「テロルの決算」「深夜特急」で知られるノンフィクション作家、沢木耕太郎の旅先での一瞬の光景を切り取った、美しい写真と文章で紡ぐ、81篇のフォトエッセイ集。
観光客が立ち寄らない異国の路地、市井の人々の一瞬の表情に着目したのは、世界各国をバックパッカーとして旅をした経験があり、客観性を捨て、取材対象者に積極的に関わることで、対象を濃密に描く筆者ならではの視点だ。
「一瞬の夏」ではプロボクサーのカシアス内藤に密着取材。トレーニング、合宿を共に行ない、プライベートでの親交も深い。引退後は内藤のためにジムの設立に尽力するなど、かつてニュー・ジャーナリズムの旗手と呼ばれた彼の取材方法は独自のものだ。
「旅の窓」はリラックスしたい時、旅行のお供に最適の一冊である。