救急と看取りは医療の原点

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医療法人社団曙会 シムラ病院 理事長 種村 一磨

1972 広島大学医学部医学科卒業 広島大学原爆放射能医学研究所外科、佐賀県立病院好生館外科、広島大学第二病理学教室などを経て、1980 医療法人社団曙会シムラ病院勤務 1987 同院長 1999 同理事長。
■一般社団法人日本医療法人協会広島県支部長、公益社団法人全日本病院協会代議員、救急災害委員会委員、社団法人広島県病院協会副会長、広島県医療審議会委員、広島市病院群輸番制運営委員会委員長、広島市連合地対協救急医療体制あり方検討会委員など

「困っている人を助けたい」との初心を忘れず

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 父で前理事長の種村等が、昭和33年7月、木造2階14床のシムラ外科医院を、現在の地の近くに開設しました。

 私は父方から数えて8代目、母方から数えると9代目の医者となります。種村家はもともと、竹原で御典医をやっていたようです。

 開業当時は交通戦争真っ盛りで、パトカーに負傷者を乗せるような、未熟な救急体制でした。そのような状況で、父は運ばれてくる患者を積極的に治療していました。その姿を見て、子供ながらにすごいと思ったものです。

 父が夜遅くに病院から帰って来て、ビールを飲みながら「今日も1人助けたぞ」と話していたのを覚えています。

 だから父に言われるわけでもなく、ごく自然に、私も外科医になりました。

 世界の中で日本の国民は、真面目で謙虚です。そして、人のためという気持ちが強くあります。その中でも特に医師は自己を滅して弱者に尽くす使命を持っています。

 若い時には広島のJC(青年会議所)に入り、今はロータリークラブに所属していますが、いろんな職種の経営者から、お医者さんは真面目でいい人が多いと言われます。日本人ならではの真面目さと謙虚さ、職業から来るプロフェッショナルの意識は若い人に必須だと思います。

 私たちが相手にするのは、目の前のむき出しの命と途方に暮れている家族です。それに真正面から向きあって、同時に寄り添わなければならないのです。それをメディカルスタッフも含めて全員が一斉にやらなければいけません。最近は、特に救急の場で、ごく少数ですが患者さん当人や家族からひどい言葉の仕打ちを受けることがあり、救急医のやる気を削ぐことが多くなりました。それでもやはり日本の医者ですから、目の前に患者さんがいればやはり本気で務めを果たそうとします。だから、これから医療者を目指そうと思っている人には、医療の未来は厳しくバラ色ともいえない。それでも困っている人を助けてあげたいと思うなら、今の道を進んでほしいと言ってあげたいです。

 そして、最初の研修は救急の現場にどっぷり漬かることを薦めたい。いろんな科とつながっているのはもちろんのこと、蘇生をし、最低限の呼吸と循環を保つ、そして救急の際の薬の使い方、それくらいはベースとして知っておくべきです。そのあと専門医や研究の道に進めばいいと思います。救急現場のマンパワー不足に対し、大学を中心とした教育システムに組み込むことが強く望まれます。「自分は今日、1人の命を助けた」と、その気持ちを実感させる場を与えることはとても重要です。

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原爆ドームから歩いておよそ10 分。「市内でも救急車の搬入台数は、民間の小病院としてはトップクラス」と種村理事長は話す。

 当院のポリシーとして、救急を医療の入口だとすれば、出口は終末期医療、看取りだと思い、2004年に緩和ケア病棟を開設しました。2025年問題と相まって、救急も緩和ケアもどちらも待ったなしです。

 現実的な問題として、在宅看取りを国が進めていますが、システム、人の不足から大変に厳しいと思います。

 多死社会の到来に向けて、本人も家族も安心できる緩和ケア病棟もしくはそれに匹敵する施設がたくさん必要になって来ます。しかし緩和ケア、あるいは看取りは、純然たる医療だけでなく、さまざまなことが要求されます。それについて、この地域に果たす当院の役割は大きいだろうということはわかっていますが、今は救急だけで手いっぱいです。でもそのうち、緩和ケア病棟のスキルが地域医療の看取りに生きてくると思います。

 最近、尊厳死の問題がクローズアップされています。自分の死についてきちんと考えなければいけない時代になってきて、ようやくリビングウイルやエンディングノートの話が広がっています。私は日本尊厳死協会に所属する医師として講演もしましたが、国民の側と医療の側との両方がよく考えなければなりません。NBM(物語と対話による医療)もますます重要になってきます。

 私たち医療者は、それぞれにいろんなタイプと役割があっても、困った人がいれば救いの手を差し伸べ、それをやりがいや生きがいにできれば、いつも地域住民のそばにいることができると思います。


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