心身相関 「心と身体は連携しています」

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長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 / 医療科学専攻展開医療科学講座精神神経科学 小澤 寛樹 教授

1985 札幌医科大学医学部卒業 1986 米国イリノイ州立大学医学部生理学講座研究員 1990 札幌医科大学大学院医学研究科修了 1991 日本学術振興会特別研究員 札幌医科大学医学部神経精神医学講座所属 1992 ドイツ、ビュルツブルグ大学精神医学講座客員講師 1993 札幌医科大学医学部神経精神科助手 1998 札幌医科大学医学部神経精神科外来医長 1999 札幌医科大学医学部神経精神医学講座講師 2000 札幌医科大学医学部神経精神医学講座助教授 2003 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科病態解析制御学講座精神病態制御学 (現: 医療科学専攻展開医療科学講座 精神神経科学)教授

 昨年8月20日号のインタビューで小澤寛樹教授は、中国の上海で働く日本人へのメンタルケアについて少し触れた。

 活動や生活の場が外国にある日本人に特有の心の問題があるのかないのか、そのことを中心に聞いた。

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 まず「パリ症候群」というものがあります。私の先輩の太田博昭先生が、1991年に著書の題名として使って有名になった言葉で、フランスの雑誌や新聞などでも取り上げられました。

 典型例として、パリのファッションや芸術に憧れて、無計画にふらりとやって来た若い日本人女性が、やがて幻覚妄想状態になって日本に緊急搬送されるといったようなものです。ほかの国の人もならないわけではありませんが、特に日本人に多い文化結合症候群の一つとしてパリの人に認識されているようです。興味があればウィキペディアなどで調べたらわかりやすいかもしれません。

 次に、私が最近提唱している上海症候群というのがあります。

 こちらはパリ症候群のような憧れや浮ついた気持ちとは対照的に、企業のミッションを携えて上海に赴任した、コミックでいえば島耕作のようなエリート日本人や、上海で一旗揚げようという強い目的意識を持っている人に現われる身体化症状です。

 うつ病や不安の背景として身体の症状を全面的に出してくるような人たちが多く、実際に私たちの統計では、中国にいる経営者クラスの突然死が非常に多いです。自殺は1〜2割で、心筋梗塞や脳梗塞、あるいは酒の飲み過ぎでアクシデンタルな事故で死亡する問題があります。

 海外で企業戦士としてがんばってきて、最後の奉公をしようとして外国に行く人は身体に気をつけなさいということです。いろんな誘惑やテロ、酒、博打、そしてその先にうつ病、パニック障害、アルコール依存症、最後には自殺となりますが、その前に身体に問題が出るので、身体のチェックが大事になります。

 ちなみにものすごく有名なデータですが、先進国と開発国では、統合失調症の予後は開発国のほうがいいんです。近代国家で統合失調症の人が暮らすのは結構きついですが、開発国では日常の生活の中で仲間に入れてもらえるわけです。

―精神科医として他科の医療者に言いたいことは。

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 医学的な言葉で「心身相関」といい、心と身体が連携しているのは当然のことですが、近代医学はこれを分離したわけです。明確な病因のある病気は確かに医療が進んで寿命は延びてきましたが、その結果、糖尿病や高血圧、あるいはがんなどの慢性疾患が残ったんですね。そして慢性疾患はどのデータを見ても、ストレスのような精神的な問題が、原因とまでは言いませんが予後悪化要因です。心と身体は連携しているということを医療者に知ってほしいです。

 現実としてはみんな忙しいわけですが、どの科にも精神科医に匹敵するくらいのセンスのある方はいらっしゃいます。でも医療のトレーニングの中で心身相関が分断され、物質的でない見えないものは医療的ではないと片付けられます。その結果、苦しみや痛みを訴える患者さんに、「気にするな」とか「そんなのは大したことがない」などと威厳的に振る舞うことがあります。

 そして患者さんは自分の訴えをわかってくれる医者を何年も探し続け、ようやく精神科にたどり着いた時にはこじれていることが多いです。だから他科の医師でも、この人は精神科に行くべきではないかと疑う目をもってほしいですね。

―精神病的症状があるのに、自分は大丈夫だと言い張る人に、日常でどう関われば。

 なかなか難しいです。

 女性はなんだかんだ言いながらも病院に来ます。職場以外の仲間の中に、1人くらいは精神科を勧める人がいますからね。男性はネガティブな情報を開示する能力に欠けますから、孤立するか、逆にへらへらします。

 医者ではない人が直接介入するのはよくないと思います。普段と違ったり、ささいなミスをしたりするでしょうから、そこは身体的症状として、体調が悪かったら少し休めとか、しばらく残業禁止にするか、産業医の医師に会ってこいとか、それくらいはいいと思いますが、病名をあげて決めつけてはいけません。でも実際には、助言はなかなかできませんから、仕事のパフォーマンスの能力が落ちていることを話し合うのがいいんじゃないでしょうか。いろいろ言い訳はするでしょうが、その関わり方がいいと思います。


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