今が英知の試しどころ ―誰もが「長生きして良かった」と思える社会を目指して―

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特定医療法人 茜会 昭和病院 佐栁 進 院長

1974 山口大学医学部卒 1980 大阪大学大学院医学研究科社会系修了(医学博士)、大阪大学医学部附属病院 1981 厚生省(現厚生労働省)入省 1987 厚生省健康政策局総務課保健医療技術調整官 1989 岩手県環境保健部長 1993 厚生省薬務局監視指導課長 1995 千葉県衛生部長 1998 厚生省健康政策局研究開発振興課長 1999 厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課長 2001 厚生労働省大臣官房厚生科学課長 2002 国立下関病院(現国立病院機構関門医療センター)病院長 2015 特定医療法人茜会昭和病院長東亜大学大学院教授、日本医療マネジメント学会理事・評議員、(財)循環器病研究振興財団評議員

 今年春、関門医療センター(山口県下関市)の病院長を退き、昭和病院(同)に赴任した佐栁進院長。就任の思い、病院の特徴などを語ってもらった。

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―昭和病院の院長になったその理由は。

 昨年の6月30日のことでした。里帰り出産でこちらに戻っていた娘が、陣痛のさなか、クモ膜下出血を起こしたのです。孫は緊急帝王切開で無事に誕生。でも娘は最重症で、脳外科の手術を立て続けに3回、その後、シャントもしました。その後、かなり回復しましたが、現在も高次脳機能障害と懸命に闘っています。

 そのころの私は、急性期病院である関門医療センターの病院長。「命を助けることだけが医療の役割ではない」と頭では理解していましたが、緊急で運ばれてくる患者さんの対応に精いっぱいというのが実態でした。しかも、当時は数カ月後には退官を予定し、その後は好きなことをして生きていこうと思っていました。「やり残したことはもうない」とも思っていたのです。

 しかし、娘の突然の病気によって、この社会は、みんなが長生きして本当によかったと思える社会になっているだろうか、豊かな成熟した社会といいながら、まだまだなのではないか、と考えさせられました。

 また私は、長年、厚生労働省で働き、21世紀になる前から、超高齢社会の問題を大きなテーマとしてきました。

 そんなこともあり、高齢者も障害者も、「長生きしてよかった」と思える社会の実現のために、大きなパワーを持っているこの昭和病院で、もうひとふんばりしたいと思うようになったのです。

 2025年問題と騒がれていますが、2025年以降も日本がどうやっていくかが大きなポイントで、世界からも注目されています。日本の英知の試しどころでしょう。

―昭和病院の大きなパワーとは。

 1つ目は、この病院を中心とするグループの活動の幅が広いということです。

 特定医療法人茜会には2病院(うち1つは指定管理者)、4診療所があり、さらに訪問看護・介護、デイサービス、通所や訪問のリハビリにも力を入れています。また同じグループには社会福祉法人暁会があり、特別養護老人ホームなども運営しています。地域のプライマリーケアに、相当な責任を持って取り組んでいると感じます。

 2つ目は、人材です。地域には、急性期の病院にはいられない、でも自宅にも帰れない、と行き場を失っている高齢者が相当いることを、私はここに来て再認識しました。そして、そのことを直視し、高齢者のために一生懸命働いている職員がこの病院にたくさんいることに感心しました。

 たった30年前にこの病院のはじまりとなる「吉水内科」をつくった会長は、世の中の動向を先取りし、ここまで地域に信頼される法人を作り上げた鋭さを持つ方です。鋭いオーナーと、よく動く職員。それがエネルギーではないでしょうか。

―病院の特徴と、今後、目指すことは。

 398床の病院で、急性期から回復期、維持期・慢性期の方を受け入れています。県内の神経難病の患者さんを早い時期から受け入れてきましたし、回復期リハビリ病棟の導入も県内でもっとも早かったと聞いています。

 これからは、この病院の良さをさらに磨き上げながら、さらに医療から介護までを考えた技術開発やシステムづくりをしていきたいと思っています。そして、それをつくりだすフィールドが、このグループにあるとも思っています。

 例えば、リハビリの分野などは、まだまだ開拓の余地がたくさんあるでしょう。娘の件でも感じたことですが、患者さんの命の質を高めるための技術の見直しや開発は、とても価値のあることだろうと思います。


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