日本最大の麻酔科、50年の歴史

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岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 麻酔・蘇生学分野 教授 森松 博史

森松 博史(もりまつ ひろし) 1993 岡山大学卒 同大学医学部附属病院麻酔科蘇生科採用 呉共済病院就職 1995 愛宕病院就 職 1999 岡山大学医学部附属病院麻酔科蘇生科医員採用 2001 オースティンメディカルセンター留学 2003 岡山大学医学部附属病院集中治療部医員 2007 同大学医学部・歯学部付属病院集中治療部助教 2010 岡山大学病院麻酔部講師 同大学病院周術期管理センター講師 2013 同大学大学院医歯薬学総合研究科麻酔・蘇生学分野教授

 岡山大学病院麻酔科・蘇生科の開講は昭和40年、来年50周年を迎える。今回は昨年岡山大学麻酔・蘇生学講座の4代目の教授に就任した、森松博史教授を取材した。現在46歳で、岡山大学の中では2番目に若い教授だそうだ。

人数だけで「日本一だ」と誇るだけではいけません。
診療、研究、教育の全ての分野 において日本の最先端でありたいと思っています。(森松 博史)

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森松教授は愛媛県出身。「愛媛大学麻酔科の長櫓巧教授は同門の先輩です。故郷の医療を先輩が守ってくれているのは嬉しい」とのこと。隣の掛け軸は、初代小坂教授が書いた指導者の心得。教室にとっては大事な物で、目立つ位置にかけられている。

 毎年5月の連休明けに同門会を開催します。来年は記念事業として盛大にやろうと考えています。普段は頑張った医局員が講演をしますが、来年は著名な先生にお願いします。海外からは私の師匠であるリナルド・ベロモ先生にも来ていただく予定です。節目の年に教授だというのは、大変ですが名誉なことですね。

 全国的に麻酔科が外科から独立する流れになったのは半世紀くらい前で、多くの大学の麻酔科で数年内に50周年を迎えます。当時は外科が発展したことによって手術が増え、安全性の担保のために麻酔のスペシャリストが必要とされはじめた時代です。

岡山大学では第一外科(現消化器外科学)出身の小坂二度見先生が初代教授になり、外科から独立しました。第一外科の第5代教授である陣内傳之助先生が、麻酔の発展に大きく尽力されたと聞いています。以後我々は「良い手術のために何を提供できるか。患者さんを手術の侵襲から守るために何ができるのか」を考え続けています。主治医などにはなりませんが、他科の先生をサポートすることが、我々の使命です。病院を支えるという気持ちで働いています。

 医局員の数は300人を超えます。これは日本の麻酔科の中では最大級、恐らく日本一です。私も学生係や医局長として、勧誘活動には長く関わってきました。医局ではこ のマンパワーを活かした活動をしています。

 多くの人が集まった一番の理由は、初代小坂教授の存在だと思います。私が入局した時はもう教授ではなく学長でしたが、強烈な先生でした。海軍兵学校の出身で、非常に規律には厳しい先生だったそうです。学会などでは、旧帝大の教授に対しても堂々と渡り合う先生だったそうで、その姿が恰好よかったのだろうと想像します。

 我々を指導した先生たちの師匠で、私が直接薫陶(くんとう)を受けたということはありませんが、今でも医局には小坂教授の教えが受け継がれています。先生が書かれた軸には「専門分野の権威であること」「部下の尊敬と信頼に価すること」、「部下の面倒を親身に見て育成すること」と書かれています。医局員それぞれが、今もこれを心掛けているので、新規入局者には魅力的に思えるのでしょう。

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森松教授の教室が入る、岡山大学鹿田キャンパス臨床研究棟。

 一方、人数だけで「日本一だ」と誇るだけではいけません。診療、研究、教育の全ての分野において日本の最先端でありたいと思っています。少なくともトップを走るつも りでいたいですね。地方大学として埋もれるつもりは全然ありません。世界に認められる教室にしたいという思いがあります。

 私は留学で価値観が一変しました。機会を与えてくれた医局には感謝しています。だから私も、若い人には全員に留学してほしいと考えています。自分のタイミングでいいから、ぜひ世界をみてきてほしいですね。

 先代の森田潔教授のころから、世界最大の麻酔科学会であるアメリカ麻酔学会に研究成果を出しています。通常は1つの大学から3つほどの演題を出すのですが、我々は20を超える演題を提出することもあります。単独の施設としては、世界一かも知れません。数を増やしてもクオリティが下がらないように指導しています。

 平成22年には大学病院で5,500件を超える手術に関与しました。昨年は6,000件を超えています。大学は手術件数1万件を目標にしていますから、それを達成すれば麻酔科管理症例は7千件に達するでしょう。手術室の数や広さ、外科系の先生のアクティビティなど多くの要因が関係することですが、日本の大学病院の中ではトップ3に入る数です。

 医師の成長過程で、多くの症例に触れることは大事なことです。今はシミュレーション教育などが発達していますが、実際の手術に関わることとそれとでは違います。医局員は多いですが、それでも多くの手術を経験できることが、教育のために良い環境だと考えています。

 しかし一人一人の負担が増えすぎることは良くありません。今後の多くの手術に対応できるよう、医局員の勧誘は大きな仕事です。今後も新規入局者にとって魅力ある医局であり続けようと考えています。医局の魅力を考える上でも、代々の教授や先輩たちの仕事を振り返る50周年は、良い機会だろうと考えています。

 岡山大学病院周術期管理センターのセンター長をしています。手術室や集中治療室での仕事はもちろん重要ですが、周術期の管理は、センター化する以前から岡山大学の麻酔科にとって大事な仕事でした。センター化したことによって、麻酔科医のチームだけでやっていたものが、多くの方の協力を得られるようになり、より適切になったと考えています。


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