長崎県佐世保市で旅館を営む糸長真也さん( 36)は公式カメラマンとして11年間、Jリーグの試合を追い続けた経歴を持つ。高校までサッカーを続けていた糸長さんは、全国大会で対戦した静岡県チームの個人能力の高さに驚いたという。
「思い切り身体をぶつけても、こちらのほうが飛ばされてしまう。選手としてサッカーを続けていくのは無理だな、とふんぎりがつきました」
写真にも興味があった糸長さんは高校卒業後、福岡の写真スタジオに弟子入り。スポーツカメラマンとして小学生のサッカーを撮ることから始め、徐々にステップアップ。2004年には技術が認められて日本カメラ協会の会員となり、Jリーグの試合で撮影することを許可された。
2008年の北京オリンピックでは、現在は海外リーグで活躍する本田圭佑選手や香川真司選手の熱い戦いを追ったが、もっとも印象に残る選手はJリーグ最高齢選手の三浦知良選手だという。
「カズさんはすごく気づかいをされる方で、大きな試合の終わった後に、カメラマンや関係者を集めて大きな慰労パーティを開いてくれました」
11年間のカメラマン生活のあと、4代、70年以上続く家業を継ぐために佐世保に戻った。写真の腕を活かし、館内には九十九島の四季をとらえた美しい風景写真を展示、好評を得ている。
3月27日には大分で開催される日本対チュニジア戦にカメラマンとして招待されており、久々にピッチ上の興奮を味わう予定だ。カメラマンとしての後半戦はまだまだ続く。