飛耳鳥目

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9時半の女

 通勤通学の時間帯を過ぎた午前9時半ごろだった。

 博多発小倉行きの快速電車は、2人掛けの対面座席に斜め向かい合わせに1人ずつ、つり革の客もちらほらといった具合で、混んでいるとも空いているともいえない状態だった。

 千早駅でジーンズ履きの背の高い40前後の女性が乗ってきて、首を伸ばして席を探したあと、目の前に座って文庫本を読んでいる中年男性に、「すみませんが、男の人の横に座りたくないので、あっちに座ってくれませんか」とよその席を指差した。自分1人で座りたいからほかの客と並んで座ってくれと命じたのである。

 男性はちらりと彼女を見て、また本に目を落とした。

 無視された女性はなにやら思案しているふうに口の中で独り言をいいながら、大股で隣の車両に消えていった。

 その一部始終を少し離れたところから見ながら、彼女の過去、現在、未来がことごとく見えたような気がした

 「求めるもの多くして、与えるものと得るもの甚(はなは)だ少なし」。これが彼女の生涯だろう。(川本)


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