訪問看護は魅力がいっぱい

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「在宅で安心して暮らすための役割は大きい」...江田柳子常任理事

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 25日の交流会に集まったのは、訪問看護ステーションの管理者経験3年未満の基礎研修者が13人、同3年以上の継続研修者7人、病院で働く管理者的立場の看護師32人、そして実習施設・関係機関など25人の、合わせて77人。

 最初に江田柳子福岡県看護協会常任理事が「違う場所で働く看護師が集まる会合はそうないこと。今年の診療報酬改定で国の方針が在宅に向い、病院も機能分化が明確になっている。在宅で患者さんが安心して暮らすために看護師の果たす役割は大きく、真剣に取り組まなければならない分野。安心して暮らせる町づくりに看護職としてどう貢献できるかを考えてほしい」とあいさつ。

 また馬場順子福岡県保健医療介護部医療指導課在宅医療係長=同中が、「福岡県では平成20年から在宅医療事業に取り組んでいる。厚労省の調査では6割以上の高齢者が、住み慣れた場所で暮らしたいと思っている。国は昨年を在宅医療元年と位置づけた。在宅医療を進めるうえで看護師はさまざまな医療資源をつなぐ立場」だとして期待を述べた。

 続いて北九州市小倉南区にある東和病院の長山保代看護部長=同下が福岡県の病院の現状を説明し、認知症への対策が急務だと話した。

 さらに北九州市小倉医師会訪問看護ステーションの加藤ひとみ管理者、福岡県看護協会訪問看護ステーションくるめの石井香苗介護支援専門員、NPO緩和ケア支援センターコミュニティの平野賴子理事長の3人が、在宅看護の事例を発表した。

 総合司会と進行を、松本久美子在宅支援・訪問看護委員会委員が担当した。

グループワークの主な発表内容は次の通り。

  • 看取りの時に家族の受け入れができずに看護師が苦労することがある。医療機関は訪問看護の現状をよく理解し、訪問看護ステーションは、患者が病院でどんな説明をされたかについて知る必要がある。医師など多職種の在宅への認識と現場の実際が違う場合も多い。患者と家族のための法的整備もさらに必要だろう。
  • 在宅看取りで人間的に成長する機会がある。患者の大切な場面に同席でき、夢をかなえることがやる気の源。病院は療養場所の意思決定が難しい。早い時期から緩和ケアの導入をはかり、外来と入院の担当医が違うことで患者の思いが伝わらないことがあり、看護師の関わりが重要になる。
  • 病院は治療するところ。治療が終わったら自宅に帰るのが自然の形。そこの理解が不足していることがある。
  • 病院あっての在宅。ケアプラン一つで在宅の可否を決めやすい。病院と訪問看護ステーションの連携が重要になる。
  • かかりつけ医が訪問診療してくれることがある。家族には「その人にとっての幸せは何でしょうね」という問いかけがポイント。訪問看護の実習で看護の原点を見た。病院での清潔行為一つをとっても恥ずかしく感じた。訪問看護師は地域情報をたくさん持っている。気楽に連絡し合え、顔の見える関係づくりが大切。
  • 患者を医師が抱え込んで、家から来た人は家に帰すという当たり前のことができず、すぐ転院させる病院もある。
  • 在宅での看取りは、本人と家族がどのようにしたいかをサポートすること。在宅医が少ない現実があるが、看護師が決意を見せれば引き受けてくれるのではないか。患者と目標を共有すれば、みんなが一つになりやすい。
  • 病院の側に在宅への意識が低いという意見が出た。入院中から在宅への支援が必要。自分は病院勤務だが、研修を受けて、訪問看護のローテーションもやってみたい。
  • 人間関係を作るのに半年かかることもあるが、コミュニケーションは重要。家にいるからこそ子
  • 供や配偶者に伝えられることがある。訪問看護の役割は家族に近い関係になって寄り添うこと。
  • 在宅ケアのために複数の事業所が入るのは割と普通だと知って驚いた。保健所や市町村の関係窓口、障害者支援の事業所や消防にまで働きかけている状況を見て、自分の働く病院で果たしてチーム医療ができているだろうかと思った。一般病院も大学も在宅も、それぞれの役割がちゃんとある。それをスムースに果たし、情報伝達が大事。
  • 自宅に帰ることへの不安は患者や家族にもある。「昔の爺ちゃん婆ちゃんは畳の上で亡くなった。いっぺん帰してみんね」という思い切りも必要なことがある。
  • 朝のミーティングで、訪問看護師は担当している患者の状況を、何も見ずに、明確に判断して話していた。看護を言語化する能力がとても高いと思った。

多職種をまとめるために、リーダーシップを発揮して

 グループワークの司会進行をした福岡県看護協会の恵内幸子、北﨑美咲枝在宅支援・訪問看護委員会委員は、「本研修で収穫は多かったと思う。

患者の人生に寄り添い、家族との物語を紡ぐ手助けはこれからの課題。病院から帰れないとあきらめている人を、どのように支援して家に帰ってもらうかについて語られた交流会だった。病院から訪問看護ステーションにつなげる際に専門的知識で情報を共有し、訪問診療医や薬剤師、ケアマネジャーをうまくまとめるリーダーシップを発揮してほしい」と話し、「先般の訪問看護事業に関するアンケート調査によると、82%の訪問看護師が、やり甲斐があるから続けたいと答えている。一人でも多くの方が住み慣れた自宅で過ごせるよう、病院と訪問看護師、管理者が相互理解をすることが不可欠」とまとめた。

 最後に研修生を代表して、九州がんセンターの野口久美子副看護師長が、「講習と地域での実習で、複数の職種が連携して、さまざまなサービスを提供している実際を見た。病棟の看護師は、患者に必要なケアを抽出したり、状況を踏まえたうえで希望を把握するのが大事な役割だと思った」と感想を述べた。

 在宅看取りについて事例発表したNPO緩和ケア支援センターコミュニティの平野賴子理事長のコメント。

―病気になってきびしい状況の中、家に戻ってもう一度、残された時間の中で、これまでの人生と家族の物語を紡ぐ。そのお手伝いをすることに在宅看護の魅力があります。「家に帰りたい」という本人、家族の思いを看護師として支えていく。それを考える研修と交流会になったと思います。


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