広島県でも啓発活動は盛んです

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広島大学大学院医歯薬保健学研究院 成人健康学 教授  片岡 健

1980 広島大学卒 広島大学医学部附属病院研修医 1981 厚生連尾道総合病院外科医員 1989 因島市医師会病院外科部長。1994 広島大学医学部附属病院医員 2003 同大学医学部保健学科教授 2014 同大学大学院医歯薬保健学研究院副研究院長・保健学専攻長・成人健康学教授

国立がん研究センターが血液からがんを発見できる診断システムの開発を始めると発表。乳癌は来年度の先行実施を目指しているそうですね。

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片岡教授の趣味はスポーツ観戦。広島カープやサンフレッチェ広島の試合を観戦するのが楽しみだという。

 現在、乳癌検診はマンモグラフィーと触診との併用が基本です。マンモグラフィーは撮影時に乳腺を圧迫して痛みを伴うことがあります。採血で検診できるようになれば身体への負担が軽減されるのがメリットです。しかし早期発見ができるかは、実際にやってみないと分からない部分が大きいのではないでしょうか。特に非触知の非浸潤癌を採血で発見するのはむつかしいのではないかと危惧しています。

 開発には当大学の病理の先生も加わって、複数の施設のデータを持ち寄り、臨床の結果と画像診断の整合性を見て研究をしていくのだろうと思います。

日本人の乳癌検診受診率の向上のためには何が必要でしょうか。

 広島県では行政の努力もあって、30%くらいに達していますが、厚労省が掲げる50%の目標には及んでいません。その要因は2つあって1つはアピール不足。2つめ目に欧米先進国は保険に加入するには乳癌検診の受診が必須だが、日本はそうではないことが挙げられます。検診受診に意義を持たせないと50%の目標に到達するのはむつかしいのではないでしょうか。平日は仕事で検診を受けられない人には、今まで以上に職域検診、任意型の検診を積極的に行う必要があります。

乳癌は進行が遅く、再発率も高い。一人の患者さんと長く向き合うことになりますね。

 医師、看護師、薬剤師などがチームでケアをする体制をとっています。手術前にこれから起こりうることの説明と、治療、検査による合併症、副作用について十分に説明し、術後のリンパ浮腫の可能性についてもお話しします。

 乳癌は5年後、10年後に再発するケースがあります。再発しても進行が遅く、骨転移、がん性胸膜炎など、増悪した人であってもすぐには亡くなりません。いろいろな治療を組み合わせることで延命治療が可能ながんなので、再発しても長く生きられる。裏を返せば長く苦しむことになるのも事実です。再発までの10年間のフォローアップはもちろんですが、再発してからもできるだけ大学で診てあげたいとの思いがあります。しかし全ての患者さんを診てあげることはできません。地域の病院と連携をして緩和ケアに至るまでフォローができる体制をとっています。

広島県における乳癌の啓発活動について教えてください。

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 平成23年に広島大学病院乳腺外科の角舎学行先生が中心となって乳癌患者交流の場「まちなかリボンサロン」をスタートさせました。乳癌の患者さんが情報交換や相談ができる場を提供し精神面のケアを行なっています。サロンは月に1回開かれ約50人が参加。医師や薬剤師などがスライドを用いて講演をした後、参加者が各テーブルに分かれ、1テーブルに一人の医療従事者がついて患者さんからの質問を受ける時間を設けています。患者さんからは医療者と直接話ができると好評ですね。

 平成20年に広島リンパ浮腫研究会を立ち上げました。リンパ浮腫の啓発活動の一環で講演会を行なっています。リンパ浮腫の発生原因、治療。乳癌や婦人科疾患とリンパ浮腫の因果関係について説明する患者さんとご家族向けの講演会で、これまで広島市、福山市、三次市などの県内各地で行いました。乳腺外科医、産婦人科医、リンパ浮腫療法士の講演後にリンパ浮腫の患者さんの体験談、セルフケアの実技講習、相談コーナーなどもあります。次回は11月に県立広島病院で行なう予定です。これまで患者さんの生の声を聞く機会があまりなかったので、我々医療者にとっても有意義で勉強になります。

 乳腺医療は他職種連携のチーム医療が必要です。連携なしには十分な医療を提供できないと思うのでいい取組みだと思っています。

医師を志したきっかけは。

 はっきりとは覚えていないのですが、幼いころ両親に「将来は医者か教師になりたい」と言っていたそうです。現在、医者と大学の教員をやっているので両方の夢が叶ったのかなと思いますね。

 医学部在籍時はあまり勉強をせず遊んでばかりいました。真剣に勉強しだしたのは医者になってからですね。医学部のみを目指し、一生懸命勉強して医者になるのがベストかもしれませんが、若いうちは、あまり選択肢を狭めずにいろいろな職業の中から適正を見出し、自分が本当に打ち込めると思える分野が見つかってからがむしゃらに努力をするのもいいのではないでしょうか。

 いろいろな領域の人と触れ合った経験が、今の私の財産ですし、役に立っています。

 人のためにやっているとの意識が強すぎると、しんどくなることもあります。若い人にはやりがいのある仕事を自ら選択したという気持ちを忘れずに持ち続けてほしいですね。


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