「歯学から口腔医学へ」をモットーに

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学校法人福岡学園 理事長 田中健藏

1946 九州大学卒 1960 フルブライト留学生としてハーバード大学医学部へ留学 1963 九州大学医学部病理学教授 1975 九州大学医学部長 1981 九州大学学長 ㈶私立大学協会理事 九州大学名誉教授 1982 ㈶大学基準協会理事文部省大学設置委員会委員 1985 ㈶西日本国際財団理事 アジア太平洋博覧会テーマ委員会委員長 ㈶九州・山口地域企業育成基金理事 1986 ㈶国立大学協会副会長 1987 福岡日英協会常任理事 九州厚生年金病院顧問 文部省大学審議委員会・大学教育部会長 1989 文部省中央教育審議会委員 総合研究大学院大学運営審議会委員 九州交響楽団理事長 ガリオア・フルブライト同窓会理事・九州同窓会支部長 ㈶国際東アジア研究センター理事長 ㈶九州産業技術センター理事 1990 学校法人九州学園理事 1991 学校法人福岡歯科学園(現福岡学園)理事 九州市民大学理事長・学長 学位授与機構評議員 1992 ユニバーシアード福岡大会市民の会会長 学校法人福岡歯科学園(現福岡学園)理事長 1993 福岡スポーツマンクラブ名誉会長 1995 アビスパ福岡後援会長 1996 学士会評議員 1998 福岡市総合図書館館長 2000国立大学等の独立行政法人化に関する検討会議人事制度委員会副主査

現在は 学校法人産業医科大学理事 ㈶国際東アジア研究センター名誉理事長 学校法人福岡大学評議員 九州ゴルフ倶楽部八幡コース理事長 日本私立大学協会常務理事 ㈱アトル顧問 ㈱旭硝子財団理事 公益信託椎木正和記念アジア留学生奨学基金運営委員長 福岡音楽学院講演会会長 新日鐵八幡記念病院理事 日本会議福岡名誉会長 社会福祉法人学而会理事長・理事・評議員を務める。1978 西日本文化賞受賞 1987 日本動脈硬化学会大島賞受賞 1996 勲一等瑞宝章受章 2007 全国日本学士会アカデミア賞受賞 2008 日本私立大学協会永年功労役員表彰

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 福岡市早良区に本拠を置く学校法人福岡学園は、福岡歯科大学と福岡医療短期大学を経営する学校法人だ。福岡医療短期大学では、歯科衛生士と介護福祉士を育成している。平成4年から理事長を務める田中健藏氏は九州大学医学部の元教授で、同大学の学長や産業医科大学の理事など、医療教育に長く関わってきた。現在も「歯学から口腔医学へ」というテーマで、未来の歯科医を導いている。

 私は地域とのつながりを重要視しています。当法人の理事になった年に、毎年赤字を出していた九州市民大学(生涯学習を目的とした非営利団体)の理事長・学長になったのも、そんな思いがあってです。軌道に乗せた後、2007年に梶山千里さん(元九州大学総長、現福岡女子大学理事長・学長)に任せて退きましたが、今では立派な生涯学習組織になり、うれしく思っています。

 九州交響楽団の理事長も16年やりました。東京のオーケストラに負けないものを作ろうと思って、すごく努力したのを思い出します。オーケストラの理事長は、学校の理事長とは違った大変な面があります。人集めや資金繰りに特に苦労しました。福岡市総合図書館の館長も4年務めたし、桑原敬一前福岡市長の依頼で、アビスパ福岡の後援会長もしました。福岡でユニバーシアードが開催された時は、市民の会の会長で、世界各国の方と交流し、おもてなししました。アジア太平洋博覧会の時はテーマ委員会委員長。基本理念の構想を作るために早起きして会議していたのを思い出します。大変でしたが大盛況でしたね。

 福岡市内だけでなく、北九州の国際東アジア研究センターの立ち上げの際は、理事長をしました。この時はペンシルベニア大学の協同研究施設という位置づけを確立させています。そのほか北九州の医療や社会保障についていろいろなことをやっています。

 地域のために働いて、教育機関がもっと地域と一体にならなければいけないという思いを強くしました。将来の大学・高等教育のあり方を示そうと考えて、学校法人の理事長をしています。福岡歯科大学のモットーは、「歯学から口腔医学へ」というもので、教職員の名刺に書かれています。

 歯科医師は歯だけを診ていると思われがちですが、実際は口腔内の様々な病気に対する専門知識を持っています。顎骨や顎関節のこともよく勉強していますし、顔面のことも専門家です。そういうことをもっと社会から認知されるようにするのは、私の仕事の1つだと考えています。例えば、口腔ケアがうまくいけば、高齢者の誤嚥性肺炎はなくなり、QOLも向上します。医療において歯科医師や歯科衛生士の果たす役割は大きいわけです。

 この法人には以前から病院はありましたが、私が理事長になってから介護老人保健施設と介護老人福祉施設を作りました。他の大学は持っていないものです。ここで学生たちに現場で学んでもらい、歯科医師や歯科衛生士として地域に貢献することの重要性を知ってもらっています。

 私は歯科を、医学の中の一分野であると認めてもらうために、厚労省や文科省の官僚や政治家に働きかけています。患者さんのためには、一元化する方が良いのです。

 私は10人兄弟で、父は歯科医師でした。10人のうち3人が父と同じ道に進みました。一人は岩手医科大学で補綴(ほてつ=見た目やかみ合わせをクラウンや入れ歯など人工の歯で補う治療法のこと)の教授になりました。長崎で歯科医師会の副会長をした弟もいます。

 私は医師になりましたが、父は私に「歯科医師と医師は一体化して治療すべきだと思う」と言いました。長年歯科治療に関わった父が、患者さんのことを考えて出した言葉だと思います。私も医師としてそれに共感しました。

 今では私の夢になり、そして福岡学園の将来構想になっています。将来の医療における口腔医学の位置づけを確立するための法人であろうと思います。慎重にやらなければならないことですが、それでも勇気を持ってやろうという気持ちです。

 歯学部と医学部が別の学部になった背景には、19世紀のアメリカでの事情が大きく関わります。メリーランド大学に医学部を作る際、そこで歯科医学を含むよう検討されましたが、当時の歯科医学はサイエンスではなく、アートであると判断され、かないませんでした。医療行為はサイエンスなので、入れないというわけです。

 そこで1840年にハイドンとハリスが、ボルチモアカレッジオブデンタルサージャリーという歯科医を養成する教育機関を作りました。そして結局は分かれたまま今日まできました。つまり歯科と医科が分かれていることには、教育機関に責任があると言えます。

 今後の医療を考えると、歯科と医科の連携は必要です。口腔機能の維持管理の重要性は、多くの医療関係者が認めるところです。歯科治療を行なうためには患者さんの持っている疾患のことは知っておくべきでしょう。今後口腔医学に携わる人は、全身のことを勉強すべきだと考えています。

 教育に関わる者として残念に思うのは、教養ある日本人の育成ができていないということです。日本の歴史も知らず、文学も読んでいない若者が増えました。福岡歯科大学と福岡医療短期大学では、教養課程を大事にしています。

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 高等学校の先生たちは、生徒を学歴の高い大学に入れることを目標にしています。現在高等学校では教養に関する教育が全くされていないというのが現状です。中学校は学歴の高い大学へ入れることを目標として指導をしています。大事な時期に、豊かな人間性を形成することを考えていないのです。少しは考えているかも知れませんが不十分です。試験のための学業に重点を置きすぎています。もっと大事なことがあるんじゃないかと私は思います。小学校6年、中学校3年、高校3年という制度自体が日本に合わないんじゃないかと私は考えています。

 アメリカは任意保険の国で不平等ですから、安く診療を受けるために学用患者になる人が少なくありません。日本でそれはできませんから、臨床に携われる年齢が遅れます。そういう意味でも、633制を見直すことを検討してもいいのではないかと考えています。

 理事長になっても学生に講義することはあります。いつも学生のことを気にしていますが、二階にある私の理事長室は学内の活気ある声が聞こえるので、気に入っています。学生がグラウンドで汗をかく姿も見え、応援しています。

 この部屋はいつでもドアを開けており、学生がいつ来てもいい準備をしています。学生は私に気軽に会いに来ても良いんですよ。

 学外から来た人は、学生の礼儀正しさに驚かれることもあります。私は「みんなで明るくあいさつをしよう会」という会の取り組みに参加しており、これを学生にも広めているわけです。挨拶は、私が大事にしている教育の一つです。

 福岡医療短期大学を4年制にする計画もあります。今進めている大事な計画の一つです。

 大事なことを決める時は私が一人で決めるのではなく、スタッフで十分な審議をしています。将来構想や、どういうステップでそれに向かい進むかということは、ディスカッションせずには決められません。ただし理事長は、リーダーとして、しっかりした見解を持っておくということが重要です。だから私は、しっかりと勉強をしなければなりません。

 会議は広い部屋で行なうのですが、そこには卒業生たちが寄贈してくれた中村琢二(洋画家)の絵が飾られています。毎年卒業する際に1枚贈ってくれるので、もう20枚近くあります。これだけ中村琢二の作品があるのは珍しいことです。洋画に詳しい人は見てびっくりされるんですよ。


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