次の50年に向けた病院づくりを

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地方独立行政法人 岐阜県立下呂温泉病院 山森 積雄 理事長兼院長

山森 積雄(やまもり つみお)
1973 岐阜大学医学部医学科卒業  1974 岐阜大学医学部附属病院 大雄会病院 1975 岐阜大学医学部附属病院 1976 金山町国民健康保険病院 1981 岐阜県立岐阜病院外科医長 1982 国保関ヶ原病院外科医長 1986 岐阜県立岐阜病院外科医長 1994 同中央手術部長兼外科医長 2003 岐阜県立下呂温泉病院副院長 2007 同院長 2010地方独立行政法人岐阜県立下呂温泉病院理事長兼院長

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■2014年、病院を新築移転

 昨年、当院は下呂市幸田から約2km離れたこの地に新築移転しました。

 当初は結核療養所があったこともあり当時の下呂の町の郊外にあったんですが、町の発展とともにいつしか中心部にある病院になってしまいました。周囲にたくさんの家が建ち土地がなくなり建て増しができない、駐車場が少ない、苦情があることもしばしばでした。河川敷に駐車場をつくるなど、その都度、対応をしていましたが、手狭であることには変わりがなく、昨年5月にこちらに移転してきたんです。

 前の病院は47年間使いました。新しい病院も50年たっても使えることを前提に設計しました。

 新病院の敷地内に高野槇(こうやまき)を植樹しました。高野槇はゆっくりとしか成長しませんが、木の材質が非常にきめ細かく、水を漏らさない特徴があるんです。舟や浴槽の材料として使われていますが、成長が遅いために現在はあまり植えられていないんですよ。

 植えたばかりなので、まだ小さいですが50年後には立派な木になっていることでしょう。この木が大きくなる50年後まで必ず病院を継続させるんだという、強い信念のもと、この高野槇を病院のメインシンボルとしました。

 新病院は動線に徹底的にこだわりました。前の病院は増築を繰り返して非常に動線が悪かったんです。たとえば脳神経外科の入院患者さんは、エレベーターで1階降りて別棟へ移動、もう1回降り、さらに移動、次は上がって、ようやくMRIへと都合3回エレベーターに乗る。とても効率が悪かったんですよ。

 外来機能を一フロアに集約させたことも特徴です。外来の患者さんは、すべて1階で診られる構造になっています。また動線を分かりやすくするために、各診療科の配置を工夫しています。

 2階にはセンター機能として、透析センター、リハビリセンター、総合健診センターを配置しています。

 3〜5階は病棟です。患者さんのアメニティーを最優先して病室は全室個室にしています。

 前の病院では6人部屋をカーテンで仕切れるようにして個室のような空間を演出していました。使用状況をみると6人の患者さん、すべてがカーテンを閉め切っていました。

 今は在院日数が短くなっているので、患者さん同士の人間関係が希薄になり、同室患者さんとのコミュニケーションを取る必要性が薄れているのも要因のひとつかもしれませんね。

 病室には全室ベランダを造りました。万が一の火災でもベランダ伝いに避難できますし、転落防止にもなるんです。

■病院名の由来

 1957年に敷地内に温泉を掘ってもいいとの承諾を地元の有志からいただきました。それで温泉を掘ったところ2年後に温泉が出たんですよ。それで下呂病院から下呂温泉病院に改名したんです。

 新築移転を機に温泉の表記を外そうかとの意見が出ましたが、地元の皆さんの要望もあり温泉の表記を残すことにしました。

■深刻な医師不足

 当院は病床数206床です。この規模の病院は医師を引き抜かれやすいんですよ。200〜300床クラスの病院は同様の悩みを抱えているのではないでしょうか。

 当院くらいの規模の病院では、診療科によっては、医師が4人から3人になっても忙しくはなるけど、なんとかやっていけるんです。しかし1人か2人の診療科から医師を引き抜くのはモラルに欠けます。

 医師不足のため当院で、すべての疾患を完結することができなくなりました。

 当院で対処できない場合は、岐阜大学医学部附属病院や岐阜県総合医療センターに送っています。ドクターヘリを使えば15分ほどで搬送が可能です。

■接し方も一流であれ

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 自らの技術におぼれ、患者さんへの心配りをおろそかにした結果、しっぺ返しを受けた医師をたくさん見てきました。

 神の手と呼ばれるほどの技術を持つ医師が突然手術ができなくなることがあります。

 患者さんとの信頼関係がないとミスがあった場合、訴訟などのトラブルが起きてしまうんです。

 医師は、医療技術だけでなく患者さんへの丁寧な接し方が求められます。技術は一流でも患者さんと話さない、扱いが悪い医師は一流の医師とは呼べません。


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