医療法人AGIH 秋本病院 秋本 亮一 理事長・院長
福岡市中央区警固(けご)、市街地にある秋本病院。外科、内科、胃腸科など8診療科、一般病床34、緩和ケア病床16床を有している。
―病院の特色は。
当院は50床の病院です。福岡市の医療過密地域で何をしたら存続できるか。特色を出していくしかないでしょう。
そこで救急、消化器疾患、緩和医療の3本柱を立てています。
当院は1946(昭和21)年の開院当初、秋本外科医院という名前で外傷を主に診療していました。ですから救急にずっと携わってきましたし、福岡市救急病院協会設立時のメンバーでもあります。救急は医療の原点だと思うんです。だから、そこから離れることはできない。離れたくない。そんな使命感があります。
ただそうは言っても専門性が必要です。私が消化器外科医ですので、消化器疾患を2本目の柱としました。外科手術のほか「消化器内視鏡センター」では胃・大腸の内視鏡検査やポリープ切除といった治療に取り組んでいます。痛みや苦痛を和らげる「緩和ケアセンター」、健康診断や人間ドックのための「健診センター」も併設し、がんの発見、治療、亡くなるまでと、一貫して診られる体制をとっています。
2005 年福岡市・大名から新築移転した秋本病院
秋本病院1階の玄関を入ってすぐの壁は、1953年、秋本外科医院だったころの外観写真になっている。
初代院長が使った医学書と顕微鏡も展示され、来院した人の目を引いている。
―今後の方針を聞かせてください。
3本柱を磨きに磨くことです。今後、医療は在宅への移行が進みますが、当院は在宅に手を広げるというよりも、在宅を診ていらっしゃる診療所の先生方と連携し、在宅で転倒したり、発熱をしたりした方を受け入れ、また在宅へお返しする、または療養型の施設へ移ってもらう、そういう役割を果たしていきたいと考えています。
―スタッフも含めすてきな雰囲気の病院ですね。
当院が現在の中央区警固に新築移転したのは2005年。目指したのは「病院らしくない病院」です。待合スペースをフローリングにし、医師や看護師のユニフォームも白衣ではなくカラフルなものにしました。入院して、心が休まる、和める、そんなコンセプトです。
職員にいつも話すのは「正直であれ、親切であれ」ということ。私たちがやっていることは、あくまでも患者さんが健康になるためのお手伝いです。食事の指導をしても、投薬しても、それをきちんと守ったり服用したりしなければ治りません。けがでもそうです。結局、治すのは患者さん自身。ですから、われわれ医療者が基本的な部分で患者さんに信頼していただかないといけないんです。
―いつ医師になろうと。
親の背中を見て育ち、漠然と医師になろうと思っていましたが、本格的に勉強を始めたのは高校3年の秋。大学院を終えて2年間はアメリカで肝移植を学びました。研修医時代と留学時代は、集中してよく勉強しましたね。ベッドサイドでの勉強も、本を読んでの勉強も。その時に身につけた知識と技術は、私の基礎になっています。
今、福岡市救急病院協会の会長で3期目です。重症患者は三次救急の病院へ、中軽症患者は当院など中小病院へ。救急病院は減っていますが、すみ分けと役割分担がうまくいき、良い状態で機能していると感じています。