患者第一、地域のために -外来から訪問診療、往診、看取りまで-

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医療法人社団 親和会えとう内科病院 院長 松永研一

1975 年長崎大医学部卒。同部附属病院、佐世保市立総合病院、長崎市立病院成人病センター、大分刑務所を経て、81 年大分医科大学。89 年大分市医師会立アルメイダ病院消化器科部長、92 年大分県厚生連鶴見病院副院長、93 年竹田医師会病院院長、2007 年より現職。日本肝臓学会専門医、日本消化器内視鏡学会指導医、日本大腸肛門病学会指導医、日本消化器病学会専門医。

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 えとう内科病院は精神科専門病院である衛藤病院の診療所としてスタートし、病院となって27年経ちました。58床という非常に小規模な病院で、特色としては障害者病床であり、長期入院の患者さんが総数の7割を占めています。

 そのため患者さんのほとんどは寝たきりで、70代以上の方が多いですが、若い人でも事故などで寝たきりになった方が入院されています。純然たる療養という訳ではなく医療が必要な方ですね。胃ろう造設もこちらでやっていて、半分ぐらいの患者さんは胃ろうが入っています。

 私は消化器内科が専門なので2007年に赴任してからは専門性を打ち出し、消化器疾患の診療にも力を入れてきました。私自身、肝臓病の専門医の資格を持っているので、肝臓が悪い患者さんの診療にもあたっています。

 こちらに来る前は急性期病院にいましたので、ずいぶん勝手が違いましたね。今は寝たきりの方など意思表示できない患者さんを診ることが多いです。そういう患者さんの意図をくみ取って診療したいと思っています。

収益を上げるために

 民間病院ですので収益を上げないといけません。常に病床を満床にしておくこと、それを心がけてきました。職員にもその意識を持たせるために話をしてきました。今のところ、満床に近い状態でやってこれています。

 入院患者さんの多くは、大分県立病院やアルメイダ病院など急性期病院からの紹介ですが、うちの相談員が、急性期病院の連携室との連絡を密に取ってくれているというのが、うまくいっている要因のひとつだろうと思います。

在宅医療の充実を

 2年前、在宅医療にも力を入れ始めました。訪問診療・往診、訪問看護、それから訪問リハビリ。在宅療養支援病院にもなっています。うちの病院を退院した患者さんを診るだけでなく、現在通院している患者さんも念頭に入れています。高齢になると、だんだん通えなくなってきますからね。需要も増えてくるでしょうから、今後さらに充実させていこうと思っています。

 中でも増えているのが在宅、といっても施設への往診なんですね。私もこちらに来て、30年ぶりぐらいに往診しました。私が若いころは、往診が普通で、CTもない時代でした。自宅での看取りも多かったですね。

 今は訪問診療の対象は80人ほど、往診は月に10回程度になっています。私が1番行っているんじゃないかな。週に3回ぐらいは出かけます。患者さんの家に定期的に行く訪問診療は、外来と違い生活の状況が非常によく見えますね。外来のときは、患者さんもおめかししてきますから、分からないことも多いですが、「ここはこうした方がいい」と生活面のアドバイスもできるというメリットがあります。

 これからは、亡くなる方が増えてきます。ほとんどが病院で亡くなられていますけれど、政府は在宅死40%を目指すと言っていますね。でも、介護力がなくて自宅ではなかなか難しいでしょう。ですから、在宅死と言っても、かなりの数、施設での看取りがあるだろうと思います。

 私たちも、多くはないですが施設での看取りというのを経験してきました。家族の方の意識も変わって、さらに増えてくるでしょうから、そちらにもできるだけ応じていきたいと思います。

父の勧めで医学部に

 医師になったのは父に勧められのがきっかけです。高校のころ志望校調査があって「九州大学理学部地質学科」と書いたんですね。すると父が、「理学部に行っても教師ぐらいにしかなれんぞ。医学部に行ったらどうだ」と。そういう父は高校教師だったんですがね。

 「僕は人と話すのが嫌いだから」と言ったら、「医者にならなくてもいい。基礎の研究者になる道もある」と言うので、医者が駄目なら研究者になるかというつもりで医学部に行きました。

 卒業するまで研究をするか臨床医になるか迷っていたんですが、周りがみんな臨床医になるので、それにつられて内科に入局してそのまま、というわけです。臨床をやってみたら、むしろ研究は向かないな、実験をやっているよりもやっぱり患者さんを診ていたほうが楽しいなと思うようになりました。

患者さんの話を聞く

 一人前になるためには常に勉強し続けることです。若いころは、医学雑誌をよく読んでいましたね。学会の雑誌もほとんど目を通していました。診療面では患者さんの話をよく聞くことを心がけてきました。医者になったばかりのころは、超音波もCTもありませんでしたから、患者さんの話と手触りで診断していましたからね。

 当たり前のことなのでしょうが、若い先生には、患者さんのことを第一に考える医者になってほしいと思います。

 以前、臨床研修医制度の改革について若いドクターと議論していたことがあるんです。その時、研修医の先生が「臨床研修医制度はいい医者を養成できるようにつくるべきで、地方の医者が不足だからと制度を変えるようなことはしてほしくない」という意味のことを言いました。

 その時、私は「いい医者を育てるのはもちろんだけれど、そのいい医者が中央にばかり集まってしまっては患者さんのためにならない」と思いました。若い人には、地域のために、という視点も持ってほしいと願っています。


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