治療法が格段に進歩しています

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愛媛大学大学院血液・免疫・感染症内科学 特任教授  長谷川 均

1979 愛媛大学医学部卒業 1983 同大学院修了 1985 愛媛県立今治病院内科医長 1987 米国国立衛生環境研究所(NIEHS)に留学 1990 愛媛大学医学部附属病院講師2005 同第一内科(現血液・免疫・感染症内科学)准教授 2008 同附属病院教授 2011 同大学病院特任教授 現在に至る。 ■専門 内科学 膠原病・リウマチ 感染症 ■学会活動 日本リウマチ学会評議員 日本リウマチ学会中国・四国支部運営委員 日本リウマチ財団教育研修委員会委員 厚生労働省難治性血管炎研究班班員 日本感染症学会評議員 他。 ■資格 医学博士 内科専門医・指導医 リウマチ専門医・指導医 感染症専門医・指導医 インフェクションコントロールドクター

「6 月はリウマチ月間、診断は専門医で」

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趣味はドライブで3、4時間運転するのも全く苦にならないとのこと。時間があれば神戸や山陰まで足を延ばすこともあるそうだ。

 私は免疫を中心に研究していて、現在行なっている研究は2つあります。1つは新しい治療戦術で、ヒト制御性T細胞および寛容型樹状細胞機能を高めて膠原病やアレルギーの新しい治療に応用する研究です。

 もう1つは新たなバイオマーカーを生みだすための研究です。対象疾患は血管炎症候群、ループス腎炎です。

 愛媛大学プロテオ医学研究センターの新しい技術を用いて無細胞タンパク質合成系をもとに、抗体の対応抗原タンパク質をハイスループット(ロボットを用い自動的に高速で化合物を評価すること)で探索し、自己免疫疾患における自己抗体の対応抗原のプロテオミクス(自己抗体プロテオミクス)を展開し、病態に影響を与える自己抗体の単離をすすめています。この2つの研究を大学院生たちと行なっています。

 専門領域は膠原病・リウマチ、感染症学です。リウマチ治療は生物学的製剤の登場で飛躍的に進歩して、早期に使用すれば高い効果が得られます。しかし生物学的製剤の使用は究極の対症療法です。より根本的な治療、早期にマーカーを見つけること。どの疾患にも当てはまりますが、早期診断、早期治療が重要です。

 我々は臨床と研究の中間のトランスレーショナルリサーチの立ち位置をとり研究をしています。

 関節リウマチの発症は女性に多く、男女比率が1対3ないし4くらいだと言われています。特に中高年の女性に多く2〜3%の確率で発症します。新生児までを含めた日本人全体のリウマチ罹患率が0.5〜1%なので、患者数で言うと60万〜120万人いる計算になります。

 発症の環境因子に喫煙、歯周病があると言われていて、エビデンスもあります。ただ喫煙者が関節リウマチを発症するという単純なものではなく、遺伝的バックグラウンドと環境因子が複雑に絡み合い発症すると言われています。

 関節リウマチの初期症状は、毎朝、起床すると手のこわばりがあるのが特徴です。大きな関節に症状が現れるのではなく、手、手首、足首など比較的小さな関節に痛みが生じ、その後に腫れてきます。それらの症状が出た場合、発症の恐れが強いと考えられますので、必ず専門医がいる病院での受診をおすすめします。

 日本でも2010年にACR/EULAR 新分類基準(アメリカとヨーロッパのリウマチ学会が出した新分類基準)が適応になりました。新分類基準に沿って専門医が検査をします。分類に適合した場合、早期の治療が必要になります。この基準が適応されてから診断が飛躍的に進歩しました。

 現在、中心的薬剤として使用されているのは、抗リウマチ薬のメトトレキサートです。この薬を服用しても症状がコントロールできない人に対して生物学的製剤を使用します。重症の場合は最初から生物学的製剤を使用しますが、通常はまずメトトレキサートを使用して症状がコントロールできるかどうかを判断しています。

 生物学的製剤を使うデメリットは、感染症などの副作用、経済的な問題です。ずっと使用するのはむつかしいので、どのタイミングで抗リウマチ薬に切り替えるかが、現在議論されています。

 関節リウマチ治療でのステロイドの使用は感染や骨粗鬆症のリスクが発現するので、基本的には使用しないほうがいいと考えていますが、ヨーロッパでは、半年間くらいの短期であれば使用しても良いとの発表がありました。理由として生物学的製剤は高価で経済的な負担がかかるからです。

 膠原病治療ではステロイド投与が基本です。関節リウマチ治療の場合は10ミリグラム以下の投与が基本ですが、膠原病では20〜30ミリグラム投与します。重症でステロイド投与をしても思ったような効果が出ない場合、免疫抑制剤を併用して疾患を抑えていきます。

 膠原病疾患の中の全身性エリテマトーデスは、30年くらい前まで5年生存率が6、7割、10年生存率が5割以下でした。1990年代からいろいろな免疫抑制剤が出てきて、現在は、10年生存率が9割以上だと言われています。しかし問題があって、若いころから長期に渡ってステロイドを服用しなければなりません。そうなると仕事や妊娠などさまざまな日常生活が制限されてしまいます。また副作用も出てくるので、生命予後に大きく関わってきます。

 治療して病気が治り、薬を飲まなくて済むのが一番です。しかし膠原病は慢性的な病気です。治療で病気のコントロールが出来るようになりましたが、長期的、なかには一生薬を飲み続けなければならない人もいます。服用には副作用の問題、QOLの問題、経済的な問題が発生します。

 我々は病気の原因を解明し、治癒を目指して、新たな治療法の研究を行なっています。

 関節リウマチの治療は専門医にかからないと治療が間違った方向に進むことがあります。早期にしっかり診断、治療をすればうまくいけば治る時代です。診療所からも専門医に送ってもらい、患者さん自身も専門医にかかってもらうことが重要です。

 しかし現在問題となっているのは専門医不足で、地域格差も存在します。

 松山市には、愛媛大学、松山赤十字病院、道後温泉病院などがありますが、東予地区、西予地区は専門医がいる病院が少ないのが現状です。今後は地域連携をしっかりとやっていかなければなりません。

 関節リウマチの患者さんが専門医にかかっている割合は半分くらいではないかと言われています。ここ10年で治療法は格段に進歩しています。早期診断、治療が重要なので専門医にかかり、治療方針を立ててもらい、症状が落ち着いたら地域の病院に戻す、調子が悪くなったら専門医に診てもらう、地域連携が大事なので、力を入れて取り組んでいます。

 医局のスタッフも愛媛県内各地の病院に赴き診療に当たっています。


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