下関の病院理事長から「下関発祥の文化がどんどん博多に取られている」と言われた。
彼曰く、博多どんたくの歌「ぼんち可愛いや寝んねしな 品川女郎衆は十匁 十匁の鉄砲玉 玉屋が川へスッポンポン」は、幕末に長州藩の志士が品川の遊郭で覚えたものを地元に持ち帰り、下関の亀山八幡宮の五穀祭の「八丁浜踊り」のお囃子になった。その後長州の芸者が博多に移り、一気に拡がったのだとか。
明太子も下関が発祥の地だそうだ。戦後福岡のメーカーが辛子明太子を発売し、今ではすっかり博多名物になっている。おきゅうとも同様に下関が発祥だという。
文化の流入は今に限らず、古今東西で起こっていることをあらためて感じた。日本の歴史を振り返ると、江戸時代までは中国やオランダから、明治維新後は欧米から文化や技術を取り入れ、近代国家日本がある。
理事長は最後に「10年後にはフグも博多名物になっているでしょう」と言い、ニヤリと笑った。
それを聞いてこちらも腹の中で笑った。下関ではいつごろからか、フグは不具をイメージさせることなどから、福(ふく)と言い換えている。縁起をかついでのことらしいが、だったら福岡に取られて当然だ。(新貝)