日本尊厳死協会リビング・ウイル156 号から
日本尊厳死協会は「尊厳死」という言葉が無用な誤解と反発を招いていることを理由の一つとして、前号(昨年10月1日発行)で岩尾總一郎会長が「リビングウイルの普及啓発を総体的に表わす言葉があれば、協会名の変更も視野に」と述べた。
ところが全国の会員から、「死を嫌うべきではない」、「自然死、尊厳死に抵抗感を示す人は少ない」、「尊厳死という言葉は定着している」などと名称変更に反対する声が相次ぎ、理事会で挙手採決の結果、これまでの名称を継承し、「一般社団法人」が今年4月1日から「一般財団法人 日本尊厳死協会」となる。
また脳腫瘍で余命6か月と宣告された米国オレゴン州の女性、ブリタニー・メイナードさん(当時29歳)が自分のほう助自殺=安楽死を予告し、医師処方の致死薬を飲んで自らの命を絶ったことで、日本の報道は「尊厳死」としたケースが多くあり、「日本尊厳死協会は医師による自殺ほう助を認める団体かと誤解されかねない」との危惧する。日本で言うところの、患者の意思を尊重して延命治療を差し控える「尊厳死」は、米国では「自然死」と理解されるという。
「本棚遊泳」では森鴎外の「高瀬舟」(1916年)を取り上げて深読みさせる。さらに最終面の「あとがき」で、俳優高倉健の死に触れ、「抜け目なさがはびこる世にあって、せめて最期だけは不器用でも自分らしくありたいと願っている」と結んでいる。
中国支部のページは、広島県緩和ケア支援センター本家好文医師の4回シリーズ最終寄稿「寄り添う心」。意味のある生き方とは何かについて鋭く問いかける。
四国支部は香川、徳島、高知、愛媛の各県の懇談会や講演会、出前講座の予定や報告を載せている。また支部サロン「喫茶去(きっさこ)だんだん」を、毎月第1金曜日午後1時半〜3時半まで開いている。次回は3月6日に支部事務所で。話題は「社会の気になること」。
九州支部は九州各県会長会議で、今年の秋に熊本で「日本リビングウイル研究会地方大会」を開くと決めた。「玄界灘通信」で原信之支部長が、「高齢者が死を意識しつつも、残された人生に生きがいを持てるようにサポートすることも大切」と書く。
日本尊厳死協会の会員数は昨年12月10日現在12万1275人。
問い合わせと資料請求はTEL:03-3818-6563 FAX:同6562
一般社団法人日本尊厳死協会=東京都文京区本郷2-27-8太陽館ビル501 詳しくは同協会のホームページで。