外科医になるには今がチャンス

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福岡大学医学部消化器外科 教授 山下 裕一

1976 久留米大学医学部卒業  自治医科大学病院 東京都立墨東病院 久留米大学病院第一外科助手 を経て1984 デンマーク王立病院消化器外科  1991 久留米大学病院第一外科講師  1994 福岡大学医学部第二外科助教授  2003 同手術部教授  2006 同外科学講座消化器外科教授  現在に至る■日本腹部救急医学会理事 日本内視鏡外科学会理事 日本 Acute Care Surgery 学会理事 日本超音波医学会監事 日本外科学会評議員 日本消化器外科学会評議員 日本肝胆膵外科学会評議員 日本臨床外科学会評議員 ■日本内視鏡外科学会技術認定 日本肝胆膵外科学会高度技能指導医 日本消化器外科学会認定医、専門医、指導医  日本外科学会専門医、指導医 日本消化器病学会専門医、指導医  日本超音波医学会専門医、指導医  日本大腸肛門病学会専門医、指導医  日本肝臓学会専門医、指導医  日本消化器内視鏡学会専門医  日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医

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旧車が趣味で26 年間、1969 年製のスカイライン(通称ハコスカ)を所有。今でも乗れるそうだ。愛着があるので手放すことはないだろうと話していた。

 平成18年に福岡大学医学部外科学講座の再編が行なわれ、我々の教室は旧第一外科と旧第二外科内の消化器部門が合併し、消化器外科として生まれ変わりました。以前は第一、第二外科のどちらにも消化器外科部門があり、同じ病気の治療を1つの病院内で、2つの科が行なっていました。紹介状を持った患者さんが外来に来ても、どちらで診てもらえばいいか分かりにくかったと思います。

 外来診療や手術は旧第一、第二外科で、曜日ごとに分けて診療していましたが、今は1つの科で、外来は月曜日から土曜日、手術は月曜日から金曜日まで行なっています。

 手術を平日の週5日行なっているので、若い外科医が教室に入ると、外科医は毎日手術するものだとの感覚が身につき、体が覚えます。外来も月曜日から土曜日までなので、新人外科医にとっては毎日手術で毎日外来があるのが普通の感覚になります。福岡大学病院の外科から巣立ち、ほかの病院に行っても忙しいのが当たり前だと思えるようになります。結果的に内面を教育することにつながっていますね。

 旧第一外科と旧第二外科では得意手術も違いました。前者は膵臓手術、ERCPの検査が得意で、後者は肝臓、食道、胃、大腸の手術を得意にしていました。両者が一緒になることで得手不得手がなくなり、プラスの化学反応が起きたと考えています。

 旧二外科は呼吸器外科をやっていたので呼吸器と消化器にまたがる疾患に強く、その伝統は今も受け継がれています。消化器外科ができて、呼吸器外科と縁がなくなったかというと、そうではありません。消化器外科、呼吸器外科、乳腺内分泌外科、小児外科合同で抄読会、研究会、術前症例検討会を行なっています。複数の科が普段から一緒に勉強するので、科がまたがる手術のときにはすぐにチームを組んで手術ができます。消化器の手術はするが呼吸器はあちらでお願いしますといったことがなくなりました。

 内視鏡手術を主体としたがんなどの年間手術数は約1千例です。 食道癌の内視鏡手術を九州で初めてやって約20年の歴史があります。呼吸器外科と消化器外科の食道の専門医がチームを組み、手術、化学療法、放射線療法などの治療を行なっています。そのほかに大腸、食道、胃、小腸、結腸、直腸に関しても内視鏡手術をし、患者さんの病態によっては開腹手術もしています。

 肝・胆・膵は臓器ごとにチームを分けて、それぞれを医師がローテートし、カンファレンスなども合同で行なっています。

 自動車の歩行者への安全対策の充実や工事現場などの安全管理の徹底で、外傷の患者さんが大幅に減少しました。その結果、外傷外科の需要が低下、それに伴い医師数も減少しました。しかし、災害などで多数の外傷者が運ばれてくると現場は人出不足でお手上げ状態です。種々の救急ができる外科医を育てるべく4年前に診療を開始したのがAcuteCare Surgery=急性期外科です。全国の大学病院はがんの患者さんが多いので、ベッドが足りない、手術枠が足りない、余裕がないなどの理由で救急手術をあまりやっていません。急性期外科では福岡大学病院受診歴の有無にかかわらず、外科治療が必要な患者さんの受け入れを積極的に行なっています。 具体的には市中の開業医や病院の先生から、福岡大学病院消化器外科のAcute Care Surgeryに連絡をもらい、患者受け入れを即座に行なうホットラインシステムを組んでいます。もちろん自分で来院された患者さんも診療します。

 若手医師はこれまで大学病院の弱点だった救急外科手術を学べ、地域の患者さんにも貢献できるようになりました。

 研究は臨床研究だけでも基礎研究だけでも駄目で、バランスよく取り組む必要があります。基礎研究は病理学教室、生化学教室、細胞生物学教室、微生物・免疫学教室と協力して取り組んでいます。臨床研究でも現場からあがってくる問題に取り組んでいます。

 この20年間、毎年デンマークのコペンハーゲン大学病院に教室員を派遣し、当大学で現地にマンションを借りて研究と臨床に専念できる環境を整えています。コペンハーゲン大学病院とは長い間交流があり、強い絆で結ばれています。

 当消化器外科はアカラシヤの内視鏡治療という日本で5か所だけしか許可されていない先進医療をできるのが特色で、大阪から沖縄まで多くの患者さんが来て、週に2例手術を行なっています。また口から内視鏡を介して、膵臓の治療、胆管の治療を行なうERCPも取り組んでおり、福岡市内では九州大学病院第一外科と福岡大学病院消化器外科が、積極的にこの治療をしています。消化器外科に入局すると内視鏡手術、開腹手術、救急手術と多くの経験を積めます。

 福岡大学病院の消化器外科は専門医を取得するための環境が整っています。日本では外科を志望する人が年々減って、1989年をピークに右肩下がりの状況ですが、このような状況だからこそ外科医になるチャンスです。医師数が多い診療科に行っても大勢の中の一人です。今こそ外科の世界に飛び込むチャンスだと思うので、多くの人に外科医を目指してほしいですね。

福岡大学医学部消化器外科主催 平成27年度主催学会総会・学術集会

第7回日本Acute Care Surgery 学会学術集会

会期:平成27年10月3日(土)・4日(日)
会場:福岡大学病院メディカルホール他

第77回日本臨床外科学会総会

会期:平成27年11月26日(木)〜28日(土)会場:福岡国際会議場・福岡サンパレス・マリンメッセ福岡


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