福岡県嘉麻市 この地の医療は絶やさない

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医療法人 仁正会 鎌田病院 鎌田正博 院長

1971 九州大学医学部卒 第一外科入局 1975 父の死により無床診療所を引き継ぐ 1977 研究のため九州大学薬理学講座に復帰 1982 現在地(嘉麻市中益420-1)に有床診療所を開業 1986 60 床に増床し鎌田病院に改称 2002 増築してデイサービスを併設。地域活動:警察医を30 年以上務め、20 回以上の感謝状を受ける。幼稚園、小学校、中学校の校医と2 企業の産業医を務める。

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 当院はほぼ、福岡県の地理的中心にあり、この地で100年以上も前から地域医療を担ってきました。

 嘉飯山(かはんざん=嘉穂郡、飯塚市、山田市)地区の平成の合併以来、人口減少による過疎化と、高齢化に伴ういろいろな問題が発生して深刻化し、医療にも少なからぬ影響が出ています。

 元来当院は、院長の専門分野である外科を主体として診療をしてきました。しかし人口減で外科系の疾患の患者も減り、高齢者の診療にシフトせざるを得なくなって、より広い疾患に対処しなければならなくなっています。

 今後は当院の専門性を表に出しながら、広い分野で地域の医療ニーズに応えていかなければなりません。以前から続けている訪問診療や訪問看護、そして外科内科を問わず、救急患者と救急車の受け入れに加え、緩和ケアや慢性期疾患の対応も重要となりますし、他施設や多職種との連携も重要度を増しています。

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 言うまでもなく当院は、総合病院や先端医療を駆使している病院ではありません。地域性も考慮しながら、逆の発想で、地域の患者さん一人ひとりと向き合って、ご本人とご家族の希望を実現することを当院の役割として志し、最先端医療には及ばなくても、最善、最良の医療を提供することを目指しています。

 そのためには職員の元気が必要となります。だから「職員の和と職員家族の健全な生活をめざす」を当院の理念としました。

 ここらは古くからの歴史がある一帯で、豊臣秀吉が来て一夜城を建てたという言い伝えがあり、秀吉の陣羽織は国指定重要文化財です。また、黒田節で「これぞ真の黒田武士」と唄われた母里太兵衛友信(もり・たへえとものぶ)を弔っている麟翁寺も近くにあります。

 城下町でしたから裕福な土地柄で、温厚な働き者が多く、土地も豊かで、特産の野菜や果物も多いです。でも最近は住人が減ってシャッターの下りた商店が増えました。

 そのような中で、医療を絶やすわけにはいかないというのがこの地で生まれ育った私の偽らざる気持ちです。おそらく職員も同じ気持ちだと思います。地元の人が多いですからね。実は明日、90代の女性の大腿骨を手術するのですが、私が小さいとき子守りをしてくれた方で、今でも私のことを坊ちゃんと呼ぶんです。

 急がなければならないのは、独居の方への対策です。施設に入れない人もいて、老人用の住宅施設があっても費用の面で厳しい現実があることも事実です。だから面倒を見てくれる家族がいない独居のお宅に訪問診療や訪問看護で出かけて行くことになります。施設で骨折したり肺炎を起こしたりして緊急入院されることも多いですので可能な限り当院で対応していますが、重症者は飯塚病院に送ります。いろいろな科に直接つながる電話もあり、日頃からしっかりとコミュニケーションをとっておりますのでスムーズに転医が行えます。ほかには、飯塚市立病院、済生会飯塚嘉穂病院、嘉麻赤十字病院があります。

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右は鎌田病院の「延命に関する御希望」。延命治療を希望する場合でも、7項目でそれぞれ、希望するかしないかを選べる。

 これから増えてくるであろう、みとりについては、当院で「延命に関する御希望」と「治療行為の用語説明」というシートをつくり、医師が面接して希望項目を選んでもらいます。

 延命治療を望まれる方と望まれない方は半々くらいです。強制力はありませんし、途中で変更しても構いません。正解はないですからね。もちろん延命治療を望まれなくても、痛みはしっかり取りますし、御本人ができるだけ穏やかに過ごせるように努力しなければなりません。

 医療は患者さんが持っている治癒力をじゃましているものを取り除くことが第一と思います。けがをしたら徹底的に洗って異物を取り、壊死を処理し、必要に応じて縫合するだけで治るもので、何もせず抗生物質に頼るのは愚の骨頂だと若い医師には話します。

 よく誤解されることですが、我々の業務はサービス業ですからサービスに徹しなければなりません。できる限りのサービスを提供するために、医師がどこまで自分を犠牲にできるか、それを念頭に置いて決断できるかどうかだと思います。最優先は患者さんか自分かということです。

 多くの高齢の方が当院で亡くなられます。見送る時に、この方の人生はどうだったのだろう、幸せだったのだろうか、人生の最期にうちの病院を選んでくださってありがとうございました、と感謝を込めて御見送りいたします。


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