日本、アジア、世界の小児医療をけん引できる病院に

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福岡市立こども病院 原 寿郎 新病院長が語る

1977 九州大学医学部医学科卒 1983 オクラホマ医学研究所研究員1989 九州大学医学部小児科講師 1993 鳥取大学医学部助教授 1996 九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野/医学部小児科教授 2008 九州大学病院副病院長 2011 アジア小児医学研究学会会長  2015 福岡市立こども病院院長
■学会等 アメリカ小児科学会名誉会員 日本小児科学会専門医 日本血液学会専門医・指導医

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「こども病院で診療を受けるお子さんやそのご家族が、安心かつ満足できる医療を提供していきたい」と語る原寿郎院長。

―院長就任の抱負と新こども病院について。

 当院は、小児の高度専門医療と地域医療への貢献を目指し、1980年に開院しました。35年を経て高度専門医療、特に循環器疾患の治療で全国的に有名な病院になりました。これからも設立当初に掲げられた使命を忘れず尽力していきたいと思っています。

 小児医療では、感染を防ぐことはもちろん、大人と異なり大声で泣くという乳幼児の特性からも個別医療がベストだと考えられます。新こども病院は大部分が個室になっており、プライバシーを守りながら、家族も一緒に泊まることができます。

 また5月1日には、新生児集中治療室 (NICU)、小児集中治療室 (PICU) などに入院している子どもたちの家族が宿泊するための施設「ふくおかハウス」が病院敷地内にオープンしました。市民・企業の方々の熱心な思いから、2億円もの寄付をいただいて完成したことに、我々こども病院関係者も含め非常に感謝しております。

―守っていきたいもの、変えていきたいものは。

 まずはこれまで通り地域へはもちろん、日本・世界へ貢献できる病院を目指します。さらには国際都市・福岡にふさわしい福岡市立こども病院として「国際化」も視野に入れています。私自身、九州大学病院の副病院長時代に5年ほど国際化を担当していたことがあります。それを生かして、いろいろな国の方が受診できる病院になるよう、システムを創っていきたいと思います。

 世界における日本の医療レベルは極めて高く、特に日本に多い疾患の治療では日本が優位です。また日本人は手先が器用ですので細かい手術を得意としています。福岡市立こども病院では、先天性の心臓病の分野が非常に強く、国内外から医師などが勉強に来られます。

 また川崎病の罹患率は日本が世界で1番高く、福岡市立こども病院の川崎病の患者数は日本一多く、九州大学と一緒に行なっている川崎病研究も一番進んでいます。これらの治療は、今後、国際化を進める上でも、諸外国に伝えていきたいところです。

 また、アジアの小児人口は世界の中で最も多く、今後はアジアの国々とも密接に交流し、アジアの小児医療も良くしていけたらと思っています。小児科領域では「アジア小児医学研究学会」、「アジア小児科学会」などアジアの学会があり、さまざまな国の小児医療従事者と交流しています。私が最初にアジアの国々を訪問したのが30年ほど前で、その後も定期的に交流を行なっていますが、アジアは著しく発展しています。発展しつつある国をさらにサポートできたら、日本との関係はもちろん、小児医療もますます良くなっていくのではないかと思います。

 今のアジアは日本に追いつけ、追い越せというところで、非常にエネルギーがあります。若者も多く、エネルギッシュで、熱心で、ディスカッションも活発です。日本はそのようなエネルギーを吸収して相互に活性化していけたらと思います。

―今後、取り組みたいことは。

 専門医療に関して言うと「高度専門医療の充実」です。地域医療も重要ですので、福岡市周辺の小児救急・周産期医療もさらに充実させていきたいと思います。

 これらの実現のためには、医療スタッフの教育をより一層、充実させる必要があります。患者さんへの対応を良くするだけでなく、医療スタッフが働きやすい病院にしていかないといけません。

 当院は科長23人のうち女性が5人で、女性医師も活躍しています。今後、もっと女性医療従事者が活躍できる病院にするため、結婚・出産を経ても働ける体制を取り、雇用もフレキシブルにと考えています。また、優秀な人材を確保するために、「夜間保育」や「病児保育」もやっていかないといけないと思っています。

 そして、近い将来福岡市立こども病院に「臨床研究センター」を作りたいと考えています。欧米のこども病院には100㌫研究組織が併設されていますが、日本の独立病院型のこども病院では研究組織が併設されているのは約半分です。

 高度専門医療では膨大な臨床データが出てきます。そのデータをきちんと解析し、可能なものはエクスペリエンス・ ベイスト メディスン(経験に基づいた医療)からエビデンス・ベイスト・メディスン(EBM: 根拠に基づいた医療)へ移行させ、より良い医療が行われるようにしないと市民・国民に不利益を生じます。

 医療は日進月歩です。たとえ、先行している外国のデータがあっても、それをそのまま使えばいいというわけではなく、日本人の治療から得られた臨床データが必要で、それを活用することが重要です。医療を改善するためには常に臨床データからのフィードバックが必要で、医療と臨床研究は車の両輪です。今後、今まで以上に福岡市立こども病院が日本、アジア、世界の小児医療を牽引するように取り組んでいきたいと思います。


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