常に弱者救済の心で

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厚生労働省指定/基幹型臨床研修病院 日本プライマリ・ケア連合学会/後期研修プログラム認定施設
宮崎医療生活協同組合 宮崎生協病院 遠藤 豊 院長

1958 宮崎市生まれ 1983 鹿児島大学医学部を卒業し、鹿児島生協病院で初期研修。以降、奄美中央病院、国分生協病院、宮崎共立病院、このはな生協クリニック、神戸中央市民病院などを経て2013 宮崎生協病院院長。

 ホームページに憲法9条(戦争の放棄)と25条(生存権、国の社会的使命)を載せている。「医療も福祉も弱者を救済するもの。それが国の発展と繁栄の基礎となる。でも最近の日本は弱者がさらに生きにくくなっているようにみえる」と遠藤豊院長は話す。

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 今の国の流れとしては、財政先にありきで、医療費や社会福祉費を減らそうという動きがあります。消費税も本来、社会保障費や年金の維持に全額使うというものでしたが、実はそうなっておらず、しかも満遍なく行き渡るのではなくて、基金をつくって救急や医師養成などに重点的に使われるようです。そのため医療経営が難しくなっている民間病院もあるようです。

 世界を見ると、緊縮財政を行なったギリシャは病気の人が非常に増え、それが財政破綻に拍車をかけたわけですし、逆にアイスランドは、医療費をきちんと補充する政策を取り、病気の指標が悪くならないで財政の立て直しにつながったということがあります。

 医療や福祉は財政や経済と相反するものではなく、むしろ経済の活性につながるものだと思います。

 当院には国民健康保険税が払えない人や生活保護が受けられず医者にかかれない人が来られることもあります。糖尿病の治療を中断したり、がんも末期になってやっと来たり、いわばお金の切れ目が命の切れ目というようなことになっています。

―宮崎の医師養成の実情はどうですか。

 日本のあちこちで医師不足が喧伝(けんでん)されて、以前、宮崎では医師を養成する基幹型の臨床研修病院が大学と県立病院の2つしかなかったんですね。そのような状況で、地元に医師がなかなか残らなくて、じゃあうちでも研修病院をつくろうと。それで120床(現在124床)の小さな病院ですが、2005年に定員4人の基幹型臨床研修病院に指定され、医師を養成しながら10年経ちました。毎年、1〜3名の研修医が来ています。

 当院単独ではできませんので、大学やほかの基幹病院、あるいは開業医の先生方、保健所などと連携しながら養成し、医師が宮崎に残ってくれるように努めてきました。

 ひところ「3千件問題」というのがあって、年間に入院件数が3,000件なければ研修病院として国から認められなかったのですが、県や医師会、看護協会などの協力も得て、3,000件を満たすことが困難でも存続をさせてほしいと署名活動をし、それをもとに厚労省に交渉して、厳密に3,000件なくても研修をきちんとやれるなら継続してもいいことになりました。ただし2年ごとに厚労省の調査があり、それを受けながら継続している状態です。そのような、県全体の努力が実ったのか、今年は過去2番目に多い55人が県内で研修を始めたそうです。

―研修生に伝えたい宮崎の魅力は。

 物価が安いこと、食材が新鮮でおいしいこと、気候がおだやかで過ごしやすいところでしょうか。ただ遠方からの交通は、新幹線もなく、高速道路がやっと開通したばかりで不便ですけどね。

―なぜ医師の道を。

 祖父が眼科医で、小さいころから医療が身近にあったのと、父が理系の学者だったため、医者という仕事に興味を持ちました。だから研修医には、昔から言われるように、病気だけを診ずに人間全体を見る姿勢が大事だと話しています。病気だけ診ていればそこを治せば終わりです。でも病気になる生活背景や仕事など社会的なことまで考えて相手を診なければ、誤った見方になってしまうのではないかと思います。

 今、お金や保険証がなくて病院に来られないような方がいらっしゃるんですよね。うちの病院では無料定額診療というのをやっています。保険のない人の自己負担分を保証したり、生活保護を受けるまでの費用を我々が負担するなどの措置です。さらに子供さんの就学援助世帯での無料定額診療もサポートしています。生活背景を見るというのはそのようなことも含みます。

―手厚いサポートですね。

 自己負担分は当方で負担するので、そこは我々の持ち出しになりますが、ずっとというわけではありません。

 治療を中断してしまうと具合が悪くなる病気を持っている人は、経済的な負担がさらに大きくなります。中断させないというのは予防のような意味もあります。困った人がいたら手を差し伸べるというのが民医連の医者やスタッフの考えです。

 私が子供のころは人のつながりが強かったのですが、近年それが分断され、仕事の面でも成果主義になって、弱い人が救われない弱肉強食の世界になっているようにも見えます。生活保護を受けているためにバッシングされたり、ヘイトスピーチもそうですが、ハンディのある人が排除される方向に行ってしまうのではないかと心配です。

―今後の方針は。

 これから状況はきびしくなってくると思いますが、安心して住み続けられる町づくりのために、医療の側から参加していきたい。また、若い研修医や医療スタッフの成長を手助けしたい。医療の後継者をつくっていくことが私たち世代の仕事だと思います。


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