先進医療を取り入れる気質 = 臨床工学技士が多く在籍しています=

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一般財団法人 倉敷成人病センター 理事長・院長  髙本 均

夢をもって前進する高機能病院

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一般財団法人 倉敷成人病センター 理事長・院長  髙本 均

 昭和46年に須原銀兵衛(名誉理事長)が個人病院だった須原病院を財団法人化して、倉敷成人病センターが設立されました。

 当法人の理念は、「医学の進歩は人間を幸せにするためのものである」というものです。原点を忘れずに、人間愛と向上心に富み、地域の人々から信頼される医療を提供することを目指しています。この理念のもとに吉岡保(名誉院長)が基本方針として「1.地域の人々から信頼される特徴ある病院、2.明るい職場で最良の医療を提供する病院、3.常に夢をもって前進する高機能を有する病院、4.患者様の人権と意思を尊重する病院」を示し、発展させてきました。

 平成6年には健診部門を独立させ、倉敷成人病健診センター(前院長:後藤彰夫、現院長:進智子)を新築移転しました。平成9年に倉敷市真備町に介護老人保健施設「ライフタウンまび」(施設長:尾高康夫)を開設しました。

 平成15年に服部輝彦(名誉院長)を中心に電子カルテを導入し、平成16年にはセンター病院棟(269床)を「ホスピタリティー(おもてなし)」をテーマに新築しました。病院棟は患者様のアメニティーを最重要視し全室個室です。差額室料はいただいていませんが、シャワートイレ付で、付添いの方がそばで休める十分な広さがあります。全室個室は感染コントロールの面でも大変貢献しています。

 同年に基幹型臨床研修指定病院となりました。平成18年には外来部門を分離し、倉敷成人病クリニック棟(院長:本山洋明)を新築しました。

 平成19年に新井達潤(名誉理事長)が就任し、肝臓内科、整形外科を増設しています。当院は婦人科癌や泌尿器科癌を中心に、肺癌、胃癌、肝癌、大腸癌、乳癌などの診療実績を持ち、平成24年から「がん診療連携推進病院」に認定されています。診療科は内科・肝臓病治療センター・リウマチ膠原病センター・透析センター、婦人科・産科(周産期センター)・体外受精センター、小児科、外科、整形外科、泌尿器科、眼科、皮膚科、麻酔科、放射線科、病理診断科、内視鏡センター、内視鏡手術センター、歯科(倉敷成人病健診センター)が有ります。

 当法人は海外に関連クリニックとしてジャパングリーンクリニック・JGHデンタルクリニック(シンガポール)、ジャパングリーンメディカル(ロンドン)、上海グリーンクリニック(上海)が有り、海外の邦人の医療を行なっています。

 私は平成25年4月に一般財団法人に法人格が変わるにあたり、理事長・院長に就任しました。私が赴任した昭和62年は、まだ医師が20名ほどでしたが、現在は常勤医師67名、非常勤医師45名です。私の専門は泌尿器科です。当院の泌尿器科は昭和55年に荒木徹(前副院長、現:あらき腎・泌尿器科クリニック院長)が開設しました。尿路結石の治療として画期的なESWL(体外衝撃波結石破砕術)が世界で始まった年です。

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平成16年6月に竣工した病院。平成19年度倉敷建築文化賞を受賞している。

 ESWLは昭和59年に日本にも導入されました。当時1台が億を超える装置でしたが、当院は昭和61年に中国地方で初めて導入しました。その頃、私は笠岡市民病院で従来の開腹手術に代わりPNL(経皮的腎砕石術)やTUL(経尿道的尿管結石砕石術)という内視鏡で尿路結石を取る治療法を始めていました。当時の荒木副院長にESWLで尿路結石すべてを破壊できるわけではないので、壊れなかった分を内視鏡で取ってほしいと依頼され、当院へ赴任しました。その後、尿路結石治療はさらに進歩し、現在は難治性尿路結石に対してホルミウムレーザーを用い、TULとPNLを併用したTAP治療を石戸則孝主任部長が考案し行なっています。

 他科の治療法も発展していますが、特に泌尿器科分野の治療法は随分発展しています。私が大学を卒業した頃は前立腺肥大症の手術療法は開腹手術でしたが、その後、経尿道的前立腺切除術(TUR│P)がゴールドスタンダードとなりました。しかし当院ではさらに低侵襲手術を目指し、平成18年に県下で2番目にホルミウムレーザーを用いた前立腺核出術HoLEPを導入しました。

 腹腔鏡手術導入は産婦人科、外科、泌尿器科とも早く、特に婦人科(安藤正明副院長)は年間1千100件以上で、日本一の手術件数です。婦人科系の癌は腹腔鏡手術の保険適応はありませんでしたが、今年の診療報酬改定でやっと、先進医療だった子宮体癌に関して適用されました。この手術ができる施設は全国で40余りしかなく、中四国では当院だけです。また妊娠を希望される子宮頸癌患者さんに対する腹腔鏡下広汎子宮頸部摘出術や、重症子宮内膜症に対する腹腔鏡下手術など、国内で当院でしか行えない高難度の手術も行なっています。

 泌尿器科は平成24年に腹腔鏡下前立腺全摘術を市川孝治部長が中心になり導入しました。

 腹腔鏡手術からロボット支援腹腔鏡手術への発展を考え、平成25年10月にダ・ヴィンチSiを導入しました。中四国の民間病院としては初導入だと思います。

 日本での保険収載は前立腺癌の全摘だけですが、本来別の手術でも使えるものです。当院では子宮頸癌に早速導入しました。入院料を含めて全額自己負担ですが、それでも受けたいという女性は少なくありません。今年3月までにロボット手術は、婦人科と泌尿器科で36例施行しました。婦人科は年間30例ぐらいだと予想していたのですが、既に18例を行っています。希望される方は考えていたよりも多いようです。

 産科は年間1千500件を超える分娩数があります。少子化時代を迎え、安心してお産が出来、子供を育てる環境作りが大変重要になっています。当院の小児科はてんかん、自閉症、ADHDなどの発達障害、脳性麻痺などの小児神経疾患を中心に診療していますが、今後は周産期から成人に至るまでの成育医療を目指して小児科体制の充実を計画しています。

 婦人科、産科が強いということもあって、女性特有の症状に対し専門的なサポートをしています。体外受精センター、乳腺外科、女性更年期障害、女性泌尿器科外来を設けています。女性医師が多いのも、当院の特徴です。泌尿器科では平成18年から骨盤臓器脱の治療(TVM)などをやっています。これは倉敷地区では当院が初めて導入しました。

 眼科の手術件数も多く、最新の25G硝子体手術などに取り組んでいます。これら年間5千件を超える手術を麻酔科と病理診断科が支えています。

 リウマチ膠原病センターも当院の特色です。リウマチ科、皮膚科、整形外科、小児科の医師を始め、看護部、リハビリテーション部が協力体制をとって、約2千人の膠原病患者さんの診療に当たっています。

 内科は糖尿病治療に力を入れています。消化器疾患に対しては肝臓病治療センター、内視鏡センターがあり、今後増加を予想される大腸癌に対して放射線科と共同してCT│Colonography 導入を予定しています。

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病院は左で、右は平成18年に竣工した倉敷成人病クリニック。法人では病診分離によって、機能を分担している。医師や患者は両施設を行き来しているが、事業体は分けているとのこと。

 当院には診療支援部という部署があって、薬剤科、放射線技術科、臨床検査科、臨床工学科、病理診断科、リハビリテーション科、体外受精センター、栄養管理室、総合相談室などが所属しています。中でも臨床工学技士の増員を図り、現在11人です。この規模の病院としては多いと思いますが、透析治療、レーザーやロボットなど高機能な機械を多く使う病院なので、益々必要になっています。当院の高度医療を支えるには医師とともに看護部、診療支援部、事務部のチームワークが大切と考えています。

 私は倉敷市の出身ですが、警察官だった父の転勤で県内を何度か転校しています。高校時代は津山で過ごしました。昭和48年に鳥取大学を卒業し、岡山大学の泌尿器科に入局しました。

 昭和50年に1年だけ広島市民病院に勤めました。この年は広島東洋カープがリーグ初優勝した年で、山本浩二や衣笠祥雄が活躍していた頃です。この一年を広島で過ごせたことは良い思い出です。昭和55年に高知県立中央病院に赴任しました。まだ瀬戸大橋を作っていた頃です。その後昭和57年から笠岡市民病院に勤務しました。干拓を作っていたころです。近隣の地区に泌尿器科医はいなく、患者さんがたくさん来ていました。

 昨年、理事長・院長となり、臨床がほとんどできなくなりましたが、週2回の外来と、時々手術に入り、現場を忘れないように努めています。趣味として毎朝、ラジオ英会話やドイツ語、スペイン語を聴き、週1、2回ジム通いで認知症予防と体力維持に努めています。また絵画鑑賞が好きで病院の壁に絵画を増やそうと目論んでいます。


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