港の医療チームが患者のQOLを守る

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一般社団法人 日本海員掖済会 門司掖済会病院 阿部 功 院長

1976 年 九州大学医学部卒業。九州大学医学部第二内科入局。九州大学病院、福岡赤十字病院、福岡国税局大蔵技官、九州歯科大学内科助手、小倉記念病院を経て1984 年 米国クリーブランド・クリニックに留学。国立福岡中央病院、九州大学第二内科助手、講師、助教授、北九州市立若松病院副院長を経て2008 年 日本海員掖済会門司掖済会病院 院長。現在、九州大学非常勤講師、日本海員掖済会理事。

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―病院から海がよく見えます。

 掖済会病院は北は小樽、南は長崎までありますが、どの病院も港の近くなので見晴らしがよく実に風光明媚です。当院はホテル建築家が設計したらしく、7階には患者さんのための展望風呂があって関門海峡が一望できます。門司港は九州最北端で遠いというイメージがありますが、博多駅から門司港駅までは新幹線を使えば約40分と意外に近く、自然環境に恵まれたレトロで美しい街ですよ。

― めずらしい病院名です。

 腋下に手を添えて助けるという意味です。「掖済(助け合い)の精神に基づき、社会のすべての人々に対し、心優しいきめ細やかな医療を行ないます」という理念が気に入っています。

 郵便制度の父・前島密らが発起人となり、海員の養成と福利厚生を目的として日本海員掖済会が創設され、現在では病院の機能が残って掖済会病院となりました。当初は船員およびその家族を診療していましたが、旧門司市長の要請により1927年に一般に開放してからは、一般患者が多く占めています。

― 海上でも治療するのですか。

 航海中に病気を発症したり怪我をしたりすると、海上保安本部を介して、あるいは直接船から無線で連絡がきます。無線で状況を聞いて適切な処置を指示します、救急の場合はヘリコプターの要請を行なったり、寄港してもらって治療に当たることもあります。

 新しい先生には、第七管区海上保安本部とともに洋上救急慣熟訓練を行なってもらいます。ヘリコプターのプロペラ音の大きさで声がほとんど聞き取れないんです。乗ってみないと大変さがわかりません。

 東日本大震災の際には陸路が使えず、海員が大活躍しました。志す人が減っていますが、海員の重要性を見直してほしいですね。

― DPC(診断群分類包括評価)対象病院ですね。

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レトロな駅舎から見える門司掖済会病院。許可病床数 一般245 床。腎センター、リハビリテーションセンター、検診センターを有している。透析ベッド57 床。年間透析関連手術40 例、PTA(経皮的血管拡張術)120 例と豊富な症例数。腎・透析専門医4 名が透析患者の治療に当たっている。

 準備が大変でした。またDPC導入後も適切な対策が取れないとメリットが少ないので、今後も体制を整えていきます。

 イギリスでかつて医療制度が崩壊しました。海外からすると、現在の日本の医療水準は高くて充実していると思われていますが、実際は医療費抑制や高齢化、医師不足など多くの問題を抱えています。

 日本の人口は減少傾向にあり、2025年には団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になるため一時的に患者数は増えますが、その後は激減していきます。日本全体の急性期病床が減ってくるのは変えようのないことですので、長期的な視野でもって、国の政策をふまえて地域包括ケアに対応した病棟・病床機能分化と地域連携強化を目指します。

― 読者にひとこと。

 海員だけでなく一般の患者さんにも質の高い医療を提供していることを多くの人に知っていただきたい。近隣の施設などで積極的に研究会を開いて、診療所の先生方と情報の共有を行っています。また、糖尿病やがん患者さんのための交流会、勉強会も開いています。

 門司で生まれ育ってこの地で老後も過ごそうという地域の方に信頼される医療を提供したい。そのためには、疾病の予防と早期発見・早期治療の大切さを患者さんに広めるとともに、終末期であっても自宅と病院を行き来しながら安心して暮らしていける医療体系を構築していきたいと思います。


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