水先案内人が育つ将来がたのしみ

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九州大学大学院医学研究院 消化器・総合外科分野 准教授
日本癌治療学会 認定がんナビゲーター制度委員会委員   調 憲(しらべ けん)

1986 九州大学卒 同大学医学部附属病院第2外科研修医 1990 米国ミネソタ大学研究員 1992 社会保険仲原病院外科 1994 九州大学医学部附属病院第二外科助手 2001 同講師 2004 麻生飯塚病院外科診療部長 2009 九州大学医学部附属病院消化器・総合外科講師 2010九州大学病院消化器・総合外科診療准教授 2012 九州大学大学院消化器・総合外科准教授

 日本癌治療学会は今秋、群馬、福岡、熊本の3県で、「がん医療ネットワークナビゲーター制度(以下ナビゲーター制度)」のモデル事業を開始した。学会から認定を受けたナビゲーターは治療の水先案内人で、患者に情報を伝えることが役割。今回取材した調准教授は、福岡でモデル事業を進める中心人物。「責任は重いが、やりがいがある」と語った。3県での成功が制度の今後を大きく左右する。

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 日本癌治療学会の学術集会は、5年ほど前から医師やメディカルスタッフだけでなく、多くの患者さんが参加するようになっています。がん治療の社会的な側面に活動の場を広げている学会です。ナビゲーター制度自体は、3代前の理事長から話が進んでいましたが、患者さんが活発に参加されたことにより、我々は必要性をより強く感じスタートしたわけです。私自身はがん診療連携委員会の委員で、この制度の検討にずっと関わってきていましたから、福岡の責任者を任されたのだと思います。

 福岡がモデル地区に選ばれたのは、都市型のモデルケースが必要だったからです。またこの制度を推し進められた前理事長の前原喜彦先生(九州大学大学院医学研究院消化器・総合外科分野教授)の存在もあると思います。今後日本中の患者さんがより良い治療を受けるために、福岡が良いモデルにならなければと考えて活動しています。

 西山正彦理事長の要請で、福岡では記者会見を行ないましたが、段取りをつけるのは初めての経験でした。広報活動も重要ですね。

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がん医療ネットワークナビゲーター教育研修セミナーでEBMについて講演する調教授。ユーモアを交えながら分かりやすい内容で好評だった。( 10月26日平増撮影)

 制度のスタートが決まった時、福岡県指定がん診療拠点病院を含む、県内のがん診療連携拠点病院18か所すべてに挨拶に行きました。近くに拠点病院が密集していると、少し難しい面もあるようですが、診療に関してそれぞれの地域連携に問題があるわけではなく、非常に良好だと思います。しかし多くの地域では、緩和医療への移行や、介護といった段階に移る場合、未整備だったり遅れていたりするようです。このあたりの連携の補強に、ナビゲーター制度は有効でしょう。そのためにも、訪問看護師や介護・福祉施設の職員の皆様、あるいは調剤薬局の薬剤師さんたちに、制度を上手にアピールする必要を感じています。介護が必要な高齢の患者さんを我々が安心して治療するためにも、連携は望ましいことです。カリキュラムにはがん診療連携拠点病院での実習も含まれています。患者さんへの対応だけでなく、相互に情報交換をできるような関係が構築できれば、より良いと考えています。がん診療連携拠点病院の相談員にとっても、この制度の認定資格を持っていることは、活動を広げる上で一つの有効なツールになると考えています。

 また、ナビゲーターががんに関する基礎知識を先に伝えているなら、患者さんとは肝心な治療の話だけをできますから、医師は非常に助かるわけです。

 私自身が医療者として、この制度には大きな期待と強い必要性を感じています。

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10 月26 日、福岡国際会議場で行なわれた制度施行に関する記者会見。右は片渕秀隆がん診療連携委員会委員長(熊本大学医学部教授)、左は吉田稔認定がんナビゲーター制度委員会委員(熊本赤十字病院血液腫瘍内科部長)。

 隣県の熊本でも始まっていますので連携をとりたいですね。セミナーなどは3県どこで受けてもよいので、人数や時間の関係で、熊本とは交流する機会も増えるでしょう。

 コミニュケーションスキルの実習は重要視しています。個別に時間をかけて対応するためには、一度にたくさんの人数を受けることはできません。今後解決しなければならない課題の1つだと考えています。

 始まったばかりで試行錯誤な部分もあります。セミナーも難しすぎてはいけませんし、簡単でもいけません。ちょうど良いところを探りながらやらなければなりません。受講者からの声も大切にして、よりよいものを目指していきます。

 責任は感じていますが、新しいことを作る喜びも大きく持っています。皆さん応援よろしくお願いいたします。


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