少子高齢化、スポーツ選手育成にも貢献 活躍の場広がる産婦人科医

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九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学 / 九州大学病院 産科婦人科 加藤 聖子 教授

略歴 1986年九州大学医学部卒、同産科婦人科入局。1989 年米ラホヤ癌研究所留学。九州大学生体防御医学研究所ゲノム創薬・治療学分野講師、順天堂大学大学院医学研究科産婦人科講座准教授を経て2012 年より九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学教授。2015年1月から九州大学大学院医学研究院副研究院長

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産婦人科の領域と聞いてイメージするものは何だろう。少子高齢化を迎え、2025年問題を控えた今、その役割はますます広がっている。

「産婦人科医が力を発揮する場は」「危ぐされる産科医不足の現状は」「女性医師が働き続けるためには」...。九州大学病院産科婦人科の加藤聖子教授に話を聞いた。

―2013年の合計特殊出生率は1.43。少子化が続いています。

「少子化」で言うと妊娠に至る前から妊娠、出産を扱うのが産婦人科医です。少子化の原因は子どもを産み育てる環境、経済支援が十分でないことのほか、女性の社会進出に伴う晩婚化で、産みたいと思った時には妊娠に至らないという、体の仕組みによるものがあります。

そこで私たち産婦人科医がどういう役目を果たすのか。産む、産まないは個人の選択で、それに口出しすることはありませんが、知識がないことで妊娠できないということがないよう、「女性の体にはリズムがあるよ」「高齢になると卵巣機能が低下し、卵子も老化して、妊娠しにくくなるよ」ということを一般の方に伝えていかなければと思っています。

高齢だと、妊娠に至ったとしても高血圧や糖尿病などの危険性が伴います。流産、早産のリスクも上がりますから、それを管理していくシステムも重要です。

また、若い世代の子宮頸がんが増えています。子宮頸がんを予防するHPVワクチンの接種勧奨が中止されていますから、検診による早期発見で子宮や卵巣といった妊娠のための臓器を守るしかありません。

我慢しがちな月経痛も、放っておくと卵管癒着などが起き、不妊につながることもあります。漢方も含めて治療薬がありますから「これぐらいなら」と我慢せず、早めに対処することが必要ですね。日ごろの生活も楽になります。

―4人に1人が65歳以上の高齢者の時代です。

「高齢化」でも、産婦人科医の出番です。初経から閉経までの期間、女性の体はホルモンが整えてくれます。しかし閉経が近づく40代半ば、エストロゲンが下がり始めると生理不順が始まり、ほてり、イライラ、肩こりといった更年期障害と言われる症状が出てきます。

昔は「女は誰でも通る道」などと言われ、皆さん我慢されていました。でも今はホルモン療法がありますし、漢方薬、サプリメントなどでも対応できます。イライラなどは心療内科と連携して治療に当たる場合もあります。

そして、その時期を過ぎると、骨が弱ってきます。骨量低下、骨粗しょう症と進み、自覚症状がないままある時、突然骨折が起こる。骨密度を定期的に検査し、予防する必要があります。

高脂血症や動脈硬化などの生活習慣病が増加する年代でもありますし、子宮体がん、卵巣がんも多くなってきます。定期的にチェックする必要があります。

今は、必要とされる場面は増えているのに相談が増えていない。敷居が高い、我慢している人が多いということがあるのではと思っています。

女性を妊娠前から高齢になるまで診て、必要があれば精神科や内科、整形外科に紹介する窓口になれるのが産婦人科です。親子、さらには3世代で通えるようなかかりつけ医になれたらと思います。

2020年に東京オリンピックがあります。今のトップアスリートはきちんとサポートを受けているのでいいのですが、東京五輪で活躍するような下の世代の女子選手に骨粗しょう症や無月経など問題が多いことが分かっています。

体のラインが出るスポーツなどは、体重制限も厳しく、それによって無月経が起きてきます。かつては「月経がなくなるまでやらなければだめだ」というような指導もあったようですが、きちんと栄養を取り、低用量ピルで月経周期をコントロールするなど、スポーツ選手として、そしてその後の人生も考えながら育てていかないとなりません。

まずは産婦人科医が講習会で学校の先生や保健の先生に正しい知識を伝えることから始めています。ピルの処方が必要になったり、男性コーチには言いにくい相談もありますから、一緒に取り組んでいくことが必要だと思います。

―産婦人科医の不足が言われていますが現状は。

実際に不足しています。2004年に新研修医制度が始まり、さらに2010年に産婦人科が必修から選択になったことで、ますます減っているんです。

「忙しい」「訴訟が多い」というイメージがマイナスに作用しています。でも、産科補償制度が整い、訴訟率も減ってきています。生命の誕生に携わることができる、感動できる魅力的な科だということを地道に伝えていくしかありませんね。

日本産科婦人科学会としても、対応を考えています。医療改革委員会では、地域の基幹分娩取り扱い病院の「大規模化」と「重点化」を掲げています。

数値目標は、総合周産期母子医療センターで施設あたりの産婦人科常勤医20人以上、地域周産期母子医療センターでは10人以上。地域によっては難しい面もありますが、それによって現場のレベルを維持しながら勤務条件を緩和しようという考え方です。

今、女性の産婦人科医が増えています。男性がなかなか入らないという側面もあり、当教室の入局者も7〜8割が女性です。女性医師が働き続けられるような改革が必要になっています。

―同じ女性として、女性医師が働き続けるために忘れてはならないこと、アドバイスは。

医師になるためには、ものすごい税金がかかっています。医者にしていただいた責任を感じてほしいと思います。

には周りのサポートが必須です。そのことに感謝しなければなりませんね。

大切なのは、自分自身に夢を持つこと。私はよく「あなたは何で医学部を受けたの?」と若い人に聞きます。その当時のことを思い出してほしいんです。

私自身、この年齢になった今でも、10年後を思い描きます。若い人たちも夢を失わず、少し遠くの未来を見て、がんばってほしいと思います。


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