患者さんに満足して帰ってもらうようにすれば、結果的に地域医療への貢献につながります。「あの先生がいるから名鉄病院に行きたい」と思ってもらえる病院にしたいですね。お世辞かもしれませんが、私に「先生がいる間はここに来るからね」と言ってくれる患者さんがいます。そういうことを言われるとつくづく医者を続けていて良かったと感じますね。

 チーム医療が必要と言われますが、本当にそうだと思います。各チームのトップに優秀な人材がいればチームとして業務も円滑に回り、その結果として病院全体に良い影響を及ぼします。いま、うちの病院はそれが出来ていると思っています。

■最初の5年が肝心

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 研修医に来てもらうためには病院としての魅力があるかにかかっています。研修施設を評価する、第三者機関の卒後臨床研修評価機構という団体があります。この団体の評価を当院も受審することになりました。当院の研修施設としての評価を高めることが目的で、現在準備中です。

 私の時代は、臨床研修制度はありませんでしたが、とにかく最初の5年間が大事だと思うんです。

 婦人科の後輩には、いつも「最初の5年間は何を聞いたって恥ずかしくないよ、どんどん質問しなさい」と言っています。わからないことを放置しても診療はできるかもしれませんが、人を指導する立場になったとき、それでは困ります。次第に自分を偽って診療するようになり、つらい思いをするでしょう。

■外部の風を入れる

 当院は看護専門学校を併設しています。そこを卒業した人のほとんどが当院に入ってくれるので、とても助かっています。いわば生え抜きなので病院を愛する気持ちが強く、みなさん優しいですね。唯一、憂慮しているのは、ほかの病院を知らぬがゆえに井の中の蛙になってしまうことです。

 私が病院長に就任してから、看護部長と薬剤部長に外部の人間を登用しました。本当はそうしたくなかったのですが、外の風を入れないと思い切った改革を断行できないと感じたからです。

 周囲からは「よくそんな思い切ったことができたね」と言われましたが、病院をよくするために当然のことをしたまでだと思っています。

■チャレンジ精神を忘れずに

 若い人にはチャレンジする気持ちを忘れないでほしいですね。ただ、それをやらせるには誰かが責任をとる覚悟を持たなければなりません。

 若い人がミスをすると、本人に責任をとらせようとする人が中にいます。責任を取る覚悟がないばかりか、部下に責任を取らせようなどとはもってのほかです。そういう人を私は決して信用しないし、評価もしません。

 若い医師には、ミスを恐れずにとにかくやってみろと言いたいですね。そのために我々も最大限のバックアップを惜しみません。


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