患者さんの背景もみなければなりません

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

出雲市立総合医療センター 杉山 章 院長

杉山 章(すぎやま あきら) 1974 岡山県立津山高等学校卒業 岐阜大学医学部医学科入学 1980 同卒業 1983 高知県立中央病院外科副医長 1990 岡山大学医学部心臓血管外科教室 1992 同助手 矢掛町国民健康保険病院副院長 1996 町立金川病院副院長 1997 平田市立病院外科部長 2003 出雲市立総合医療センター副院長 2012 同院長

c11-1-1.jpg

■患者の背景をみる

 出雲市には、島根県立中央病院や島根大学医学部附属病院など大きな病院があるので、それらの病院との役割分担が必要です。当院は199床の中規模病院なので、地域住民への一次、二次救急はもちろん、高度急性期病院の後方支援的な役割を果たす必要があります。

 中規模病院は、かかりつけ医の役割も担っていかなければなりません。専門に偏りすぎずに、患者さんの疾患だけでなく、その背景をみていく必要があります。

 当院は当直を1人体制で行っています。どのような症状の患者さんが来るか分からないので、幅広い知識を持つ医師が求められます。

■職員の若返り

 当院の看護師は地元出身者がほとんどですね。平均年齢が44歳くらいで年齢層が高く、今後の行く末を案じていましたが、数年前、出雲市に医療看護専門学校ができて毎年実習に来てくれています。看護師が頑張って指導してくれるおかげで、実習環境が良いとの評価を学校からは受けていて、卒業生が入ってくれるようになりました。

 最近では若い検査技師や栄養士も入ってきて、病院全体が若返りつつあります。

■働きやすい環境づくりのために

 病院改善カンファレンスを定期的に行っていて、今年は入職して2年目くらいの若い職員に自由に意見を言ってもらっています。病院に対する思い、要望などを語ってもらい、そのなかで採用できるものがあれば病院として意見を取り入れます。多様な意見を病院全体で共有することで、今まで見えなかった問題点を浮き彫りにできます。

 若い人でも自分の意見を言えば環境が改善すると認識することで、モチベーションが上がります。何を言っても環境が変わらないと、職員は不満を内にためてしまい、ある日突然辞めてしまいます。思いを外に吐き出してもらい、できうる限り要望を叶えてやることが働きやすい環境づくりにつながると思っています。

 また、院長ふれあいメールをつくって職員からの要望を聞く取り組みもしています。職員が私に直接意見をぶつけられるようにアドレスを作ったのですが、まだまだ浸透していません。遠慮や緊張もあるのかもしれませんが、少人数の病院なので、ざっくばらんに胸の内を明かしてもらいたいと思っています。

■訪問看護に取り組みたい

 地域の開業医のみなさんの高齢化が進んでいます。後継者がいるかというとそうでもありません。このままでは数年後に、往診も含めた訪問診療が手薄になることが予想されます。

 現在構想中で、まだ形にはなっていませんが将来的には在宅の患者さんをみる訪問看護を当院が行い、病院内だけではなく在宅も含めて診ていく仕組みを考えています。

 ただ当院が独走してもうまくいかないので、医師会や既存の訪問看護施設とも十分なコンセンサスを取った上で進めていくつもりです。

■患者さんに尊敬の念を

 私は新人研修のときに心構えとして「患者さんの気持ちになって行動する」「笑顔で患者さんと接する」「職員間の連携を密にしてチーム医療を行う」ということを言っています。

 もうひとつは新人以外にも言うことですが「病気だけを診るのではなく病気を持ったひとりの人間としてみなさい」ということ。患者さんを人として尊敬の念をもって接してほしいと言っています。

 患者さんの多くは医療従事者よりも年長で、人生の先輩です。おじいちゃん、おばあちゃんという意識で接すると、親しみやすさを感じる人もいるかと思いますが、そうではない人もいます。はじめは敬意をもって接し、コミュニケーションが構築できたと思ったら打ち解けた口調でも構わないかもしれません。

■感受性豊かな人間になってほしい

 若い人にはいつも「医療知識を高めるのも必要だが、心を磨いてください」と言っています。芸術に接したり、本を読んだりすることで感受性豊かな人間になります。人間を相手にする職業なので、コミュニケーション能力は大事です。人と接する機会をしっかり作ることが重要です。

 現在の医学教育は人格形成の面がおろそかにされています。医師になってもコミュニケーションが苦手な人が増えています。心が弱く打たれ弱い人も増えました。人間性をしっかり磨いていく必要があると感じています。


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

九州初の地下鉄駅直結タワー|Brillia Tower西新 来場予約受付中

九州医事新報社ブログ

読者アンケートにご協力ください

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

暮らし継がれる家|三井ホーム

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【今月の1冊, 今月の一冊】
イメージ:今月の1冊 - 88. AI vs. 教科書が読めない 子どもたち

Twitter


ページ上部へ戻る