満開の桜の下で近所の老人が、年齢を6で割ってみろというから、10だと答えたら、今のキミは秋の10月だ、刈り入れる実りはあるか、それともよその田んぼから失敬してくるかと笑った。
若いころ毒の種をたっぷりまきましたから、これから自業自得の冬が来ますよと笑い返した。
次に3で割ってみろと彼は言う。
「20になりますね」。その返答に、「夜の8時は宵の口。ふとんに入るには早すぎる」と返ってきた。だったら気が済むまで夜遊びします、そこは若いころから得意ですと笑って応じると、「そろそろ人生勉強の鉛筆を離すことだな」と彼は言い、2人で笑い合った。みなさんはいかがだろう。
福岡素人落語会の六松亭小蝶さんが語るように、歳を取って身体能力が落ちてきても幸福感は上昇していく生き方があるという。それは「笑うこと」。
町に出れば、無表情の中に、怒り、泣き、笑い、困惑などさまざまな表情を含んだ顔がある。日ごろの表情を、顔の筋肉が覚えている。
無表情にもほんの少し笑いが見える。そんな日々でありたい。