医療のカギは「人」

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社会医療法人仁生会 三愛病院 深田 順一 院長

1974京都大学医学部卒業 1982米ボストンマサチューセッツ総合病院・ハーバード大学研究員 1993静岡市立静岡病院内分泌科科長 1995高知医科大学(現高知大学医学部)第一内科助教授 2006高知医療センター副院長 2015三愛病院院長

 今年4月、高知市の三愛病院に深田順一新院長が誕生した。急性期病院である高知医療センターで副院長を9年勤めた後に、高齢者の療養を主とする三愛病院を選んだ深田院長。新たな挑戦の場への思いやその歩みを聞いた。

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 ―急性期病院から療養型病院へ。その決断の背景はなんでしょう。

 高知医療センター(高知市)を定年退職してこちらの病院に来ました。定年後の人生の選択肢としていくつかのお話をいただきましたが、こちらの病院の特徴である「療養」はこれまでやったことがありませんでした。

 さまざまな病院に勤め、経験を重ねてきた中で思う医療関係の1番のキーは「人」です。

 高齢者の療養を主な目的とするこの病院の院長職に就くことは、人の人生の終盤を見つめるという意味でも、最終責任を負う立場としてやりがいがあるだろうと感じ、この道を選択しました。

―仁生会における「三愛病院」の役割は。

 当院は、外来には内科、小児科など11の診療科があり、3病棟146床を有します。

 急性期から回復期、慢性期まで診る当法人内の細木病院とは少し距離が離れているため、療養が主の病院とは言え、さまざまな診療科で当院なりの対応をする必要があるからです。

―就任から3カ月、率直な感想を。

 院長としては2025年問題、医療・福祉関係の国の予算、ベッドの再編成など県の計画、それぞれを踏まえ、方針を考えていかなければならず、難しいところです。

 病院、そして当院が併設している介護施設で高齢者に対して何ができ、何をすべきかを、全体を見ながら考えてやっていかなければならないと思っていますし、それが今後の日本の課題でもあると思います。

 患者さんの満足度を上げるために、大事なことは3つあります。「食事がおいしい、リハビリがしっかりしている、看護師さんの業務がしっかりしている」。就任してまずはそれぞれの責任者と話し、その職員の悩みや展望を聞き、次にその下で動いている若いスタッフの顔つきを見ることから始めています。

 問題があれば、当院の各種委員会を通じ、できる限り情報公開し、共感や納得の上で、物事が動くよう解決の方向へ進めたいと考えています。

―近年、チーム医療の重要性が言われています。チーム医療にとって必要なことは。

 異職種の方と組む時には、その人がどういうことを学んできているか、分かっていないと手が打てません。その人の能力を確認しながら、仕事を託す。可能性がある人には仕事を与え、能力を高めながら、また別の意味でチームを高めていくことが重要です。

 医師、看護師、栄養士、専門分野により、基本的常識の理解が違います。ですから、私は何か疑問点や不明点があれば、その職種のトップに話に行くことにしています。「こういう時に、あの人はこういう活動をした。あなたたちの職種では、そういう指導をしている、ということですか」と聞くんです。

 それぞれの専門分野における「当たり前」を尊重しながら、管理者の立場から見て問題があれば、トップに伝える工夫が必要です。今は、そういう視点で病院全体を見ています。

―先生が立ち上げた「高知かなえの会」というのがあると聞きました。

 2000年に立ち上げ、15年続く糖尿病についての患者さんのための勉強会です。

 糖尿病の機関誌の読み合わせを約1時間で行い、そこに私が解説を加えています。

 糖尿病に対する理解はさまざまで、まったく分かっていない人から、自分で実践している人まで幅があります。医者が導きを添えてあげた方が患者さんが理解がしやすいということがあるんです。

 実は、当院に来る際、会を立ち上げてくださった患者さんたちに「今後はどうしましょうか」と尋ねたら「先生が続けられるなら、私たちはついて行きます」と言ってくださいました。

 先日、当院の職員が「自分たちも仲間に入れてください」と言って入ってくれ、さらに活気づいています。

―医療の世界を志す人へメッセージをお願いします。

 医療の道を目指す人は、いろいろなことを勉強しなければなりません。勉強量は増えていると思いますが、少なくとも私たちの時代よりは物事が整理されていて、理解しやすいと思います。

 かつては事実があっても因果関係が解き明かされておらず、原因や理由と結果を結びつけることができませんでした。だから、記憶するしかなかったんです。

 医学や医療における難しさは時代により変化しており、昔には昔の、今には今の、そして未来には未来の難しさがあると思います。しかし、時代を超えて言える普遍性として、医療は人間の世界だということがあります。

 私は人間が好きです。ですから、一度の人生を医療の世界で生きられていることを幸せに思いますし、この道を選んだことは、決して間違いではなかったと思います。

 人が人としての良さを生かせる仕事として、「医療」の道はいいと思います。志ある若い人たちに期待しています。


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