魅力的な先輩たちに育てられました

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長崎大学大学院麻酔・蘇生科学教授 長崎大学病院麻酔科 診療科長 原 哲也

 大学病院は広大な敷地を要するため、市街地の近くにないことが多い。しかし長崎大学病院は長崎駅から1㎞あまりの距離にあり、周囲はにぎやかな繁華街だ。市民が利用しやすい位置にあり、学生や職員にも便利だろう。

 外来棟の上層部分が医局になっているなど、病院と医局が近いのも長崎大学の特長だ。特に麻酔科の医局は手術室の直上にあり、常に緊急手術に備えている体制にある。原教授によると、中央診療部門の近くに麻酔科がある方が病院の機能として効率が良く、急に大きな手術を始める際に人手を集めるのにも都合が良いという。手術室は現在建設中の新中央診療棟3階に移る予定だが、それに合わせて麻酔科医局も、その棟の5階に移動する。

1992 長崎大学卒、同大学病院麻酔科医員、1993 大分県立病院麻酔科研修医、1994 北九州市立八幡病院麻酔科、1995 長崎労災病院麻酔科、1997 長崎大学病院麻酔科医員、1998同集中治療部助手、2001 同麻酔科助手/医学博士、2002 医局長、長崎大学病院麻酔科講師、2006 同麻酔科副科長、リスクマネージャー、2013 長崎大学大学院麻酔・蘇生科学教授、長崎大学病院麻酔科診療科長、現在に至る。日本麻酔科学会日本臨床麻酔学会 日本心臓血管麻酔学会 日本小児麻酔学会 日本集中治療医学会 日本ペインクリニック学会日本緩和医療学会 日本循環制御医学会 American Society of Anesthesiologists International Anesthesia Research Society に所属。

■研究領域は「心筋虚血再灌流傷害と薬理学的心筋保護」、「周術期循環管理」。最近5年に20 の著書と総説を発表、学会講演も多い。

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長崎市出身で、長崎南高校を卒業。入局当時の医局長は高校の先輩だった。

―何代目の教授ですか。

 昨年11月に拝任し、私で4代目です。

 長崎大学医学部麻酔学講座は昭和39年6月に開講しました。教授になって気付いたのですが、今年はちょうど50年目に当たります。せっかくなので何か記念の行事をしたいなと考えています。

 私は長く長崎大学におりますので、同門会の先生だけでなく、他科の先生方にもなじみがあり、教授として順調にスタートできました。

大阪大学からお見えになり、同門会は歓迎しましたが、一度にたくさんの先生を覚えなければならず、少しご苦労なさったようです。そのような労力がなかったことは、ありがたかったですね。

 ただ、人に任せていい仕事とそうでない仕事が、まだはっきり分からず、自分で頑張りすぎている気がします。人を育てる意味でも早く見極めて、何でも自分で抱え込むことを改めたいですね。

―麻酔科医には社交的な印象があります。

 高いコミュニケーション能力は医師の必須スキルで、麻酔科医にも必要であることは言うまでもありません。手術に関わる診療科の先生と頻繁に顔をあわせますから、社交的な性格が仕事の助けになることは事実です。

 しかし一方で、手術中は自分の領域に集中して作業する分野でもあります。手術室に基本1人で入りますから、若いうちは同僚の医師の仕事を見る機会も多くはありません。だから必ずしも社交的である必要はなく、1人で黙々と仕事をすることが好きな人にも向いています。

 麻酔科医の良いところの1つは、社交的な人にもそうでない人にも向いた仕事だということです。またサブスペシャリティとして、集中治療、ペインクリニック、緩和医療、救急医療などに深くかかわります。多様な役割を担う科ですから、個人個人の性格やライフスタイルにあった仕事があることもいいですね。

 教室では、その多様な役割を一通り経験させています。特に集中治療の管理が分からないと、麻酔管理はうまくなりません。またチームプレーを学ぶのにも役立ちます。だから若い人には、積極的に集中治療には関わるように指導しています。これは私の指導方針というわけではなく、教室の伝統です。教室が持っている今までのノウハウがありますので、私の代になって方針が大きく変わることはありません。

 多様な役割という文句も、澄川教授がDiversity(多様性)・Demand(需要)・Development(発展)の3Dで医局員を勧誘していましたから、私もそれを踏襲したものです。

―志した理由は。

 全身管理がしたかったからです。今でも1番の魅力は全身管理だと考えています。

 私が入局した当時は、先々代の後藤裕教授がお辞めになったたばかりで、澄川教授がお見えになる前の教授不在時でした。当時は医局長が教室を運営されていましたが、魅力的な先輩でした。私を勧誘したのもこの医局長で、基礎を一から教え込まれました。麻酔科医の仕事に興味を持って入局しましたが、多くの良い出会いがあり、楽しみながら成長させていただきました。

 敷居が低いことも魅力に上げられると思います。他科に比べて、一人前の医師になるための習熟期間が短いことが特長です。しかしその先には、手術室全体を管理する役割が待っています。目に見えるステップアップが楽しめるのも、良い部分だと考えています。

―今後の方向について。

 緩和ケア病棟の施設基準では、緩和ケアに関する医師が必要とされています。必ずしも麻酔科医でなくてもいいわけですが、長崎県では当初、麻酔科医が深く関わりましたので、我々が今その役割を担っています。このように、今後も新しい役割が与えられるかも知れません。求められる役割に柔軟に対応していかなければならないと考えています。

 また大学病院内の麻酔科管理手術件数も、平成15年は3千448件だったのが、平成24年には5千712件と、10年間で急増しています。高い周術期医療の提供と、増加する手術件数に対応できる教室にしなければならないと考えています。

 医療の高度化・先進化に対応するために、高い臨床能力と専門性を身につけた専門医を育て、手術麻酔や集中治療をはじめペインクリニック、緩和医療などの関連分野に必要な人材を配置し、長崎大学や地域医療に貢献できるように努力していきます。


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