「期待はプラスに裏切ることもできる」。その言葉を心のどこかに秘めて、心待ちにされる紙面づくりを目指した一年だった。まずは自分が面白いと思うことだと、編集画面をにらむ日々が続いた。
「2割が8割の印象をつくる」という法則も思い起こしつつ、その2割はどれだろうと考えた。取材相手の語る言葉の背後に、語りたい言葉があるのではと、それを探した。しかし毎回、うまくいかない。でも求め続ける姿勢が大切だと自分をなぐさめた。それを忘れたらごう慢になる。
紙面の作り手と読み手に隔たりはない。人というキーワードで見ればほとんど同じだ。相手の中に自分がいるという感覚が大事だと言った病院長がいた。
職種や職務の違いを超えて、相手の中に自分を見出すことは、いつの時代にも求められる。それを見失った時、政治も経済も文化も医療も、人を幸せにしないのではないかと思う。
もうすぐ新たな一年が始まる。いろんな人の笑顔と涙の中に自分が見つかる。そんな仕事のできる来年だったらいい。
よいお年をお迎えください。