人間力を育む場

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徳島大学 学長 香川 征

■香川 征(かがわ すすむ) 1969 徳島大学卒 1988 徳島大学医学部教授 1999 徳島大学医学部附属病院長併任 2003 徳島大医学部・歯学部附属病院長併任 2010 徳島大学学長に就任  ■所属学会 日本泌尿器科学会名誉会員、日本性機能学会名誉会員、日本癌治療学会功労会員など

 理系の学部・大学院が充実の徳島大学は今年のノーベル物理学賞を受賞した中村修二・カリフォルニア大学教授を輩出したことでも知られている。

 今回は、就任から5年を迎えた香川征学長(医学部出身)に、次世代の人材育成について聞いた。

Q.大学改革で力を入れている点は。

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  大学の役目のひとつとして、「次世代を担う人材の育成」というのがあります。

 今の日本の状態は、グローバル化が完全に遅れています。日本は長い間、経済成長を遂げて経済も安定し、日本のなかだけで全てが完結して現在まで機能してきました。終身雇用と年功序列、それが当たり前で、皆さんが疑問を感じず受け入れてきたわけです。 しかし、世界が狭いものになり、新しい時代を迎えて状況が一変し、終身雇用で大企業に勤めれば安心という時代は終わりました。

 これからは英語がしゃべれるというだけでなく、国の文化や状況を知ったうえで、相手の言うことをきちんと聞き、それに対する自分の意見を理解してもらうということが必要になります。そのためにコミュニケーション力を身につけていなければなりません。 グローバル化の流れの中で生きていく、生活して仕事をしていく、課題を見つけて解決していく、そのために意思表示をする、意見を述べる、提案をするといったコミュニケーション力が大切です。

 日本では、自分の意見をはっきり言わず、でしゃばることをしないことが美徳とされています。しかし海外では、それは意見を持っていないと誤解されます。学生は意見を言うことを学ばなければいけません。

 なにより人間力が重要です。例えば、学生たちがこれまで受けてきた試験には正解があります。でも、社会に出たら、正解があるかどうか分からないような問題にぶつかります。それにどう対処するかが肝心で、それが人間力。「社会人間力」をきちんと持った人材を育成することが教育の使命だと思いますし、学生たちにはそういう人になってほしい、そのための大学改革を推進しています。

Q.具体的には。

 文部科学省は留学生の受け入れも派遣も倍増させる計画を実行に移しています。徳島大としても、外国からの留学生を積極的に受け入れ、こちらからも飛び出さないといけないと考えています。 マレーシアやインドの学生たちは「自分が国を背負うんだ」という気概に満ちています。それがとても大事なことです。

 大学独自に留学生を支援するアスパイア奨学金という補助金を出していますし、マレーシア、インドネシア、インド、台湾などの各大学と協定を結んで、教員と学生の研究ユニットでこちらに来てもらっています。我々も教員と学生を交流させることを10月から始めています。 工学部ではすでに中国、マレーシア、インドネシアの大学院と連携して、両方の大学院から学位を取得できる「ダブルディグリー」という制度を始めています。今後、ニュージーランドなど提携校をさらに増やす予定です。また、留学だけでなく、長期インターンシップにも力を入れていこうと計画しています。

Q.四国内の他大学との連携も進んでいます。

 徳島大、香川大、愛媛大、高知大、鳴門教育大の5国立大学で、受験生の資質や適性を総合的に評価するAO入試、e―ラーニングでの教育、産学官連携イノベーションの3分野を共同で実施する「知のプラットフォーム形成事業」が立ち上がっています。地理的に近い大学同士が、それぞれの枠を超えて、設備や人材を有効に使っていこうという試みです。

 徳島大は、四国産学官連携イノベーション共同推進機構の本部となっています。企業と大学のマッチングをしたり、特許申請をしたり、ネットワークづくりなど、さまざまな試みをしています。

Q.最後に病院改革について。

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連絡橋で直結する徳島大学病院(右)と県立中央病院

 徳島大学病院の塀を隔てた隣は、県立中央病院です。そこで、この2つを連絡橋でつなぎ、「総合メディカルゾーン」構想を計画しています。 特区申請をして現在の法規制を超えて医療連携し合う新たな協力体制を目指しています。

 両病院のベッド数を合わせると千を超えます。現在すでに両病院の医師が手術などで協力しており、大学病院と県立病院を患者さんが行き来したり、それぞれの病院の医師がもう一方の病院で診療する、ということもできるようになれば今後の新しいモデルケースになると思います。 給与体型の違いなどクリアしなければならない課題もありますが、この取り組みはここでしかできませんし、我々も大いに期待しています。

 大学病院の役目は、教育環境、研究環境、診療環境を整備して高度先進医療を開発し実践することです。特区が完全に承認され、実現すれば総合メディカルゾーンは研修医の臨床の場としても、充実した環境になると思います。

 来年3月には大学病院に新外来診療棟が完成します。全国でもここだけの診療、教育、研究の環境が整いますし、総合メディカルゾーンは県の医療体制の中心になります。徳島県南部の海部病院、北部の鳴門病院、西部の三好病院などと連携しながら、司令塔となる構想です。今後、医療連携と機能分化の強化をさらに発展させていく計画です。


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