愛媛県に乳腺外科医を増やす

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愛媛大学医学部附属病院 乳腺センター センター長  亀井 義明

1995 愛媛大学卒 愛媛大学医学部附属病院第一外科入局、1996 愛媛県立中央病院、1997 市立宇和島病院、2000 年今治市医師会市民病院、2003 愛媛大学大学院医学系研究科(分子病理学教室)、2007 松山市民病院、2011 がん研有明病院乳腺センター 愛媛大学医学部附属病院乳腺センターセンター長

センターができた経緯を。

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 平成23年の4月に乳腺センターの構想ができ、私が赴任した10月から本格稼働を始めました。ありがたいことに、学内に協力者が多く、比較的順調にスタートをきることができたと思います。手術数も検査の数も順調に増え、病院の収益にも、大きく貢献できていると思います。

 現在は院内外から、合併症や併存疾患を持った方を含め、乳癌の患者さんを多く紹介されます。癌治療以外の部分も同時に、高度に診る総合力が、大学病院の強みです。

 愛媛大学に乳腺外科の独立した講座はなく、以前は細々と診療されていました。また、愛媛大学医学部附属病院の近隣には、四国がんセンター(7面に関連記事)という、がん治療で全国的に症例数の多い病院があります。それで、愛媛大学はこれまであまり乳癌について熱心ではなかったのでしょう。私自身も元々は、乳腺のほか消化器も多く手掛ける外科医で、その分野で指導医を取得しています。

 愛媛大学出身で乳腺を診る医師は私を含めて数人いましたが、それは県内の関連病院で勉強している人がほとんどで、しかもそれだけを専門にやっている人はいませんでした。それではいけないだろうと、当時病院長だった横山雅好教授が、大学病院内にセンターを作ることを決められたそうです。

 センター長になる直前まで、がん研有明病院(東京都江東区)で乳癌治療の勉強をしていました。構想の話は以前より、高田泰次主任教授(肝胆膵・乳腺外科学講座)から聞いていたのですが、その前に一度勉強に行かせてもらった形です。

センターを作る上で苦労したことは。

 ゼロからのスタートですから、必要な専門器具がなく、材料や機械もないという状態です。当初は大学の部門として見劣りする状態で、超音波ガイド下の吸引式組織生検や、腹臥位式ステレオガイド下マンモトーム生検などをすぐに導入してもらいました。腹臥位式のマンモトーム生検装置は、当時四国では香川に1台しかなかった高額な機械で、人の教育や、部屋自体の整備も大変でした。ラジオアイソトープ式のセンチネルリンパ節生検も県内で唯一導入しています。ほかにこまごましたことがたくさんありました。

 大学病院にふさわしいものにしなければいけませんから、重い責任もありました。まずは発展よりも、土台をしっかり作ることを考えて作りました。学内に私の先を行く専門の先生がいないわけですから、難しさは今もあります。しかし自分の考えを形にできる面白みが、苦労よりも勝っていると感じています。

センターのスタッフは。

 乳腺外科の常勤は私を含めて2人だけですが、2人の大学院生が手伝ってくれています。また地域救急医療学講座の本田和男寄附講座教授などが、非常勤で診てくださっています。診療以外に研修医や学生の指導もあり、今は人手がまだまだ欲しい状態です。女性医師には小さなお子さんもいますから、家庭の事情を優先してもらっています。

 外来を担当するのは外科医だけですが、腫瘍内科や放射線診断、放射線治療の医師がセンターで協力してくれます。薬剤師や臨床心理士、看護部などの支援も厚く、今ではほかの大学の治療に劣るということはありません。多くのスタッフがセンターのカンファレンスに集まり、チーム医療が実践されていると実感しますね。

 形成外科との関係は良好で、乳房の再建を希望される方の場合は、全部協力をお願いしています。多くの診療科がそろっていることが大学病院の強みですし、我々がやるよりも、それぞれのスペシャリテイを持った先生に頼むことが適切です。

産婦人科と同じ受付ですね。

 女性用のフロアということになっています。ソファは特別に良いもので、妊婦の負担を減らす椅子らしいですよ。入り口には子供が遊べるスペースもあります。

 女性用のフロアといっても、男性の患者さんも入れるフロアです。男性の乳癌は珍しいですが、センターでは癌だけを診ているわけではありません。女性化乳房の患者さんなどが時々来ます。

 ほかに乳腺炎や良性腫瘍の患者さんなども診ますし、診断が付いてない状態で来院されることもあります。

今後の展望は。

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 私が所属する肝胆膵・移植外科学講座はセンター開設の後、肝胆膵・乳腺外科学講座に名称変更をしています。今は乳腺外科希望の入局者もあり、臨床と教育を並行して行なっています。今の6年生にも乳腺外科としての入局希望者が何人かいて、教育には今後もっと力を入れるべきだろうと思います。患者さんのニーズを聞くと、女医が好まれることも多いし、女性ならではの視点も活きる診療科です。学生に教える時も、女性が求められる外科だということはアピールするようにしています。もちろん、男性の方が良い場合もありますから、女性ばかりにアピールはできませんが。

 今は治療と若い先生に教えることが主ですが、今後は研究にまで踏み込んでいくべきだろうなと考えています。今までできていませんでしたが、臨床試験には積極的に参加していこうと考えています。院生の教育では、基礎研究に力を入れたいので、今年から基礎医学教室とのコラボレーションを始めました。


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