がん治療の選択肢が増えた

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佐賀市文化会館で重粒子線治療の有効性を知る市民公開講座

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 佐賀市の佐賀市文化会館で2月23日、重粒子線がん治療についての市民向け講演会が開催された。主催は公益財団法人佐賀国際重粒子線がん治療財団、公益財団法人医用原子力技術研究振興財団、㈱サガテレビ。

 佐賀国際重粒子線がん治療財団は、昨年5月に佐賀県鳥栖市に開設され8月からがんの重粒子線治療を開始した、九州国際重粒子線がん治療センター(サガハイマット)を運営する団体で、医用原子力技術研究振興財団と共同で市民向け講演会を開催するのは初。サガテレビの発表によると、参加人数は1千100人だった。

 開会に際し、医用原子力技術研究振興財団の垣添忠生副理事長は、「初期の放射線癌治療ではコバルト60を使っていた。現在は技術が進み、X線やγ線、陽子線、重粒子線などが使われている。検診にも使われ、今は放射線を使わなければ医療ができない時代。我々の財団は、医療で使われる放射線利用の研究を支援し、普及を目指す団体で、今回の講演会は、重粒子線治療を正しく知っていただくために企画した」とあいさつした。

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写真は上から時計回りに、サガテレビの内田さん、医用原子力技術研究振興財団の垣添副理事長、同辻井常務理事、東京大学の中川准教授。

 佐賀国際重粒子線がん治療財団の十時忠秀理事長は、「医療用の機械は外国産が多いが、サガハイマットの治療装置は日本で開発した国産の機械で、安倍総理も見に来られた。重粒子線治療は痛くなく入院も不要で、副作用もほとんどない。治療費のほかに100万円寄付された患者さんもいる。医学の進歩を感じるが、転移すると治療ができないので、検診を受けて早期にがんをみつけることが必要」と語った。

 東京大学医学部附属病院放射線科の中川恵一准教授は、老化で遺伝に起因するがんは5%ほどだと説明し、長寿国にがん患者が多いのは当たり前だとしながら、高齢化の速度がハイペースだったので、日本のがん対策が遅れたと説明した。

 日本でのがんの死亡率は年々増加しているが、近年欧米では減少傾向だという。高齢者に多い病気には、身体に優しい治療法の開発が大事だと意見を述べ、入院の必要がないことも放射線癌治療の良いところだと話した。

 長寿国になったのは国民皆保険制度が大きく関わっており、日本人は自然被ばく量は少ないが、医療被ばく量は世界一だと、放射線が現代の医療に欠かせないと説明した。また、大腸癌で若くして亡くなった義妹のことを話し、「大腸癌は早期でみつかると98・2%は助かる」と、検診の重要性を訴えた。

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サガテレビの泉俊彦代表取締役社長が閉会のあいさつをおこなった。

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左はNHKの天気予報用台本の符丁について話す草野仁さん。「ニ」はにわか雨の意味だが、後輩のアナウンサーは生放送で「虹が出る」と読んだそうだ。草野氏は志望していなかったアナウンサーになったことや、チャレンジすることの大切さを話した。

 医用原子力技術研究振興財団の辻井博彦常務理事は、サガハイマットの治療で用いる炭素の質量は陽子の12倍だと説明し、「線量集中性が高いだけでなく、細胞致死効果も高い」と述べた。また千葉市にある独立行政法人放射線医学総合研究所のHIMACの概念図を見せ、重粒子線癌治療の仕組みを解説した。

 サガテレビの内田信子さんを司会に行なわれたパネルディスカッションには、十時理事長、中川准教授、辻井常務理事が参加した。

 十時理事は「佐賀大や九大などが窓口になっているが、別に月に300件ほどの電話相談を受けている。初年度は200人を治療するつもりだったが、276人の予定が入り、そのうち254人が前立腺癌の患者。すでに79人に治療を行なった。

新幹線がすぐ横で停まるので山口や広島からの患者さんも多くいる。朝に治療を受け、午後から出勤する方や、ゴルフバック持参の方もいる。心臓の弱い方を治療できるようになったことを医師として喜んでいる。高額なので、がん保険などを利用してほしい。今後は保険適用を目指したい」と述べ、中川准教授は「放射線治療は魔法の杖ではなく、治せない癌もある。しかし手術しかないと考えるのはもったいないことで、選択肢が一つ増えたのが大事なこと」と、サガハイマットを高く評価した。

 辻井常務理事は「自分のがんが新しい医療の適用になるか相談される方の中で、残念ながら重粒子線治療の対象にはならない方も多いが、主治医のすすめる治療に納得するためにも質問をされることは歓迎だ。セカンドオピニオンを含め、患者は情報を持っていた方が良いが、インターネットには虚偽の情報も多いので、公的な機関の情報を参考にしてほしい。サガハイマットは特にアメニティを重視して造られている。重粒子線治療は建設費が高額で、治療費も高くなるのが欠点だ。今後の課題で、将来的には軽自動車、できれば自転車くらいの値段にできたら良いなと思う」と述べた。内田さんは「佐賀はがん患者率の高い県だが、今日は意識が高まったと思う」と述べた。その後テレビキャスターの草野仁氏が特別講演を行なった。


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