独立行政法人国立病院機構 福山医療センター院長 岩垣 博巳
明日福山医療センターに行くとつげたら、「岩垣院長は気さくで明るく、話も面白いから楽しみに行きなさい」と呉医療センター・中国がんセンターの上池院長に言われた。会って、その言葉は本当だったと感じた。
―外来管理棟を建て替えるそうですね。
昨年の9月に入札不調でお騒がせしましたが、12月の再入札で施工業者も決まり、2月から着工することができました。工期は40か月の計画で、平成29年の5月に完成予定です。築48年の建物をやっと建て替えることになりました。
鉄筋コンクリート5階建てで、延べ面積2万㎡余りになります。最上階には52床の病床も設けます。
2月24日に地鎮祭をしました。建て替え計画の采配をされた前院長の友田純名誉院長のほか、桑田泰典名誉院長と廣田滋名誉院長にも来ていただきました。町内会の会長と副会長にも参列していただいています。
敷地が手狭なために、診療機能を維持するためには壊しながら建てなければならず、超難度の建設になると聞いています。研修医宿舎と保育園は、北側の飛び地に新築移転します。職員宿舎も取り壊すことになりました。
職員一同、新しい外来管理棟を楽しみにしています。
―先に完成した入院病棟はいかがでしょうか。
病棟はカラフルで楽しい感じにしています。内装のコンセプトは、『病院らしくない病院』です。特に、稲田恵子さんのホスピタルアートを取り入れていることが自慢です。四季折々の花の絵が描かれて、患者さんには好評なんですよ。手術室も新しくなり、設備を一新しました。
(上)現在の様子。右は昭和41年に建った現外来棟で、取り壊される予定。(中)写真はリニアックの操作室。癌治療にも力を入れており、リニアックはバリアン社の最新機で画像誘導ができる。院長の隣は放射線治療専門放射線技師の岡平伸介撮影透視主任。(下)外来管理棟の完成予想図
築40年を超える老朽化した建物を新築するため、友田前院長が機構本部と粘り強く交渉しました。国立病院機構は国から助成があると誤解されていますが、そういうことは一切ないので建て替えはやっぱり大変なんですよ。
患者さんが入院生活を少しでも快適に過ごすことができるようになったと思います。また我々も新しい病棟は気持ちが良く、働きやすいですね。
―病院の特長は。
友田前院長が就任される前年の平成18年度に経常収益が99・0%まで落ち込みましたが、翌年から収益は右肩上がりに上昇しました。今回の新築も、それで償還計画が立てやすかったんです。平成24年度の経常収支率は機構病院の中で全国2位、経常収支は5位でした。
当院は備後地区で唯一NICUのある病院です。去年の4月に12床に増やしましたが、ほぼ満床状態です。そのため、圏外の施設に搬送せざるを得ない症例がときにあります。将来的にはあと3床ほど増やして、新生児医療を備後で完結できるようにしたいですね。GCUも12床ありますが、こちらもほぼ満床状態が続いています。小児外科は年間200例以上の手術をしています。
産婦人科は4月から1人増えて7人になります。小児科は2人増えて4月から19人。備後の周産期医療の充実は、当センターが担うべき大きな役目だと考えています。この分野では、総合周産期母子医療センターになることが目標です。小児科医と産婦人科医を複数増やさないと、円滑な運営ができないと考えています。
当院は岡山大学と広島大学、川崎医科大学、大阪大学の出身者の混合チームです。4月から耳鼻咽喉・頭頸部外科を再開し、頭頸部腫瘍センターを創設しますが、これは、鳥取大学医学部附属病院北野博也病院長のご配慮、ご推薦のたまものです。現栃木県立がんセンター頭頸部部長(元高知医大准教授)をセンター長としてお迎えします。同科には鳥取大学からの派遣で1人増員があるほか、泌尿器科も1人増えます。
初期研修医も4人のフルマッチです。初期計8人、後期8人の併せて研修医16人となります。 人員も増え、来年度は今年度以上に地域医療に貢献できると考えています。