社会保険診療報酬支払基金がセミナー

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適正な審査を担う

 1月31日に福岡市中央区のFFGホールで、社会保険診療報酬支払基金が保険診療と審査を考えるフォーラムを開催し、569人の参加があった。このフォーラムの第1回は、昨年2月に東京で開催され、今回は大阪、仙台に続き4回目。

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開会のあいさつをする社会保険診療報酬支払基金の河内山哲朗理事長(上写真)と、同基金の宗像一雄理事(下写真)。

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宗像医師会の上田会長(上写真)と、東京大学政策ビジョン研究センター健康経営健康ユニットの尾形特任教授。

 今回は福岡県で開催されるということで、同県宗像医師会の上田寛会長が、江戸時代に宗像地区周辺にあった「定礼」について解説した。「定礼」は、収入に応じた米を住民が医師に渡していた制度で、受診時には報酬を払わずに済んだという。内務省(現厚労省)がこの制度を知ったことが、国民健康保険制度の発足に繋がったと解説された。

 東京大学政策ビジョン研究センター健康経営健康ユニットの尾形裕也特任教授は、「国民皆保険における社会保険診療報酬支払基金の役割」について講演し、「抑止力としての意味を持つが、要介護認定のような事前審査ではなく、事後審査であることが国民にとっては良いことだ。高齢化が進んでいるが、諸外国に比べ比較的医療費をコントロールできている要因でもある」と述べた。レセプトの電子化についても触れ、「中小保険者や中小母体こそ効果大だが、実行する人材や体制に問題がある。審査支払機関の積極的なサポートが必要だ」と私見を述べた。また民主党の代議士などが提案する、支払基金と国保連の統合に関しては「保険者の選択をめぐって両者で切磋琢磨すべきであり、統合するメリットはない」との立場を示した。このほか、福岡県社会保険診療報酬請求書審査委員会の寺澤正壽副審査委員長が審査の現状を解説した。

 フォーラムの最後には、国際医療福祉大学の渡辺俊介教授を座長にパネルディスカッションが行なわれ、尾形特任教授と寺澤副審査委員長のほか、健康保険組合連合会福岡連合会の時永正智会長、福岡県医師会の野田健一副会長、NPOネットワーク《医療と人権》の花井十伍理事が登壇した。

 国民皆保険制度について野田副会長は「フリーアクセスで容易に受診でき、どこで受けてもサービスに大きな差がないことが良い」と述べ、時永会長は「現在、健保組合の財政はひっ迫しているので、見直す時期が来ているかも知れない」と発言した。花井理事は「うまく回っているので、これまで国民が医療政策を考える機会がなかった。しかし今は問題もあり、政治的な争点になるべきだ。残薬問題など、医業には無駄が多いことも国民は問題視すべき」と述べた。尾形特任教授は「保険料方式だが、実際は5割以上を税金で賄っている。今後も税金の役割は大きいだろう」と解説した。

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パネルディスカッションで発言する福岡県社会保険診療報酬請求書審査委員会の寺澤正壽副審査委員長(左)と福岡県医師会の野田健一副会長。

 また支払基金について尋ねられると野田副会長は「診療に専念できる。事務作業も煩雑ではなく、支払いの遅延もない。絶対に必要だ」と述べ、時永会長は「専門性が高いため、審査を保険者が担うのは困難だ。年間20億件の審査を任せており、心強い。社会基盤を支える重要なインフラだ」と、改めて信頼を表明した。医薬品のジェネリック化に話が及ぶと寺澤副審査委員長は「薬の値段は下がっているが、医療費が下がっているかは疑問」と述べ、尾形特任教授は「可視化と標準化が狙いで、医療費の適正化にはつながるが、抑制化になるとは限らない」と意見を示した。野田副会長は「医師の裁量権は適性化よりも重視すべきだ」と発言した。

 支払基金の審査に関して時永会長は「今後はコンピューターチェックの拡充を期待する」と言い、寺澤副審査委員長は「査定を受けることが即不正の意味ではない。コンピューターだけにチェックさせず、症例毎に確認をする。医師の意図を読み取り、個別に判断することが重要だ」と述べた。野田副会長は「100%満足している医療者はいないと思うが、審査はきめ細かい。過剰診療は慎むべきだが、医療の進歩を加味して審査してくれるのはありがたい」と感想を述べた。尾形特任教授は「ピアレビュー(査読)は不正を招きやすく問題だと一部のマスコミはバッシングするが、代替案はない。専門知識が必要で、医師や歯科医にしかできない。外国の医師や、現場を離れた医師が査定を行なうのは現実的ではない」と、現在の仕組みを支持した。


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