「若い力と団結」「情熱と感謝」で医師を育みたい

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久留米大学医学部 内科学講座 腎臓内科部門 深水 圭 主任教授

略歴 1993 久留米大学医学部卒、同第三内科(現心臓血管内科)入局 1995 同助手、春陽会上村病院・循環器内科 1996 福岡市医師会成人病センター循環器内科 1997 社会保険田川病院循環器内科 1998 久留米大学医学部附属病院第三内科助手 2002 同腎臓内科部門助手 2004 ~2006 Baker IDI Heart Reseach Institute(Australia,Melbourne)2006 久留米大学医学部内科学講座腎臓内科部門助手 2007 同講師 2009 同准教授 2010 同腎臓センター主任・病棟医長兼任 2015 同主任教授、同腎臓センター長学会等 日本内科学会、日本循環器学会専門医、日本腎臓学会専門医・評議員、日本透析医学会専門医・評議員、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、米国腎臓病学会、国際腎臓病学会、国際メイラード学会、ヨーロッパ腎臓病、透析、移植学会など。

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趣味は「キャンプに行くこと」と語る深水教授。医局の中でもキャンプリーダーとして活躍。性格は「知る人ぞ知る負けず嫌い」と語る。

―今年5月に教授就任。その気持ちは。

 2000年の開講当時は10人足らずの医局でしたが、前任の奥田誠也先生のご尽力から、現在は70人在籍する医局に成長しています。

 私自身は2002年から在籍しています。腎臓内科医を志したきっかけは、腎臓の面白さに加えて奥田先生の魅力にひかれたところがあります。今回、奥田先生が作り上げてこられた医局を守っていきたいという気持ちから「私が頑張らなければ」という思いを抱くようになりました。その気持ちが、認められたのではないかと思い、今回就任できたことに安堵(あんど)しています。

―腎臓内科開講から15年間を振り返って。

 医師になりたてのころは、腎臓とともに循環器内科医として診療にあたっていました。

 2002年、当大学糖尿病性血管合併症病態・治療学講座の山岸昌一先生との出会いから、AGE(終末糖化産物)の研究に取り組み始めました。

 AGEは老化の原因とされている、糖により変性を受けた蛋白質です。この研究の大家、MarkCooper先生に師事したいという気持ちで決めたのが2004年から2006年までのオーストラリア留学でした。

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教授就任に際し、教室員とともに準備した教室の表札。「みんなの思いが詰まっています」と深水教授

 また、60〜70年の医師としての人生において、2〜3年海外のアカデミックな環境で過ごす時期があってもいいのではないかという気持ちもありました。

 家族と一緒に留学したことで家族の絆も深まり、その中で良い研究ができたのは幸運でした。オーストラリアの大自然の中に身を置いたことで、医学の研究だけでなく、人とのコミュニケーション能力も広げることができました。Cooper先生と奥様は、私たちの息子を可愛がって下さり、今でも交流をさせてもらっています。

 AGEの研究として、「糖尿病性腎症における老化物質の役割」を追究していましたが、透析患者さんなど、老化が早く進む方々の進展因子になっていることが分かってきました。糖尿病性腎症だけでなく動脈硬化などさまざまな疾患に広がっています。

 AGEの傷害性を除去することにより多様な疾患を制御できるかもしれず、現在は、加齢に伴う腎障害の研究を後輩たちが受け継いでいます。

 また、最近興味を持っているのが、妊娠期に母親がAGEをたくさん摂取すると子どもの腎臓に影響が生じる「母体環境が与える影響」についてです。

母親がAGEを大量に摂取することにより、胎児期の発達に影響を与え、将来、慢性腎臓病になることが分かっています。

 このような研究も先輩・後輩の協力あってのことであり、研究の良いタスキを渡すためにも後進の育成は大切だと考えています。

 帰国後、留学で苦労して得たものを後輩たちに伝えたいと思い、資料や機器などを研究室にそろえて指導してきました。それが今の「若い教室員の教育、指導をしていきたい」という医局運営への気持ちに繋がったような気もします。

 久留米大学は、臨床に役立つ研究を大切にしており、研究家としてだけでなく、優れた臨床家という両方を兼ね備えた医師の育成が肝心だと思います。

―医局の特徴は。

 「若く、活気あふれる」という感じです。一番年上の私で46歳。当大学の医局としては最も若いのではないかと思います。多くの他大学出身の先生も全国から集い、みんな楽しく仕事をしてくれています。

 在籍者の50%は女性であり、みんな本当によく頑張ってくれています。午前9時〜午後5時までと決めて働き、子どもを迎えに行く人もいます。

地域を守り、活性化できる腎臓内科医を

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教授室に飾られている絵は、長男が描いた作品。「ミルキーウェイを自転車で快走する父」がテーマ。深水教授は「前輪は方向性、後輪は人材。両輪が不可欠」と考えているという。

 腎臓内科学講座を女性の活躍の場として活用してもらうために女性医師の職務への満足度を聞き取り、女性の力を生かす体制を作ることに加えて、家族も大切にしてもらえるような工夫をしたいと思っています。男性医師も仕事に対して真剣に、そして一生懸命取り組んでくれています。素晴らしいメンバーとともに働けることを誇りに思っています。

 一人ひとりがそれぞれに持っているビジョンをまとめていく力が私なりのリーダーシップ。同じ方向をみんなが向けば素晴らしいパワーになると思います。

―指導のあり方は。

 学問の上では、時には厳しく指導することも必要です。しかし、素晴らしい結果であれば、一緒に喜ぶなど、共感する気持ちが大切ではないかと思います。

―今後の展望は。

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 19年の任期の中で、まずは10年で一度見直さなければならないと考えています。

 大学でしかできない教育が最重要課題。「教室員もしっかり教育に携わり、後輩、学生を指導・教育することで自分も成長できる」という自身を理解してもらえるよう努力していきたいと思います。

 また患者さんなど、弱い立場の方にどのように接するべきかという社会人として当たり前のことを理解し、患者さんに安心して診療を受けてもらえるような医師を育みたいとも思っています。

 そして奥田先生により発展してきた医局を、19年でさらに素晴らしい医局に育てていくことができればと思います。

 現在1,300万人と言われる慢性腎臓病患者の数は、高齢化社会が進むに連れてさらに増加していくことが予想され、腎臓内科医の需要はますます高まっていきます。多くの教室員が育ち、腎臓内科医として地域を守り、活性化してくれることを望みます。

 診療面では、今後10年で、自宅で自分で透析を行う「在宅血液透析」システムを整えたいと思っています。6日から7日連続で在宅透析をすれば透析合併症のリスクが軽減され、患者さんにとっても望ましいことと思います。

 研究では今、教室員が取り組んでいる「糖尿病性腎症・高血圧性腎硬化症・透析合併症」のテーマを更に発展させて新しい治療薬の開発に挑みたいと考えています。

 そして、最終的には、「腎臓の再生」という、新たな腎分野に挑戦することができればという夢もあります。

 前任の奥田先生は「若い力と団結」をスローガンにされていました。私はそれに「情熱と感謝」というスローガンを新たに追加し、教室員とともに、地域医療、腎臓学発展のために努力したいと考えています。

―医師を志す人に。

 臨床・医療の現場には、心と心の通じ合いがあります。研究は、世界の人を幸せにします。医師になって初めて知る喜びがあります。そして、将来助けなければならない多くの患者が待っているはずです。志を高く持つことで、夢は必ず実現できると思います。


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