第87回日本消化器内視鏡学会総会

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内視鏡学そのものにも気遣いを

 第87回日本消化器内視鏡学会総会が5月15から17日まで、福岡市博多区の福岡国際会議場、福岡サンパレス、マリンメッセ福岡の3会場で開かれ、6500人以上が集まった。総会事務局は九州大学大学院医学研究院 臨床・腫瘍外科、運営事務局は株式会社コングレ九州支社。会長を九州大学大学院医学研究院臨床・腫瘍外科の田中雅夫教授が務めた。

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右はワークショップで超高齢者に対する内視鏡について議論する発言者。

 開会のあいさつで田中会長は「本総会のメインテーマは『気遣いの内視鏡』。患者さんに優しく、低侵襲の内視鏡治療を心がけるのは当然だが、内視鏡学そのものにも気遣いをして発展していきたいとの思いを込めた」と述べた。

 開会式後のシンポジウム「気遣いの内視鏡」では司会を大分大学の北野正剛学長と手稲渓仁会病院消化器病センターの潟沼朗生主任医長が務めた。

 九州医療センター消化器病センター臨床研究センターの麻生暁氏は「診断を目的としたEUS―FNAの安全性向上を目指した『気遣いの内視鏡』」と題した講演で「安全性向上を目指した気遣いの内視鏡は偶発症の軽減に寄与するものと考える」と述べた。

 総括で医療法人社団三喜会の藤田力也理事長は、「技能と使命感、人柄が必要」と締めくくった。

 シンポジウム「IBDにおける粘膜治癒の判定基準とその臨床的意義」は司会を福岡大学筑紫病院消化器内科の松井敏幸診療部長と九州大学病態制御内科の中村和彦准教授が務めた。

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開会あいさつをする田中会長

 東北大学消化器内科の志賀永嗣特任助手は「難治性潰瘍性大腸炎におけるinfiximab 治療後の粘膜治癒と中長期予後」について講演し、「従来の定義を用いると粘膜治癒後の累積非再燃率に有意差を認めなかったが、より厳格な定義を求めることで再燃が有意に抑制された。汎用されている粘膜治癒の定義を再考する必要がある」と語った。

 また「超高齢者(85歳以上)に対する内視鏡=どこまでするの=上部(ESD/EMR)」と題されたワークショップが行なわれ、司会を藤田保健衛生大学消化管内科の平田一郎教授と、戸畑共立病院の宗祐人副院長が務めた。

 宗副院長によると、超高齢者への内視鏡的治療への演題応募は多かったため、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)とEMR(内視鏡的粘膜切除術)は別に分けたという。

 宗副院長が、何歳くらいまでの人にESDやEMRを施すべきかを各発表者にたずねたところ、12人中9人は「年齢を理由に区切ったりはしない」と答えた。福岡大学筑紫病院の大津健聖氏は「考慮はするが、基礎疾患が無ければ積極的に行なう」と発言し、大阪警察病院の河相直樹氏も「考慮するが、PS(パフォーマンスステイタス)や基礎疾患で問題がなければやる」と述べた。最後に答えた亀田総合病院の石井英治氏は、「年齢を考えないという意見に驚いている。5年の予後が見込めないならばやるべきではなく、例えば95歳の人には薦めない。当院での最高齢は91歳だ」と、多数とは異なる意見を示した。また宗副院長の「しない条件は」の質問に対しては国立がんセンター中央病院の関口正宇氏が「重篤な人は麻酔科と相談し、耐術能がない人は断る。また、PSがグレード3以上の人、自分の病状が分からないような認知症の人にはやらない」と答え、一同が概ね賛同した。

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長崎大学の大仁田賢氏はワークショップで、ESD困難例に対するPDT(光線力学療法)の有用性についても述べた。奏効率は85・7%で、肺炎や発熱、腹痛を認めた例はあったが重篤な偶発症はなく、超高齢者においても予後は良好だったという。

 福岡大学筑紫病院の大津氏は「患者や家族に決定してもらう。予後などのデータを示し、選択をしてもらっている」との方針を述べた。

 会場の参加者から「ESDで刺激したことにより、胃癌が悪化するケースもあったのではないか」との指摘もあり、それを受けて平田教授は「積極的に行なうべきかは、今後も検討をすべきだろう」と、以後も学会で取り上げるべきテーマであると参加者に呼びかけた。

 次回は10月23日から26日まで、兵庫県神戸市の神戸国際展示場・ポートピアホテル・神戸国際会議場で行なわれる予定。


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