他職種や患者さんから学び取る力を

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公益社団法人 福岡医療団 千鳥橋病院 院長 豊田 文俊

1981 九州大学医学部卒業 千鳥橋病院循環器内科入局 1998 千鳥橋病院附属城浜診療所所長 2000 千鳥橋病院副院長就任 2003 ~ 2004 千鳥橋病院附属田川診療所所長 2008 千鳥橋病院副院長兼循環器内科科長 2014 千鳥橋病院院長就任 現在に至る
■日本内科学会総合内科専門医 日本循環器学会認定専門医

職務の再確認と整備

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写真=中央が豊田院長。「敬愛の精神でいれば誰からも受け入れられるとの信念があります」と言う。

 7月に院長になりました。あいさつなどで忙しくしているところです。

 基本的には前任の鮫島博人院長(現福岡医療団副理事長)の方向を踏まえながら、管理の立場にある人が管理職らしい考えを持てるよう職務の再確認と整備を進めて行きたいと思っています。

 現場で求められることを個々人の判断でやるとばらつきが出ます。院長はオーケストラの指揮者のようなものですから、全員が力を一つにして動けるように調整をしていこうと思っています。

 働く上で自主性は大切です。それは、一定の質がキープされてのことです。しかしその意識や自覚がないまま管理の立場にいて、それに疑問を感じない人もいるかもしれません。

 目の前に10の仕事があり、15やる人もいれば7の人もいます。だからまず、あなたの管理者としての責務はここですよということを明確にしたい。そうしなければ現場に不公平感が出てきます。

 これは一般企業にも当てはまるかもしれませんが、「その役職らしさ」というものが失われているような気がします。それぞれの職務に筋を通してもらうようにすることが私の仕事かなあと思っているところです。

 職員のモチベーションを上げるには、一つはTQMのような活動があります。自分たちが見つけた現場の問題点が改善されるというプロセスを通じて、具体的な成果のほかに、達成感や仲間意識が生まれます。トップダウンではなく、下からの積み上げが採用されるシステムがあることは重要です。

 医者は現場の頭領みたいなところがあり、TQMに関わる人ではありますが、メディカルスタッフの補佐に回る役割かもしれません。

千鳥橋病院のチーム医療

 チーム医療の中で医者は、構成員として主体的な役割を果たすのでしょうが、医者自身がたえずチーム医療を意識していなかったら、逸脱しやすい存在ではないでしょうか。当院では発足してからずっと多職種カンファレンスが基本的な考え方でしたから、チーム医療というものを考えずに働くことは難しい職場です。

 患者さんと生活が中心にあって、そのまわりを医師や看護師、そのほかのメディカルスタッフや職員が取り巻くことを貫いているシステムです。

 医師としての技術や知識は、学会や研修で学ぶことができ、ほかの職員にも学ぶ機会が多く与えられていますが、個々の力が高まるだけでなく、それが一つになる力、一つになろうと話し合う力が重要視されると思っています。

すぐれた医療従事者とは

 すぐれた医療従事者とはどんな人かと考えた時に、一番は患者さんに寄り添っているかどうかです。そして患者の側もそのことを認めている。つまり鏡は誰かというと、同じ職種同士ではなく、患者さんの目にどのように見えているかが大きいと思うんです。

 医療従事者が自分自身を高く評価しても、患者さんから見て、あの人は医師としてちょっと...と思われているか、すごく慕われているかは全然違うわけです。

 医療従事者は治すのが仕事ですが、癒すのがさらに仕事だと思っています。手術が得意で神の手だと言われている人が、果たして患者さんから慕われ、職員から尊敬されるような人なのか、実はそこが一番大きいと思っています。

人柄の良さは重要

 だから患者さんと話す時に腕組みして上から見下げるように話すとか、専門用語ばかり使ってけむに巻くとか、家族に対して威圧的であるとか、あるいはハンデキャップのある人に対して敬愛の観点が持てない人間は、医療従事者としては価値がないと思っています。

 そこがまずあって、なおかつ自分の腕を磨いて患者さんを治し、または医療要求に応えられるようになることが基本だと思いますから、最初にスクリーニングする時に、人柄のよさは重視すべきじゃないでしょうか。

 そのことを常に言っていますと、職場での見方が変わってきます。

 たとえば管理者になる条件として、ただ単純に、認定を持っているとか、研修の場で何度も発表したとかよりも、患者さんのことを親身に考える人が評価されるというふうに基準が変わると、病院自体がすごく変わっていくんです。

 あいさつや笑顔ができるとか、声かけや医学的看護的なタッチができるかどうかが求められていると常に思っていますし、このことはあちこちで話しています。

 病気は治ったけど感謝が生じない場合と、結果は思わしくないけれども感謝する場合があるわけです。その違いを何が決めているかと言いますと、心のこもった関係が作れたかどうか、治癒したかどうかよりも慰めや共感を受けたかどうか、そこらは大きいと思いますね。

 異論はあるでしょうが、個別で人として扱う姿勢が一番かなと思っています。それをうちの病院でできているかといえば、できていないから言っているわけです。少しでも近づいてくれたらと思いますね。

 医師が変わるとすれば、同職以外の人や患者さんからどれだけ教わるかだと思います。変わるチャンスをたくさん持てるかどうかです。その点で高齢化社会は、たくさんの職種が関わるようになりますから、医師が変わるチャンスは増えると思います。そこに私は希望を持っています。


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