朝早く、家の近くの駕与丁(かよいちょう)公園を1時間くらい走ったあと仕事に出かけることが多いと、糟屋郡に住む案浦知文さんは言う。
仕事は産業廃棄物を埋立地や処分場まで運ぶトラックの運転手。昼の休憩時間も、出先の近くに公園をみつけて走り、仕事が終わってからもまた走る。
「毎日10キロから30キロくらい走っていると思います」
走るといっても、全力疾走でもウォーキングでもなく、走ったり歩いたり、といった具合で、健康診断でスポーツ心臓の持ち主だと言われたらしい。
走るのは小さいころから得意。学校ではいつも3番以内で、社会人になってから天草や福岡の大きなマラソン大会に何度か出たことがあるが、もっと大きな大会を目指そうとは思わないと話す。
「趣味でいいんです。走ると気分が爽快になり、集中力が高まる。なによりも毎日の目標になる」
そんな矢先、今年の福岡マラソンの出場抽選に漏れた。それがショックだったのか、案浦さんは走らなくなった。そして、ひかえていた酒を飲み始めた。
「1か月半くらい走らずに毎日酒を飲んでいたら、あっという間に5キロくらい太りました」=写真。
そのことから、やはり目標は必要だと感じたという。
「走っていた時と今を比べると、なんといっても朝の目覚めが違います。精神的な落ち着きにも影響があります」
妻と3人の子供とずっと楽しく関わっていくことが夢。「今日をきっかけに、明日から走りを再開しますよ」。そう記者に笑った。