第105回日本循環器学会四国地方会

  • はてなブックマークに追加
  • Google Bookmarks に追加
  • Yahoo!ブックマークに登録
  • del.icio.us に登録
  • ライブドアクリップに追加
  • RSS
  • この記事についてTwitterでつぶやく

12月6日 高松商工会議所

C11-1.jpg

閉会式であいさつする上枝会長。

 12月6日高松市の高松商工会議所で、第105回日本循環器学会四国地方会が開催された。会長は今年3月まで三豊総合病院循環器科の主任部長だった上枝正幸氏。運営事務局は㈱メッドに置かれた。一般参加は389人だったと、閉会式で上枝会長から発表があった。

 上枝会長は開会式で、前日に愛媛や徳島県の一部地域で大雪が降ったことに触れ、無事に開催できたことを喜び、「今回は一般演題101題をはじめ盛りだくさんな内容で、とりわけ力を入れたのは、男女共同参画セミナー。また多くの女性医師に座長を引き受けてもらった。36人に座長を頼んだが、内8人が女性医師だ。今日が明日からの日常診療に役立つことを期待する」とあいさつした。

 今回の地方会では、学生や研修医に向けたもののほか、コ・メディカル向けのセッションも充実した内容だった。

男女協同参画セミナー

C11-2.jpg

会場になった高松商工会議所。

 「職場を考える」をテーマに、男女共同参画セミナーが開催された。司会を務めた香川大学医学部循環器・腎臓・脳卒中内科学の河野雅和教授は、「日本循環器学会の男女共同参画委員会が発表した、女性循環器医の勤務環境改善のための提言にそって、仕事、出産、育児のほか、介護などについても話し合っていきたい。循環器医は放射線被ばくの問題など、女性医師に配慮すべきことがらは多い。20代の日本循環器学会会員の22%は女性で、30代でも19%おり、今後はますます考えるべき課題だろう」と最初にあいさつした。

 セミナーは現場の医師からの提言、香川県医師会の取り組み、循環器管理者の発表の3部構成で行なわれた。

循環器医師からの提言

C11-3.jpg

C11-4.jpg

男女共同参画セミナーの司会をした香川大学循環器・腎臓・脳卒中内科学の河野教授(写真上)とセミナーの様子。

 現場の医師からの提言として、近森病院循環器内科の細田勇人、愛媛大学医学部循環器・呼吸器・腎高血圧内科学の河野珠美、香川大学医学部循環器・腎臓・脳卒中内科学の石原靖大、麻植協同病院の小笠原梢の4氏が発表を行なった。

 細田氏は「若手医師の立場から」というテーマで、「医師としての経験が積める、働きやすい職場が理想」と語った。経験が積める職場は症例数だけの問題ではないと言い、各病棟に薬剤師や栄養士を配置するなどの分業体制が整った、医師が医師としての仕事に専念できる環境が必要だと述べた。また働きやすい環境の一例として、男性医師にも子育ての環境が充実していることをあげた。そして環境は与えられるだけのものではなく、みんなで作ることが大事で、そのために職場で信頼される関係を作る努力が医師には必要だという意見を示した。

 河野氏は、愛媛大学の環境を紹介。近年女性循環器医が増え、心カテ室に女性用ロッカーが増え、また女性用のプロテクターと保護メガネを新調したという。設備を拡充しただけでなく、複数主治医制を導入し、個々の負担は少なくなった。また、女子医学生と女医との交流も、定期的に行なわれていると報告された。

 石原氏は循環器医の妻を持つ医師として発表を行なった。石原氏の妻は同じ教室に所属。循環器医は本来緊急の呼び出しが多く、仕事と家庭の両立は難しいが、職場が同じなので一緒に過ごす時間が長いと利点を述べた。また学会出張の際も、一緒に行ったり、お互いの患者を任せたりなど、参加しやすい環境にあるという。女性医師は、院生の時に出産を経験すると、キャリアの形成が遅れることを述べ、研修医などの早期の内から支援することが今後は大事だろうと考えを述べた。また、女性が管理的・指導的立場に立つことが、女性医師の働きやすい環境を作るためには必要だとの意見を示した。そして最後に「男性医師の家庭への協力度は低いというデータがある。皆さんは今日から家事に協力してあげて欲しい」と訴えた。

 小笠原氏は介護経験者としての立場から発表。3年前に義父が倒れ、夫が介護のために実家で生活したことから、幼い息子と2人で生活した経験を伝えた。指導医や同期、後輩に支えられたことを述べ、職場環境の重要性を訴えた。夫が不在になることは想定外だったと言い「介護は突然降りかかる。事前に準備とシミュレーションはしておいたほうがいい」と、アドバイスをした。職場では情報交換をし、医療の質を落とさないように協力することが大事だと、意見を述べた。

香川県医師会の取り組み

 香川県医師会男女共同参画委員の露木圭子常任理事が登壇。香川県が進める女性医師のための会員制情報サイト「香川オリーブねっと」の紹介を行なった。同サイトでは就職や復職の支援、県内の求人情報、スキルアップのための講演会情報、子育てに関する情報などが掲載され、現在も会員募集中とのこと。

 露木常任理事は男女共同参画について「女性医師が産休に入った時、男性医師に負担が増えていることが大きな問題だ」と述べた。また女性の管理職が少ないことに関しては、「欧米に比べ、少ないことは事実。男性だけの問題ではなく、女性も管理職になるための努力をしなければならない。また一人の女性が管理職になっても、一人の力で環境を改善することはできない。男性の管理職は理解をして、職場の改善に力を貸してあげてほしい」と訴えた。

循環器管理者からの発表

C11-5.jpg

香川大学医学部医学系研究科心臓血管外科学の堀井泰浩教授(写真)は、松山赤十字病院循環器内科の久保俊彦氏とともに、弁膜症に関する口演の座長を務めた。講演者に対する質問は多く、座長が制限する場面も見られた。特に「大動脈弁輪拡大症(AAE)に対する自己弁温存大動脈基部形成手術成績」のタイトルで講演した高知県高知市病院企業団立高知医療センターの岡部学氏には、質問が相次いだ。

 高松赤十字病院第2循環器科の外山裕子部長を進行役に、高知西病院の山田光俊院長、近森病院循環器内科の川井和哉主任部長、愛媛医療センターの舩田淳一医長、済生会松山病院循環器科の佐伯秀幸医長、香川県立中央病院循環器内科の土井正行部長、三豊総合病院循環器科の高石篤志部長、徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部循環器内科学の佐田政隆教授、川島病院の西内健副院長の8氏が、それぞれの取り組みを発表した。

 佐伯医長は「10年前か12 月6 日 高松商工会議所ら現院長の方針で、女性は日当直、救急日当直の免除にした。しかし余裕がある時は女性医師も手伝ってくれ、助かっている」と報告した。土井部長は「当院の研修医の半分は女性だ」と述べ、後期研修医が妊娠した時の経験を話した。

 佐田教授からは、徳島大学循環器内科学の教室員の3分の1は女性で、うち半分は既婚者で子育て中であるとの報告があった。「希望に応じて子育て中は病棟と当直を免除」、「急な子供の病気の場合は休暇がとれるよう、バックアップの体制を整えている」、「夕方や休日の業務や講演会に子供を連れてくることができる。研究会では託児所を設置」、「個人用のプロテクターを購入」、「女性用ロッカーを備えたパウダールームを設置。絨毯張りでお湯も使える」などの教室内の取り組みが伝えられた。


九州医事新報社ではライター(編集職)を募集しています

九州初の地下鉄駅直結タワー|Brillia Tower西新 来場予約受付中

九州医事新報社ブログ

読者アンケートにご協力ください

バングラデシュに看護学校を建てるプロジェクト

人体にも環境にも優しい天然素材で作られた枕で快適な眠りを。100%天然素材のラテックス枕NEMCA

暮らし継がれる家|三井ホーム

一般社団法人メディワーククリエイト

日本赤十字社

全国骨髄バンク推進連絡協議会

今月の1冊

編集担当者が毎月オススメの書籍を紹介していくコーナーです。

【今月の1冊, 今月の一冊】
イメージ:今月の1冊 - 88. AI vs. 教科書が読めない 子どもたち

Twitter


ページ上部へ戻る