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香川県立中央病院 川上 公宏 院長補佐

川上 公宏(かわかみ きみひろ)
1987香川医科大学医学部附属病院第1内科入局 1988国家公務員等共済組合連合会呉共済病院内科医師 1993国立がんセンター研究所細胞増殖因子研究部研究員(厚生技官) 2002静岡県立静岡がんセンター血液・幹細胞移植科部長2014香川県立中央病院院長補佐

 香川県立中央病院は県の基幹病院として、がんと急性期医療を中心に「県民医療最後の砦」としての役割を担っている。

 川上公宏院長補佐にがん診療の特色と今後の取り組みについて話を聞いた。

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―がん診療の特色を教えてください。

 香川県立中央病院のがん診療の特徴は、標準的ながん医療を確実に提供できることを最優先にしていることです。まずは土台を固めてから先進医療や研究的な治療を行っています。

 がん治療は、「手術」「化学療法」「放射線治療」の3本柱で成り立っています。疾患別のガイドラインを診療科の垣根を越えて作成しており、それに基づいて必要な治療手段を決定しています。

 手術ですが、がん登録数を見ますと香川県で患者数がもっとも多い施設なのですが、標準的な手術を中心により患者にやさしい手術を行っています。

 胸腔・腹腔鏡手術にも力を入れており、内視鏡手術が多いのも大きなポイントです。また泌尿器科が中心になってダヴィンチを用いたロボット支援手術も積極的に行っています。

 化学療法では、従来の抗がん剤治療と、近年、劇的に進化した分子標的薬を状態に応じて使用しています。当院には外来の化学療法を行う通院治療センターがあります。2人のがん薬物療法専門医を中心に運営していて20床のベッドを置いています。看護師および薬剤師の指導のもと生活指導、食事指導、服薬指導など手厚くサポートしています。時に心理療法士の援助も行うことがあります。

 放射線治療においては昨年3月に新築移転した際に高精度放射線治療機のノバリスTxを導入しました。患者さんの体の動きに合わせて放射線を当てる定位照射ができるのが最大の特徴で、時間の短縮が可能となりました。

 放射線治療は、「患部に放射線を当てて終わり」といったイメージを持っているかもしれませんが、そうではありません。綿密な治療プログラムを組む必要があり、膨大な時間を費やします。現在は放射線専門医が1人しかおらず負担が大きいので、あと2人ほど増員したいですね。

 がん診療連携拠点病院指定要件のキャンサーボード(多職種が集まって治療方針を決定するがんの評議委員会)を定期的に開催しています。当院の長所は各診療科の垣根がないところなので、毎回活発な意見が出ていますよ。

 安全で確実な抗がん剤投与のために電子カルテのレジメンオーダーシステムも導入しています。診療科ごとではなく臓器別にオーダーしていますが診療科間の風通しがいいので、とてもスムーズに行えています。

―今後、力を入れていく取り組みはありますか。

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高精度放射線治療機「ノバリスTx」

 近年の免疫療法の進歩には目を見張るものがあります。まだ当院で治療実績はありませんが、大学病院勤務時代の研究テーマでもあるので今後は力を入れていきたいですね。

 再生医療にも本格的に取り組む予定です。この領域には研究所としては厳格な施設基準がありハードルは高いですが、医療を提供する施設の基準はクリアできると思われる部門を持っていますので対応できると思っています。

 当院は急性期医療に力を入れており、ヘリコプターが救急患者を載せてよく飛来してくるのもその表れだと思います。私自身は、「急性期医療もできるがんセンター」にすることが夢ではあります。

 がんは日本人の死亡原因の1位ですので、後継者の育成にも力を注がねばなりません。

 さらに、1類感染症病棟を設置する計画があります。私は現在、血液内科、腫瘍内科、HIVの患者さんを診ています。それに加えて1類感染症も診るとなると大変ですが、我々には県民が必要とする医療を提供する使命があるので身を粉にして働いていくつもりです。

―病院が地域で果たすべき役割について。

 最先端医療も必要ですが、まずは多くの患者さんに必要とされる標準的な治療を提供しなければなりません。

 国立がん研究センターに勤めていたころは、がんの患者さんが心筋梗塞を起こすと、よその病院に送るしかありませんでした。近隣に大きな病院がたくさんあれば問題はありませんが、ここではそういうわけにはいきません。当院にはがん治療を行いつつ、合併症を診ることができるメリットがあります。地方では都会の病院と違って専門性の高さだけを誇っているわけにはいきません、より幅広い領域を診ることが求められます。

―後進の医師へのメッセージをお願いします。

 医師の世界には、先輩から後輩へと無条件に愛情を注ぐ、古き良き伝統が色濃く残っています。一般企業では、たとえ後輩であってもライバル意識が強いと思いますが、医師の場合は、ライバルではなくあくまでも大切な後輩です。この伝統を大事にして、先輩に教わったことを後輩に伝えていってほしいですね。

 呉共済病院時代に出会った先生が、生涯の恩師です。当時は患者さんに尊大な態度をとる医師が少なくありませんでしたが、先生は患者さんと目線を同じにしてさらに敬意を払っていました。その姿を見て医師とはかくあるべきだと気づかされました。

 先生は「専門医かどうかを決めるのは患者さんだ。患者さんに認められなければ本当の意味での専門医ではない」と言われておりもっともだと今でも思っています。一緒に仕事をしたのは4年間でしたが、語りつくせぬほどの思い出があります。

 先生との思い出は私の医師人生の礎であり糧となっています。これからは私も自分の経験を後輩に伝えていかなければならないと思っています。


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