9月26日と27日の2日間、鹿児島市のかごしま県民交流センターで、日本医療マネジメント学会第13 回九州・山口連合大会が開催された。会長は鹿児島医療センターの花田修一院長。参加人数は1千200人だった。(主催者発表)
厚労省の前健康局長が講演
鹿児島大学病院の熊本一郎院長を座長に、厚生労働省の佐藤敏信前健康局長が医療に関する政策を「医療費の適正化」をキーワードに読み解いた。
前局長は、厚労省が急性期病床の機能分化を進める根拠としているのは「超高齢化社会では急性期医療のニーズが減る」と考えていることだと解説したが、年齢階層別の救急搬送率を示し、その大部分が高齢者であると説明した。さらに「7対1看護の削減が分化の背景にある。しかし高齢者の急性期病院への入院は療養病床や介護施設、在宅医療にすぐさま移行できる軽症ではない」と述べた。また「厚労省は在宅至上主義だが社会から働き手が減るなどのトータルコストを考えていない。在宅を進めることは経済を疲弊させる可能性もある」として、「同省の計画中心主義には注意が必要。自己評価や検証をしないので、計画を立てっぱなしで良くない」と批判した。
病院機能の分化と地域医療連携
鹿児島厚生連の前之原茂穂病院長と指宿医療センターの田中康博院長を座長に、地域医療についてのシンポジウムがあった。
壱岐市民病院の向原茂明総病院長は、離島医療におけるヘリ搬送と長崎地域医療連携ネットワークシステム協議会のあじさいネットについて紹介した。長崎県では患者を病院に搬送するだけでなく、専門医を患者のいる医療機関へ移動させるのにもドクターヘリが用いられているという。
熊本市にある高野病院の山田一隆理事長・院長は、熊本県内の高度な医療が熊本市に集中しており、県内の民間病院の多くが回復期を受け持つことで良好な連携がとれていると発表した。熊本医療センターの清川哲志統括診療部長はそれを受け「当院では入院と同時に退院調整を始める。7対1看護の在宅復帰率75%は難しく、転院先の病院では回復期リハビリテーション病棟に入れてもらえるよう理解してもらう必要がある」と述べた。
上記写真左から
●鹿児島大学病院の熊本院長。
●講演する宮﨑学会理事長。学会設立の経緯を述べることで医療マネジメントの必要性を説明した。
●南風病院の福永秀敏院長が、宮﨑学会理事長講演の座長を務めた。
●国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野の武藤正樹教授は、病床機能報告制度や診療報酬改定について解説した。
●武藤教授の講演の座長は、鹿児島県医師会の野村秀洋副会長。
●志學館大学の原口泉教授は「明治維新と医学」のテーマで講演をした。