これまで以上に充実したがん医療を提供したい

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独立行政法人国立病院機構 四国がんセンター 栗田 啓 院長

1976 岡山大学医学部卒業 同附属病院第二外科医員 岡山赤十字病院勤務 1978 倉敷第一病院勤務 1979 栗林病院勤務 1980 岡山大学医学部附属病院第二外科医員1982 同病理部医員 1987 同第二外科助手 国立病院四国がんセンター外科医師 1989 同外科医長 2002 同診療部長 2004 国立病院機構四国がんセンター統括診療部長 2009 同副院長 2013 同院長 ■資格:日本癌治療学会臨床試験登録医、日本がん治療認定医機構消化器がん外科治療認定医、日本外科学会外科指導医・専門医、日本消化器外科学会指導医・専門医

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―10月は乳がん月間です。

 日本人の死因の第1位は1981年から現在まで、がんです。疾患全体の年齢調整死亡率は年々低下してきていますが、乳がんに関しては少しずつ上がってきています。

 患者数も増加傾向で、今年は9万人弱が発症すると推計されています。

 乳がんは比較的若いうちに発病します。高齢になってもかかる人はいますが、女性ホルモンの分泌も関係しているので割合としては低いですね。

 ほかのがんが高齢になるほど罹患率が高くなるのとは逆の傾向を示しているんです。

 乳がんの予防には、まずは検診を受けることです。乳がんは、ほかのがんと違い、自己診断ができます。乳房を触ってみてしこりを感じたらすぐに病院を受診することをおすすめします。

 胃がんや大腸がんなどは局所に留まる傾向がありますが、乳がんは早い段階で転移すると考えられています。治療には抗がん剤の投与やホルモン療法、分子標的薬を用いており、将来的には免疫チェックポイント阻害剤の投与も考えられます。病態に応じてさまざまな治療法を組み合わせるのが乳がん治療の特徴ですね。

 乳がんは遺伝する可能性があると言われています。一昨年、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが乳がんリスクが高くなる遺伝子に変異があるのを知って、予防のために両乳腺を切除する手術を受けました。

 この手術の公表は世界的に大きなインパクトを与えました。

―四国がんセンターの乳がん治療の特徴を教えてください。

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 当センターでは昔から乳がん治療に力を入れており、治療実績の高さは近隣にも聞こえているようです。遠方からも患者さんが来てくださっているのでありがたいですね。

 一般的に乳房温存療法では局所再発の可能性が残るので、放射線治療を並行して行わなければなりません。放射線を当てることで乳房が変色・変形してしまうことがありますし、時間もかかります。そこで当センターでは、積極的に乳房再建を前提とした乳房切除術を行っています。形成外科とタイアップして、術後6カ月はティッシュエキスパンダーを大胸筋の裏側へ入れて皮膚を伸ばします。その後にシリコンインプラント(人工乳腺、500種類ほどある)を挿入することで自然な形と弾力を再現できます。

 乳頭に関しても、30種類以上あるエピテーゼ(人工乳頭)から各人に合ったものを選び装着できます。今は保険も適用されるので、積極的に推し進めています。

 アンジェリーナ・ジョリーさんが受けた手術はまさにこの方法でした。

 臨床試験の段階ですが、小さな腫瘍に対しては、ラジオ波焼灼療法も行います。電極針を病変部に刺して、ラジオ波電流を通電して腫瘍を焼く療法で、手術時間が短かく美容的メリットが大きく有効性が高い治療法です。ただし、この治療法は局所治療なので乳房温存術と同様に放射線治療を並行して行わなければなりません。

 当院の強みはチーム医療です。いろいろな科と一緒になって患者さんを支えています。

 前述のアンジェリーナ・ジョリーさんの手術が契機となり、遺伝性の家族性乳がんが、にわかに注目を集めています。自分あるいは家族の将来を案じて精神的に不安定になる方もいます。そこで、当センターでは、遺伝カウンセラーや医師がメンタル面のケアを行っています。

 将来発病する可能性を伝えて終わりではなくてその後のケアも重要なんです。当センターのカウンセラーは女性なので、患者さんも話しやすいのではないでしょうか。

―愛媛のがん医療の現状については。

 昨年、厚労省が、がん診療拠点病院の整備に関する新指針を各都道府県知事に通達しました。適切ながん治療を全国どの地域でも受けられるようにとの考えからです。

 愛媛県内には7つのがん診療拠点病院があります。

 四国がんセンターは各病院を訪問して厚労省が定めた基準を満たしているかどうかのチェックをする役割を担っています。当センターと他の拠点病院がペアになって行うのですが、基準のチェックを通じて互いの長所を認め合い切磋琢磨していくことができるという副産物があります。

 年に4、5回開かれるがん診療拠点病院間の会議では、訪問で気付いたことを発表して改善に努めています。これまで以上に充実したがん医療を県民に提供すべく、病院間の団結を強めていくのが我々の使命です。

―医師になろうと思ったきっかけはありますか。

 小学生のときにファーブル昆虫記を読んで、昆虫学者になりたいと思っていました。中学生になるとシュバイツァーの伝記に感銘を受けて医師を志しました。その時の気持ちは今も持ち続けています。

 院長になってからは手術をする機会が減りました。今の私の仕事は、人材の育成です。たまに手術を手伝うと若い医師から「そこ押さえて」と言われることがあります。「はい」と従いますが、後で若い医師は、はっと我に返り、あわてて敬語に戻ります(笑)。

 最近は私が手術に入らない方が、皆さんのびのびできるのかな、とも考えますね。以前は手術中に困ったことがあるとしょっちゅう電話をかけてきていましたが、最近ではそれも減りました。皆さん着実に成長していると感じるのでうれしい限りです。


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