失敗から学ぶことが大事です

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愛媛大学大学院医学系研究科 病因・病態領域産科婦人科学講座 教授 那波 明宏

1986 岡山大学医学部医学科卒業 小牧市民病院研修医 1991 名古屋大学大学院医学系研究科産婦人科学博士課程修了 同医学部附属病院分院産婦人科非常勤医 同産婦人科学助手 1994University of Texas,M.D Anderson Cancer Center,Department of Tumor Biology,Reserch Fellow  1996 名古屋大学医学部産婦人科学助手に復職 1999 同講師 2000 愛知県がんセンター中央病院婦人科部医長 2005 名古屋大学大学院医学系研究科産婦人科学准教授 2011 愛媛大学大学院医学系研究科産婦人科学教授

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教授の好きな言葉は「汝まず世界の必要とするものとなれ。さすれば、たとえ森の中に住むといえども汝の戸口に人々が集まるであろう」だそうだ。

 ― 講座でのがん研究について教えてください。

 腫瘍研究部門は私の指導のもと、藤岡徹准教授、松本隆特任講師、小泉雅江助教の3人で、通常の手術と化学療法の組み合わせでは治らない患者さんに対して、オンコリティックウイルスを作製し、婦人科腫瘍、特に予後不良の卵巣癌に対する新規治療法の開発に取り組んでいます。

 ウイルス療法は、世界的にみても局注あるいは腹腔内投与どまりで、治療効果も思わしくありませんでした。2011年にネイチャー誌に全身投与の効果が報告されました。改良の余地は残されていますが、新たな治療法になる可能性が示唆されています。

 我々も、当科開発のポリマーその他の加工・修飾によって、卵巣癌へさらに集積し、かつ中和抗体の影響を受けない新規ウイルスを作製し、強力で臨床応用可能なウイルスがん治療の開発に取り組んでいます。最終的にはしっかりした基礎研究データを蓄積した後、卵巣癌の患者さんへの治療を実現させたいですね。

 そのほか、iPC細胞の作製と抗がん剤感受性への応用、腹腔内腫瘍免疫の検討、卵巣癌発生の解明などの研究を推進しています。

 講座では腫瘍研究部門のほかに周産期研究部門、生殖医療研究部門があり、チームを編成しています。

 周産期研究部門では松原圭一准教授が、妊娠初期における絨毛細胞の子宮内膜間質、筋層と血管壁への浸潤がその後の良好な胎児発育に必要であると言われていますが、妊娠高血圧症候群(PIH)ではこれらの浸潤能が低下していると言われています。PIH発症メカニズム解明のため、低酸素環境が妊娠初期絨毛細胞の浸潤能に及ぼす影響を検討しています。

 近年クローンライブラリー法による腟内細菌叢の解析が可能となり、従来とは異なった知見が得られています。この腟内細菌叢の変化と切迫早産など産科合併症発症の関連と産科合併症発症予防に関して研究しています。

 さらに、脳性小児麻痺の主原因である脳室周囲白質軟化症(PVL)の病態を明らかにするとともに、どんな再生医療が今後適応されるのかについての研究を行なっています。

 生殖医療研究部門は鍋田基生特任講師、近藤恵美助教、小泉助教が、子宮内膜症に関する研究、卵の成熟・老化、着床に関与する新規蛋白質の同定と機能解析の3つに焦点をあて、研究に取り組んでいます。

 小泉助教は腫瘍研究部門、生殖医療研究部門の2分野に渡って奮戦してくれています。

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 ―9月は「がん征圧月間」です。婦人科のがん診断と治療法について教えてください。

 子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌など婦人科のがんについて、現在はっきりとした予防方法はありません。

 HPVワクチン(子宮頸癌ワクチン)「サーバリックス」が2008年12月に、「ガーダシル」が2011年8月に発売されましたが、接種後に疼痛などの副作用反応が報告されたため、昨年6月に厚生労働省は、定期接種であるHPVワクチンを積極的に接種勧奨することを一時的に中止するよう自治体に勧告しました。副作用の原因についてはまだ分かっておらず、原因を究明中です。厚生労働省は、近く勧奨を再開する可能性を示唆しています。

 今の状況は好ましくないので、産婦人科と他科で再開についての十分な議論を行ない、再開することが望ましいと考えています。

 副作用反応が起きている人には申し訳ないと思いますが、他の患者さんはどうなるのかも考えないといけません。細かい部分を見るよりも全体を見る目が必要ではないでしょうか。

 卵巣癌は1週間前まで異常がなかったのに、発症することがよくあるので、現在は効果的な検診法がないと思っています。我々は3、4か月に1回検診していますが、それでは十分ではありません。他にいい検診法がないのか自問自答しています。

 これまで婦人科でがん治療を経験してきて、印象に残っている患者さんがいます。

 私が手術をした44歳の子宮頸癌の患者さんで、手術も成功し、無事退院されました。

 その後、私は脳卒中で倒れて入院し、リハビリが終わり復帰した時に、その患者さんは亡くなったと聞かされました。リンパ節転移もなかったはずなので原因を聞くと、進行が早いタイプの子宮頸癌だったそうです。それを聞いてとてもショックを受けました。

 婦人科のがんは寛解しても、2、3年後に再発するケースが多く、完治はむつかしいのが現状です。今後も研究を続け、新たな治療法を確立する必要があります。―今後は若年者への婦人科がんの啓発活動も必要ですね。

 3年前に名古屋大学からこちらに来ました。当時はそれなりに活動も盛んでしたが、残念ながら今はあまり行なわれていません。今後は啓発活動も含めた若年者への教育の重要性を感じています。

 ― 医師を志したきっかけを教えてください。

 父が名古屋で開業していて、医師になった当初は後を継ぐつもりでしたが、名古屋大学でインターフェロンとヒトパピローマウイルスに出会い、その研究に魅了されて熱心に取り組んだ結果、今の自分があります。

 後を継げなかったので、父には申し訳ない気持ちを持ち続けています。

 ― 若い医師へのメッセージをお願いします。

 「患者から学び、患者に還元する教育・研究・医療」を行なってほしいと思っています。人として誠実であり、医師として患者さんに対してはもちろん、科学者として赤誠たれ、という願望を強く持ち続けてもらい、そういう人間育成から当教室も発展させていきたいと考えています。

 若いときは「まず苦労する事、失敗しなさい」と言いたいですね。お金のことを考えるのではなく、夢や目標に向かい、ぶつかっていくべきです。

那波教授の推薦図書 稲盛和夫著「成功への情熱」

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京セラを世界的な企業に育て上げた稲盛和夫氏。その創業のベースは、「人間として正しいことを追求すること」だったそうだ。著者は自らが講師となり、京セラの経営哲学を説き、どんな質問にも誠意をもって答えたそうだ。

 本書は、著者と米国側経営責任者たちとの勉強会のテーマとなった「人生とはいかにあるべきか」という哲学的な問題から、企業の使命、働き方の指針まで、経営哲学をまとめた一冊だ。

 本書は一企業人に止まらぬ普遍的な人生とビジネスの成功哲学であると言える。


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