地方独立行政法人 静岡県立病院機構 理事長 静岡県立総合病院 田中 一成 院長
ふじのくにねっと■
会長を務めている「ふじのくにねっと」は、インターネットで電子カルテを結ぶネットワークです。当初は病院と診療所の連携を目的に、圏外の診療所を結ぶ形で始まりましたが、現在は病院間の連携で広く使用されています。
静岡と浜松の間にある中東遠地域においては、それぞれの自治体は立派な病院を持っていますが、医師が不足しており特に救急患者さんの情報提供に使われています。診療所はまだ本格的な電子カルテに移行していないので、このネットワークはちょっと使いにくいのかもしれません。
循環器や脳神経外科などの緊急オペのときに情報を先にいただけるので対応がある程度決まった状態で患者さんを受け入れることができるというメリットがあります。より安全でスムーズに治療できるのは大きいでしょう。訪問看護ステーションでも使われていて、退院後の患者さんの情報や退院時にどんな指示を受けていたのかなどを看護師さんが閲覧できます。そちらのほうの利用の伸びが目立っています。
魅力的な病院へ■
病院運営については、政府の方針と無縁ではいられません。国としては医療費負担を減らすという大目標があり、しかし、医療側は先進医療を取り入れざるをえない。
また、今後おそらく導入されるであろう民間医療保険について、県立病院としてどこまで対応するのかという問題は、いまだ全貌が見えないだけに悩ましい限りです。
当院は、県民に最新医療を提供するという使命があり、優秀な医師の確保とあわせて特に注力すべき課題です。その対策として魅力的な病院であり続けるために、2年後をめどに研究所を作る予定です。
大規模な臨床研究ができる研究所で、臨床研究だけではなく県内の公的病院の医師が学習できるような環境も作りたいと考えています。医師にとって魅力的な病院とは自己研さんできる病院です。必要な臨床研究に参加できることや先端分野の系統的知識を得ることができるそういう環境を提供したい。認定看護師や専門看護師資格は病院が補助するシステムがありますが、医師はそういう環境にない。むしろ医師こそ勉強する時間が必要で、ある程度の年齢になっても勉強できるような環境を作り、なんとか静岡県の医師を増やしたいですね。
職員数■1500 人(再任用及び有期職員425 人)2015 年4 月1 日時点
看護体制■一般病棟7:1、結核病棟10:1/指定医療機関■健康保険医療機関.国民健康保険療養取扱機関.労災保険指定医療機関.結核予防法指定医療機関.生活保護法指定医療機関.原子爆弾被爆者一般疾病医療取扱機関.指定自立支援医療機関(更正医療・育成医療・精神通院医療).養育医療指定医療機関.母体保護法指定医療機関